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エジプトの思い出
[2025/07/26]

30年前になりますが、エジプトに旅行したことがあります。イギリスに滞在していた時、イギリス人のツアーに紛れ込んでエジプトに行きました。ギザのピラミッドが閉門した後、地元の商人の言葉に誘われラクダに乗り、闇ルートを通って観光客のいない三大ピラミッドを観光したり、メンカウラーのピラミッドの中に入ったり、普通の観光ではできない体験をしました。途中、案内の少年ガイドが監視者に見つかって、私を置いて逃げて行ったのには驚きましたが…。また、ルクソール・死者の谷にある盗掘業者の家に行き、地下5階に案内され古美術品を購入しました。ピラミッドへの無断侵入や盗掘品の購入など、かなり危なっかしいことをしましたが、今となっては楽しい思い出です。

写真は、オールドノリタケのマンオンキャメルの双耳花瓶。イギリスに輸出するために作られた作品です。当時、イギリスは中東に進出、イギリス陸軍将校のトマス・エドワード・ロレンスなどを使ってアラブの独立運動を企てていました。マンオンキャメル作品を見ると、イギリス人のアラブ世界への関心が高かったことが理解できます。ちなみにトマス・エドワード・ロレンスといえば映画「アラビアのロレンス」が有名。この映画は私の中でベスト3に入る映画で、ロレンスが蜃気楼の砂漠に現れるシーンを見るたびに胸が躍ります。 近年、パレスチナでは戦争が激化し、胸が痛むような状況が続いています。一方、サウジアラビアなど石油産出国の経済発展は目覚ましいものがあり、同じ中東でも国によって状況が大きく異なります。この花瓶に描かれたラクダに乗ってのんびりと砂漠を行くアラブ人、中東の未来が現在のように発展と混乱が入り混じる世界になるとは想像すらしなかったでしょう。

高さ 約16.5cm/胴径 約10cm

御売約、ありがとうございました

海の日
[2025/07/19]

海の日は、7月の第3月曜日に制定された祝日です。制定当初は7月20日でしたが、2003年(平成15年)に改正されたハッピーマンデー制度により7月の第3月曜日に変更されました。今年は7月21日。広島市生まれの私にとって青少年期の遊び場は海でした。よく瀬戸内海、日本海に釣りや海水浴に行ったことを覚えています。また、実家が釣具屋だったので海は普通の子供よりも身近な存在でした。海に行かなくなったのは30歳前後。古美術品に興味を持った頃です。
写真はロイヤルコペンハーゲンのヨットの絵が描かれた花瓶と浦富焼のそば猪口。両品とも海に関係する作品です。海に関する古美術品の出品準備をしていた時、急に青春時代に海に行っていたことを思い出しました。少年時代は瀬戸内海、青年期は山陰や湘南の海で遊んでいました。そのことを思い出しながら、私はこの先、海釣りや海水浴に行くことはあるのだろうかと自問します。答えは、行かない。旅行に行って海を眺めるとはあっても遊ぶことはしません。年齢と共に遠ざかっていく海。それでも私は古美術に描かれた古美術品を見て海を感じ、空想を膨らませながら海を楽しんでいます。

(左)高さ 約14cm/横幅 約9.5cm
(右)口径 約9cm/高さ 約6cm

花瓶 御売約、ありがとうございました
そば猪口の購入をご希望の方はこちらから


コロナの思い出
[2025/07/12]

7月に入って暑い日が続きます。このような暑さでは外出もできません。熱中症対策は必須です。
写真は伊万里焼の染付七寸皿。一見、普通の作品に見えますが、絵をよく見ると鳥のような不思議な生物が描かれています。この作品の写真を始めて見たのは2000年頃、古陶磁研究家・出川直樹さんが古美術雑誌『小さな蕾』に「この生物は一体何だろう?」と書いていたエッセイです。あれから20年が経ち、実際にこの作品を購入しましたが、出川さんのエッセイを読んでいなければ、この作品にも興味がわかなかったかもしれません。

ところで3年前の7月、私はコロナに感染しました。高熱は出なかったのですが、身体のだるさが一か月間続き、今でもあの時の辛さを思い出すことができます。コロナが流行していた当時、マスコミで「アマビエ」という妖怪が注目されていました。アマビエは1846年5月(弘化3年4月)に現在の熊本県、肥後国海上に出現したとされる疫病封じの妖怪です。当時、日本各地にアマビエのような妖怪が各地に出現したということです。ペリー来航の7年前、日本人は時代の変化を潜在的に感じたのかもしれません。
本作に描かれた生物は何か判らなかったのですが、アマビエを知った後、この生物がアマビエではないかと想像できるようになりました。本作が製作されたのは18世紀後半ですが、いつの時代も日本人は疫病封じの存在を求めていたのでしょう。もしかすると当時の人々は鳥がインフルエンザなどの病原体を運ぶ生き物だと考えていたのかもしれません。幸いコロナ感染は下火になりましたが、古美術品を見てコロナ禍のことを思い出したことは意外でした。

口径 約20.5cm/高さ 約3.5cm

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%83%93%E3%82%A8

御売約、ありがとうございました

風車と水上風力発電
[2025/07/05]
ドーデの風車

26歳の時、南フランス・プロヴァンスにあるドーデの風車を見に行きました。風車はオランダにある物だと思っていた私は丘陵地帯にある風車を見て驚きました。南フランスはミストラルという強い風が吹くので、風車を利用できます。考えてみれば欧米はパン文化なので、この地方は小麦の殻を取り除くのに風車を利用したのでしょう。小麦の殻を除かなければ、あの美味しいフランスパンはできません。20歳代半ばで稲作文化しか知らない私は自分の知識のなさに唖然としたのを覚えています。

写真はオールドノリタケの風車の花瓶です。オールドノリタケは風車の図柄を多く採用しています。この作品を見た時、「これはオランダの風車だ」と思いました。低地で海が近いオランダでは風車は主に水位管理、干拓、排水に使用されます。本作が製作された当時、日本人はオランダの風車を思い浮かべながら作品を作ったのでしょう。現在でも風車はオランダを象徴する文物。本作を見ながら近代ヨーロッパでは風車が灌漑・発電・製粉・風速計など多目的に使用される動力源だったことを再考した次第です。
ちなみに日本は水車の利用が多いので、風車には馴染みがありません。最近は脱炭素、再生エネルギー利用の観点から洋上風力発電に注目が集まっていますが、昨年12月、三菱商事が洋上風力事業で巨額の損失を出すなど日本での風車事業は難しいようです。本作が製作された当時の日本人は、21世紀の日本で洋上風力発電を行うなど想像もしなかったでしょう。現在、多くの日本企業が水上風力発電事業に参加することを表明しています。うまく行くと良いですね。

高さ 約20.3cm/胴径 約14.4cm

御売約、ありがとうございました

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