このページは2018年3月3日(土)に行われた骨董講座を再現したものです。 |
第46回 古美術と社会学シリーズ⑥ 「古美術と現代の有機農法」
(1) ヒッピーが始めた有機野菜販売 |
西荻窪には1976年、有機野菜を東京では初めて販売した「長本兄弟商店」があります。
また、1977年、荻窪、吉祥寺に有機野菜を販売する八百屋「グルッペ」も誕生しました。
西荻周辺に初期の有機野菜を販売する八百屋があることは興味深いですね。
長本兄弟商店を始めた長本光男氏(通称ナモさん)は元ヒッピーで八百屋をする前は国分寺で「ほら貝」というロック・バーを経営した人で、「みんな八百屋になーれ」という著作もあります。 |
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(2) 食生活と骨董業界
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1990年代半ば頃から外国産の輸入品が増えたので食の安全、有機農法に関心が集まります。同時期、中国の残留農薬の問題がクローズアップされました。
ご存知のように中国の高度経済成長期が始まると同時に、日本経済の「失われた10年」の時代に入ります。 |
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(3) 有機肥料と人工肥料
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江戸時代、肥料の主流は下肥(糞尿)、植物油粕、イワシなどの干し魚(魚肥)でした。
下肥が農業に使用されるようになったのは鎌倉時代といわれています。いくつかの絵巻物に肥溜や汲み取り式便所の様子が描かれています。
「洛中洛外図屏風(1525年)」には畑に、杓で肥桶から掬った下肥を巻いている人の姿が描かれていて、宣教師ルイス・フロイスは「日本の農民は糞尿を買うために米と金を払う」と「日本史」に記しています。 |
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(4) 感性、感覚の画一化からの脱出
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2008年、リーマンショックが起こり、景気が悪くなると一時的に古美術品の売上高が減少しました。
「団塊の世代」の退職と重なり、骨董経済を牽引した「団塊資金」が底をつき、伊万里焼の唐草柄の食器の需要は激減します。
1990年頃たこ唐草の長皿は、1枚5万円でしたが、現在は1、3万円程度に落ち着いています。
団塊の世代が唐草を購入を止めたので、需要と供給のバランスが崩れ、価格は4分の1程度。
唐草柄の価格の推移を見ると、それを「団塊の世代」が支えていたことがわかります。だからといって、良い商品が市場に出回るわけではありません。
価格相当の物が出回っているだけです。 |
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