このページは第11回、第30回に行われた骨董講座を、2018年12月1日(土)に再現したものです。 内容は第11回骨董講座「漆器」と同じです。 |
第53回 骨董講座 アンコール講座@「漆器の歴史と展開」 |
先日、30年前に買って母親が使用していた骨董収集品を久しぶりに見せてもらいました。その中に漆器が何点かあったのですが、それを見ると買った当時のことを思い出し懐かしい気持ちになりました。骨董品は作られた時代ではなく、買った時代も思い出させてくれるモノだと感じました。物質が当時のことをよみがえらせてくれるのが、骨董の面白さだとあらためて気づいた次第です。最近は買ってすぐに売るというメルカリ方式が流行していますが、そのような手法では思い出は蘇ってこない。写真を見て昔を懐かしむのと、モノを見て昔を感じるのはどうやら違う気がします。 |
(2) 漆器の展開 |
ここで漆の技法についてまとめておきましょう。
日本の漆が独自の発展を遂げたのは平安時代です。浄土教が広まると、極楽浄土を表現するために蒔絵が開発されました。金を入手できたことが日本の漆を発展させたといっても過言ではありません。ちなみに江戸時代に大規模な漆器生産が行われるまで、金と漆は同価値でした。 |
(3) 各地の漆器 |
ここで各地の漆器と作家、作品について話しましょう。まず、東北。東北は縄文時代から漆器作りが盛んな土地です。古代から中世、近世に入っても多くの漆器が製作されました。時代順に見ると岩手県で作られた秀衡塗が有名です。秀衡塗は平安末期、奥州藤原氏によって始められたといわれています。中尊寺金色堂は螺鈿漆がふんだんに使用されているので、その系譜の中で生活漆器が作られたと考えられます。遺品は残っていないのが残念ですが、発掘調査によってたくさんの木工品があったことが判明しています。 |
(4) 生活に漆器を取り入れる |
私が漆器に興味を持ち始めたのは古美術商になり、店を開いた後です。それまでは鑑賞美術品に夢中で漆器に関心がありませんでした。業者の市場に行くようになって、日本には戦前の優秀な漆器があることを知りました。最初はどのような漆が良いのかわからなかったのですが、相棒の菊地さんは漆器に関しては子供のころから親しんでいて詳しかったので、ぼくは彼女から漆器の見方について教わりました。 |