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北国の冬の到来
[2024/11/30]

先週、シベリアから寒気団が入り韓国のソウルは大雪、北海道も雪の季節となりました。日本人にとって雪景色は当たり前ですが、赤道付近に住んでいる人は雪を見たことがなく、雪を珍しく感じるようです。テレビのニュースで外国人観光客が雪を見て声を上げている様子を見ると冬が来たと感じます。
ところで李朝といえば白磁が代表的な焼物。マットな白磁から水色がかった分院の白磁まで白色には多様なバリエーションがあります。日本人は灰色について敏感な感性を持っていますが、朝鮮人は白に対して特別な思いがあるようです。もっともアラスカに住むエスキモーは白色を20種に分けることができるそうです。雪国の人にとって白色は生活の一部なのですね。
写真は李朝の白磁お預け徳利。薬酒などを入れていた容器です。この作品は時代が古いのでマットな白色をしています。粉引きに似た粉っぽさがあります。 最近、砥部焼の白磁は人気がありますが、温度管理ができる電気窯を使って作られるので無表情です。生活用具としては便利ですが、鑑賞になると物足りなさを感じます。一方、古い李朝の白磁などは造形や釉薬の変化があり見ていて飽きません。本作の下部には釉薬が掛かっていない部分があり、そこが信楽焼の壺の自然釉の景色に似ています。だから、井上陽水が「白い一日」で歌っているように飽きないのですね。

高さ 約15.8cm/胴径 約10.5cm

御売約、ありがとうございました


勤労感謝の日
[2024/11/23]

先週、シベリアから寒気団が入り韓国のソウルは大雪、北海道も雪の季節となりました。日本人にとって雪景色は当たり前ですが、赤道付近に住んでいる人は雪を見たことがなく、雪を珍しく感じるようです。テレビのニュースで外国人観光客が雪を見て声を上げている様子を見ると冬が来たと感じます。
ところで李朝といえば白磁が代表的な焼物。マットな白磁から水色がかった分院の白磁まで白色には多様なバリエーションがあります。日本人は灰色について敏感な感性を持っていますが、朝鮮人は白に対して特別な思いがあるようです。もっともアラスカに住むエスキモーは白色を20種に分けることができるそうです。雪国の人にとって白色は生活の一部なのですね。 写真は李朝の白磁お預け徳利。薬酒などを入れていた容器です。この作品は時代が古いのでマットな白色をしています。粉引きに似た粉っぽさがあります。
最近、砥部焼の白磁は人気がありますが、温度管理ができる電気窯を使って作られるので無表情です。生活用具としては便利ですが、鑑賞になると用をなしません。一方、古い李朝の白磁などは造形や釉薬の変化があり見ていて飽きません。本作の下部には釉薬が掛かっていない部分が、そこか信楽焼の壺の自然釉の景色に似ています。だから、井上陽水が「白い一日」で歌っているように飽きないのですね。

口径 約8.7cm/高さ 約5.2cm

御売約、ありがとうございました


藤島華僊 恵比寿 軸
[2024/11/16]

11月中旬になっても10月のような陽気です。猛暑は嫌ですが、11月がこのくらいの気候だと地球温暖化の影響も悪くないと感じます。
個人的な話になりますが、広島市には「とうかさん大祭」「住吉祭」「胡子講」の三大祭りがあります。その中でも「胡子講」は東京の「酉の市」のようなお祭りで、冬の訪れを告げる祭りとして有名です。「胡子講」は400年の歴史のある祭りで、「住吉祭」と共に広島市が海と深くかかわっている土地であることを示唆してくれます。
写真の掛け軸は藤田花僊の「恵比寿」図。花僊は子供のころから日本画家に弟子入りした職人気質の日本画家です。この絵の面白いところは恵比寿様が鯛を釣っている様子を描いているところ。釣りをした人ならわかると思いますが、礒釣りはこんな感じです。ちなみに私の実家は釣り道具屋です。祖父と父が釣り道具屋を営んでいたのですが、私の代になって古美術商に変わりました。「恵比寿」図を見ていると瀬戸内海で釣りを楽しんでいたことを思い出します。 鯛を狙うのですが、あまり釣れません。釣れるのはキスやアイナメばかり。当時は雑魚と思っていた魚は現在、高級魚となりました。最近、温暖化によって海の環境が変わり、獲れる魚も変わっているようです。さて、この絵の恵比寿様が一体、何を釣り上げるのでしょう。

本紙サイズ 縦横 31.5cm×40.5
軸サイズ 縦横 123cm×51.5cm

御売約、ありがとうございました


李朝 木彫 十王像
[2024/11/09]

11月7日(木)、アメリカ大統領選が行われ、トランプ氏が次期大統領に決まりました。メディアの予想に反してトランプ氏が圧勝した理由は、アメリカ人がインフレに嫌気が差していたからでしょう。トランプ氏の大統領再任によって世界情勢に変化が起きるはず。日本も含めて良い方に変わればよいですね。
現在、多くの国は選挙で大統領や首相を選びます。独裁国家は別として一般的には大衆によって首長が選ばれるのは当然に感じられるでしょう。しかし、近代以前は宗教や王によって人々の人生が決まっていました。
写真は木彫の十王の一像。十王は道教や仏教で、地獄において亡者の審判を行う裁判官です。日本では恵心僧都・源信の『往生要集』によって広められ、地獄のイメージが作られました。それ以前の日本人は地獄の存在などは知らず、怨霊によって災いが起こると信じていました。地獄の概念が広がって以降、宗教の力が増大したように感じます。
一般的にアメリカは法治国家だと考えられていますが、不思議なシステムも存在します。
トランプ氏はいつくかの罪を起こしていますが、大統領に当選したので起訴は取り下げられるようです。人々が期待しているのは不正の罪を免責してでも、ウクライナやパレスチナの紛争の解決に注力してほしいからでしょう。

ところで、この十王像を前に「私たちはこれで良いのでしょうか?」と尋ねると、「こんなことをしていると地獄に落ちるぞ」と言われるような……。ただ、私が落ちるのは一般的な人々が考えているような地獄ではなく、「骨董地獄」。偽物を高値で買った時など、まさに地獄です。
十王様に、「お願いですから、骨董地獄にだけは落とさないでください」とお願いしました。

高さ 約21.5cm/横幅 約15cm/奥行 約6.5cm

御売約、ありがとうございました

https://izumiya-inn.com/20622.html


大堀相馬焼尺皿・伊万里焼矢羽根そば猪口
[2024/11/03]

すっかり、秋らしい気候になりました。近所の公園を散歩するのも心地よい季節です。秋といえば食欲の秋、読書の秋、芸術の秋。このブログでは度々、現代美術と古美術作品の類似性を書いてきました。今回、取り上げるのは古美術品に描かれた線と現代美術が描いた作家の類似性です。

写真の油絵作品は現在、多摩美術大学の教授をしている中村一美さんの作品。色のついた線だけで構成されています。中村さんとは20歳代の時からの長い付き合いですが、時々、古美術品の線を見ていると中村さんの作品を思い出します。写真にあげた古美術品もその一つ。大堀相馬焼と伊万里焼の食器ですが、重なった線がデザインされています。線のデザインは補助的な模様に使われることが多いのですが、作家の感性が線にこもると美が生まれます。定規で描いた線ではない生きた線が美を生みます。線だけの作品が生まれたのは1960年代。
ジャスパー・ジョーンズやバーネット・ニューマンがアメリアで抽象表現を行った時期です。写真の作品を見ていると、どこかに類似性を感じませんか?
時代を超えて美的な様式が持続しているのは面白いですね。

大堀相馬焼尺皿 口径 約32cm/高さ 約5cm
伊万里焼そば猪口 口径 約8.2cm/高さ 約6.3cm

大堀相馬焼尺皿 御売約、ありがとうございました
伊万里焼そば猪口の購入をご希望の方はこちらから


https://jp.pinterest.com/pin/607211962288260583/
https://bijutsutecho.com/magazine/news/exhibition/20795


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