このページは2015年3月7日(土)に行われた骨董講座を再現したものです。 |
第16回 「現代美術と古美術 岡本太郎・李禹煥・荒川修作」 (1) 作家の紹介 |
先月の骨董講座では日本画の歴史について話しました。今月は現代美術の作家を通して、古美術品との関わりを考えてみたいと思います。現代美術と骨董に関連があるのか?と思われる方もいらっしゃるでしょうが、皆様がなるほど、と感じてくだされば、講座は成功だと思います。まず、今回、取り上げる作家の紹介をします。
岡本太郎(1911年〜1996年)
李禹煥(1936年〜)
荒川修作(1936年〜2010年)
この中で李禹煥は私の大学の先生です。大学時代、先生に大変、お世話になりました。岡本太郎さんには1980年頃、新宿小田急百貨店で開催された個展でカタログにサインしてもらった思い出があります。そのサイン入りカタログは友人にプレゼントしたのですが、後で岡本さんはサインをしないことで有名、それは貴重品だと美術ファンから聞かされ、持っておけば良かったなと後悔しています。 |
(2) 現代美術と古美術との比較 |
岡本太郎の作品とプリミティブアート
それぞれの作家のキーワードを設定します。岡本太郎はプリミティブ、李禹煥は道教・禅宗、荒川修作は修験道、身体的モダニズムがキーワードです。 |
李禹煥と道教・禅宗
李禹煥は最後の文人画家、ストイックな作家だと言われています。私は学生時代、女の子のお尻ばかりを追いかけていたので、ストイックな先生の教えについていけなかったことを覚えています。最近はストイックなイメージの先生も快楽主義者であることを知って、ホッとしています。これは秘密(笑)。 |
荒川修作作品と不均衡
ある美術雑誌に「アーチストが尊敬するアーチスト」という特集があり、そこで李先生が尊敬するアーチストに荒川修作を挙げていました。李と荒川修作は同じ歳で、誕生日が10日しか離れていません。ちなみにグラフィックデザイナーの横尾忠則は李先生と誕生日が2日違い(6月26日生)。同時期に日本を代表するアーチストが誕生しているのは不思議です。 |
(3) 宗教・祭と生活 |
三人の美術理論を社会現象に当てはめると岡本太郎は祝祭、李禹煥は座禅、荒川修作は動作(スポーツ)に当てはめることができます。岡本は民俗学者なので、「ハレとケ」、「祝祭と日常」を意識していました。「森の掟」などは「自然と工業社会」を対比させた作品。岡本が日本中を熱狂させた万国博覧会のお祭り広場の美術を担当したのは象徴的です。 |
(4) 古美術のジャンル |
最後に美術作家の感性と歴史の構造について、ダーウィンの進化論を基本にして、古美術を考察します。
20世紀になると大量生産の時代が出現、ボードリヤールの唱えた複製や記号の時代がやって来ます。大量生産時代の初期の作家の代表はグラフィックデザイナーの元祖をも言える竹久夢二やラリックです。近代的機械化の反動からイギリスではアーツ・アンド・クラフト運動が起こり、柳宗悦が民芸運動を主導します。しかし、素朴さを追求した河井寛次郎、浜田庄司などの民芸作家の作品は現在、消費社会に中に組み込まれてブランド化し、高値で取引されている。桃山時代の陶器を複製した北王子魯山人の作品も同様です。 |