このページは2014年10月4日(土)に行われた骨董講座を再現したものです。 |
第11回 「漆器の歴史と展開」 (1) 漆の歴史 |
2013年9月、信楽にあるミホミュージアムで「根来 −中世に咲いた華−」展が開催され、根来の名品を集めた展覧会は古美術ファンの注目を集めました。根来塗は輪島塗や京塗のように装飾を持たないンプルな、弥生時代から続く造形日本人の感性にフィットした漆器です。英語で陶磁器はチャイナ、漆器をジャパンといいます。西洋人にとって漆器は日本にイメージを喚起させる物です。安土桃山時代、螺鈿が貼り付けられた漆器が多数、西洋に輸出され、日本は漆の国になりました。遺品を見ていると16世紀、西洋人が日本製の漆器を宝物のように扱っていたことがわかります。この時代の作品は西洋風で、漆器はすべて和風であると考えるのは間違いです。元禄伊万里同様、西洋との交流によって日本の漆器が発展したことは確かです。 |
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(2) 漆器の展開 |
ここで漆の技法についてまとめておきましょう。
日本の漆が独自の発展を遂げたのは平安時代です。浄土教が広まると、極楽浄土を表現するために蒔絵が開発されました。金を入手できたことが日本の漆を発展させたといっても過言ではありません。ちなみに江戸時代に大規模な漆器生産が行われるまで、金と漆は同価値でした。 |
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(3) 各地の漆器 |
ここで各地の漆器と作家、作品について話しましょう。まず、東北。東北は縄文時代から漆器作りが盛んな土地です。古代から中世、近世に入っても多くの漆器が製作されました。時代順に見ると岩手県で作られた秀衡塗が有名です。秀衡塗は平安末期、奥州藤原氏によって始められたといわれています。中尊寺金色堂は螺鈿漆がふんだんに使用されているので、その系譜の中で生活漆器が作られたと考えられます。遺品は残っていないのが残念ですが、発掘調査によってたくさんの木工品があったことが判明しています。 |
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(4) 生活に漆器を取り入れる |
私が漆器に興味を持ち始めたのは古美術商になり、店を開いた後です。それまでは鑑賞美術品に夢中で漆器に関心がありませんでした。業者の市場に行くようになって、日本には戦前の優秀な漆器があることを知りました。最初はどのような漆が良いのかわからなかったのですが、相棒の菊地さんは漆器に関しては子供のころから親しんでいて詳しかったので、ぼくは彼女から漆器の見方について教わりました。 |
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