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アザミ嬢のララバイ
[2025/08/30]

8月16日(土)にBSフジで再放送されたHIT SONG MAKERS「〜深夜放送からヒット曲が聞こえてきた!〜」を見ました。1970年代、深夜放送が若者たちにどのような影響を与え、どのような文化を作ったかを解説する番組です。当時、私は中学生で、「オールナイトニッポン」で流されるフォークソングを夢中になって聴いていました。
写真は日本画家・中村世志子の「花アザミ」の軸。「〜深夜放送からヒット曲が聞こえてきた!〜」を見ていて、中島みゆきの曲「アザミ嬢のララバイ」を思い出し、そういえばアザミの軸があったなと今回、出品しました。「アザミ嬢のララバイ」は1975年9月25日に発売された中島みゆきのデビューシングル。この曲が深夜のラジオ番組から流れてきた時、すぐにこの曲のとりこになりました。物悲し気な曲調と「秋にはキキョウ、そして私は夜咲くアザミ」という歌詞が好きで、この曲を知った翌日、レコード屋に行きシングル盤を買いました。
軸を製作した画家・中村世志子は1977年に亡くなっています。中村のアザミの軸を見ながら、この頃、アザミは女心を表わす花だったのだろうかと想像しています。ちなみにアザミの花言葉は「厳格」「報復」「触れないで」「独立」。アザミにはトゲがあるので、他の花のようにかわいいイメージはありません。中村さんはこの作品にどのような意味合いを持たせていたのか興味深いですね。

本紙サイズ 縦横 48cm×53cm
軸サイズ 縦横 143cm×67cm

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直しのある徳利
[2025/08/23]

先週、家の横にある路地で虫が鳴き始めました。日暮れに虫の声を耳にすると秋の気配を感じますが、昼間は真夏の真っ最中、まだまだ暑い日が続きそうです。
近年、欧米人の古美術ファンの間で白磁や金継直しが流行しています。白磁といえば李朝の白磁が人気ですが、日本の伊万里焼や砥部焼などの白磁にも注目が集まっています。特に砥部焼の現代の白磁は海外でも人気が高いとか。お洒落な人たちは過剰な装飾よりもシンプルな作品が好きなようです。また、欧米では欠けた陶磁器を直す金繕いも注目されています。もともと金繕いは茶道が発祥。道具を大切にする茶人たちが継承している文化です。その伝統を受け継いでいるせいか、現在でも日本では金粉を使った金継直しが主流です。一方、中国や韓国では金繕いよりも、元の状態に再生する共直しの文化が主流です。朝鮮半島の古美術品を見ると祭器に使用された徳利などの首部は多くが欠損しています。市場には発掘、再生した古美術品が多数出回っています。もともと金繕いは朝鮮にはないので李朝の陶磁器の金継直しは日本人が行ったと考えても良いでしょう。
写真は伊万里焼の徳利と李朝の白磁徳利。伊万里焼は金継直し、李朝白磁は共直しが施されています。これを見ると日本と朝鮮の直しの違いが判ります。いずれにせよ、古い物を直して愛玩するのは物を大切にする表れ。これが世界に広がっていくのは嬉しいことです。

(左)高さ 約30cm/胴径 約15cm
(右)高さ 約27cm/胴径 約15cm

伊万里 御売約、ありがとうございました
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藍九谷の山岳風景
[2025/08/16]

8月、暑い日が続いています。昭和時代の高度経済成長期、日本ではレジャーを楽しむ余裕が生まれ、夏休みには人々が海や山に出かけるようになります。それまで高級だった軽井沢や逗子などの避暑地の開発も始まり、庶民でも避暑を楽しむことができるようになりました。避暑地の気候は夏でも25度前後、エアコンがなくても快適に過ごすことができます。その時代、日本にはまだ豊かな自然があり、人々は自然との触れ合いを大切にしていました。私が信州の避暑地に初めて行ったのは学生時代。海の近くで育った私にとって山間の避暑地は無縁ですが、長野県に友人がいたので彼らの親が持っている別荘で何度か夏を過ごしました。
写真は藍柿右衛門の松竹梅山水文大皿。この作品の見込みに描かれている山を見た時、長野県にある戸隠連山を思い出しました。避暑地では戸隠、蓼科、軽井沢などに行きましたが、特に戸隠での自然との触れ合いは人生の中でも最高の思い出です。別荘の横にある川には天然の鮎が泳いでいて、夜は満天の星、森の中で見た蛍の群生、信州の自然の何と豊かだったことか、楽しかったですね。最近、伊万里焼の山水文は昔ほど人気がありません。原因を考えると、昔のように人が自然と触れ合う事が減ったからだと思います。若い人たちの洋食化が進み、山水文よりも白磁や民芸の食器に注目が集まっています。本作を見ていると、人が自然を大切にしていた時代の雰囲気を感じることができます。経済活動を活発にするのは良いのですが、豊かな自然との触れ合いを失ってしまうのは考えものです。

口径 約31.5cm/高さ 約6cm

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https://rtrp.jp/spots/10dd6ce2-13bc-42d8-8f5a-887ed64bc129/


沖縄の民芸
[2025/08/09]

沖縄で近代陶の製作が始まったのは17世紀頃です。最初は喜名や知花などで備前焼に似たb器が製作されていましたが、18世紀、薩摩や清朝との交流が盛んになると壺屋で薩摩焼や中国の呉須、赤絵風の作品が作られるようになりました。写真は壺屋焼の瓶子と呼ばれる祭祀に使用される花瓶と新垣栄三郎が作った泡盛を入れる抱瓶。壺屋焼が日本、中国の陶磁器の影響を受けているとはいえ沖縄独特の造形作品。絵付けもモダンで美術史の中でいうとコンポジション柄です。
ところで最近、町中に沖縄料理店を多数、見かけるようになりました。私が学生だった1980年代、沖縄料理の店は珍しく、初めてゴーヤチャンプルーを食べた時は苦くて驚いたことを覚えています。西荻にも現在、五軒の沖縄料理店があり、どの店も美味しいので定期的に通っています。そこで泡盛を飲み、壺屋焼の食器に盛られたゴーヤチャンプルーを食べると沖縄にいるような気分になります。そこで使用されているのは壺屋焼の食器。民芸調の食器が沖縄料理の味を一層、引き立ててくれます。料理だけではなく、古美術品を飾ると生活に彩りが生まれます。暑い夏、沖縄陶を使うと楽しいですね。

(左)高さ 約16.8cm/高台径 約6.8cm
(右)高さ 約11cm/横幅 約18cm

瓶子 御売約、ありがとうございました
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夏はやっぱりガラスと染付
[2025/08/02]

8月になりました。相変わらずの猛暑で、日本の夏は昔とは異なった夏になったような気がします。
写真は伊万里焼の鶴文皿とバカラのワイングラス。夏といえば、やっぱり食器は染付とガラス。伊万里焼の五寸皿の見込みには細い筆で描かれた鶴が描かれています。一般的に伊万里焼は太い筆でしっかりと絵付けされた染付が多いのですが、本作は線描きの鶴柄と余白を活かした繊細な作品となっています。一方のワイングラスはエッチングで幾何学文が施された作品。シンプルなデザインなのでガラスの透明感が際立っています。染付、余白を活かした食器やシンプルなデザインの作品は涼感を感じることができます。鶴文の五寸皿には夏野菜、ワイングラスに白ワインなどが合うでしょう。両作品が作られた時代はエアコンなどなかったので、職人は視覚的な涼しさを感じるために様々な工夫をしています。
日本では毎日、熱中症警戒アラートが出ています。また、ヨーロッパでも猛暑で被害が拡大しているとか。エアコンの使用だけではなく、食器から涼しさを感じるのも生活の知恵です。

(左)口径 約14.5cm/高さ 約4.5cm
(右)高さ 約11.2cm/口径 約5.8cm

染付 御売約、ありがとうございました
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