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久保田金僊「迎年新生」掛軸、伊万里焼 染付 宴会図 鉢
[2024/12/28]

今年も残すところ数日となりました。この一年間、仙遊洞の商品を購入していただいたお客様に感謝申し上げます。ありがとうございました。
2024年は世界的に選挙イヤーでした。世界各地で選挙が行われ、各国の政治状況が大きく変わりました。特にアメリカの前トランプ大統領の再選は来年、世界的に影響を与えそうです。
写真は久保田金僊の伊勢神宮の軸「迎年新生」と伊万里焼の宴会図鉢。2024年の大河ドラマ「光る君へ」と2025年の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」にちなんだ古美術品です。「光る君へ」は大河ドラマの中でも秀作で、特に主人公の藤原道長が戦いをさせない政治を行う題材が見どころでした。武士の政権は伊勢平氏の平清盛から始まりますが、脚本家大石静は武者、伊勢平氏の関係者を多数登場させています。
ところで金僊が描いた伊勢神宮の軸は、神道が武力国家に利用された時代、1940年の作品。「光る君へ」の中では「刀伊の入寇(1019年)」の場面で朝廷が伊勢神宮に和平を願って使者を送る場前が描かれています。この「迎年新生」が描かれた太平洋戦争直前ですが、多くの日本人は道長の時代のように戦争よりも和平を望んでいたのではないでしょうか。 一方、来年の「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」の時代は町人文化が花開く時代。この時期に形成された文化が現在でも日本人の中に息づいています。伊万里焼の宴会図鉢から江戸時代後期の庶民の実態を垣間見ることができます。
両作品の共通点は「平和」。戦争による経済的繁栄よりも平和を維持するための経済活動の方が大切なような気がします。 2025年は世界各地で起こっている紛争を止め、平和な社会の中で文化的な生活を送りたいですね。

皆様、良いお正月をお迎えください。

掛軸の縦横 126cm×61.5cm
伊万里焼宴会図鉢の口径 約23.8cm/高さ 約9.5cm

御売約、ありがとうございました

https://m.tsumanne.net/si/data/2024/09/08/9550944/1725795886958.jpg
https://news.goo.ne.jp/article/trendnewscaster/entertainment/trendnewscaster-66517.html


イエス・キリスト 銅製 十字架
[2024/12/21]

クリスマスの季節となりました。ニュースを見ているとクリスマスケーキの材料が値上がりし、ケーキ屋さんは価格設定に四苦八苦しているとか。安価でクリスマスケーキが買えたコロナ前が懐かしいですね。
写真はイエスキリストの十字架。これを見ていて私は初めて買ったイエスキリストの十字架のネックレスのことを思い出しました。それは1968年、小学校2年生の時です。私が通っていた小学校の前にカトリック幟町教会(世界平和記念聖堂、昭和29年8月6日竣工)があり、その売店でネックレスを購入しました。その頃、私はキリスト教が何かわからなかったのですが、金メッキを施したネックレスはきらきらして美しかったのを覚えています。若い時、私はヨーロッパにある多くの教会を訪ね歩きました。その中でも好きな教会はケルン大聖堂、ミラノ大聖堂、ノートルダム寺院。特に好きな教会はノートルダム寺院ですが、2019年に火災で焼け落ちた建物は今年、再建されました。良かったですね。 ちなみに建築家村野藤吾が設計したカトリック幟町教会は現在、重要文化財に指定されています。この建物は戦後の建築としては初めて重要文化財に指定された和洋折衷の美しい建物です。世界的な教会に比べると幟町教会は小さな教会ですが、私にとっては思い出深い教会。大人になると一層、幟町教会の重要さが認識できます。広島市に行く機会があればぜひ訪ねてみてください。


十字架の高さ 約27cm/横幅 約12.8cm

御売約、ありがとうございました

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%B9%B3%E5%92%8C%E8%A8%98%E5%BF%B5%E8%81%96%E5%A0%82


木彫 クリスチャン 聖人像
[2024/12/14]

12月中旬になっても秋のような気候です。町中はクリスマスシーズンで賑わっていますが、以前のようなホワイトクリスマス感がありません。このままいくと紅葉のクリスマスになるかも。
写真の作品は木彫・クリスチャン聖人像。クリスマスにちなんだ作品です。聖人像が作られたのは日本でいうと元禄時代頃。まだヨーロッパでは磁器生産が行われておらず、日本がヨーロッパに伊万里焼を輸出していた時期で日本のGDPも世界トップクラスでした。ヨーロッパが世界を征服するのは産業革命が起こった18世紀以降で、17世紀のヨーロッパの国々は宗教と王権が争う地域でした。
ところで最近のヨーロッパ各国の政治状況を見ているとフランス、ドイツが混乱気味です。理由は技術力の低下と移民政策問題。特にドイツはフォルクスワーゲンの社員のストライキなど、中国の自動車産業の躍進の影響を受けて大きな打撃をこうむっています。一方、イタリアに目を向けると前の2国ほどの混乱はありません。もともとイタリアは保守層のカトリックと移民の左翼の国。中道の政治を行ってなかった国です。単純に言えば宗教と労働分配率の政治。 今更ですが、これを考察するとイタリアは先進的な政治を行っていたのではないかと感じます。ちなみにルネッサンス文化もイスラム移民の影響が大きく、イタリア人だけでは達成できなかっただろうというのが私の意見です。
この像は宗教的、右派的な像ですが本作を見ていると教育で教わった近世のヨーロッパではなく、古美術品を通してヨーロッパの歴史に触れることができたような気がします。楽しいですね。


台座込みの高さ 約26cm/台座の径 約10cm

御売約、ありがとうございました

https://igm-zwickau.de/aktuelles/meldung/klare-ansage-gegen-werksschliessungen-und-kahlschlag-plaene-bei-volkswagen


根来の小皿(楪子ちゃつ)
[2024/12/07]

12月に入っても秋のような気候が続いていますが、山間部では紅葉が見ごろとなっています。平野部では紅葉の見ごろは12月中旬とか。紅葉にも地球温暖化の影響があるようです。先週、ブログ欄には朝鮮人は白を重んじるという話を書きました。一方、日本人が重んじている色は赤です。いうまでもなく赤は太陽を表わす日の丸の色。聖徳太子が唐の皇帝に送った文書に「日出づる国」とあるように古代から太陽信仰をしている日本人は太陽、赤を崇拝していました。これより以前、卑弥呼の時代、貴人を埋葬した棺には赤い辰砂(朱)が塗られています。また、平安時代初期、真言宗を起こした空海は辰砂(朱)を確保するために採掘地周辺に金剛峰寺を建設しました。 桃山時代、朱と金の価格が同じだったとか。
写真は根来塗の小皿(楪子ちゃつ)。 古美術品を代表する漆器です。根来塗は和歌山県の紀ノ川沿いにある根来寺で生産される漆器です。根来寺は真言宗の寺なので空海が重んじた朱を伝承しています。 根来塗の特徴は黒漆の上に朱漆を塗る技法で、これを採用すると堅牢さが増します。この様式は日本各地の漆器製作所でも用いられ現在でも根来塗として流通しています。本作は江戸時代の小皿ですが見ていると、赤(朱)にまつわる日本史を垣間見ることができます。本品で日本酒を飲むと日本の歴史が腹に入ってきそうですね。


口径 約8cm/高さ 約3.7cm

御売約、ありがとうございました

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