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会津本郷焼 鉄絵染付 菊文 徳利
[2024/10/27]

「菊」といえば皇室の紋章を思い浮かべる方が多いいと思います。年配の方ならば昭和時代に各地で開催されていた菊人形展を思い出す方もいるでしょう。
菊は日本人にとってなじみ深い植物ですが、実際には平安時代に中国から輸入された外来種で、奈良時代まで日本には菊がありませんでした。私見では唐で流行していた菊の種を空海や最澄などの遣唐使が持ち帰ったと想像しています。
菊を皇室が紋として使用するようになったのは鎌倉時代の後鳥羽上皇です。後鳥羽上皇といえば承久の乱を起こした張本人。時代は、乱によって貴族から武家の世に変わります。

写真は会津本郷焼の菊文徳利。会津といえば幕末期、京都を守護していました。最終的には戊辰戦争で会津は敗北しました。しかし、その後の会津人の活躍については山本覚馬や新島八重など、NHK大河ドラマ「八重の桜」に描かれています。 ちなみに元禄時代に菊の栽培ブームが起こるのですが、それが幕末期に中国に逆輸入され、中国人の菊に対する美意識を一変させました。 また、明治時代になるとヨーロッパにも菊が輸出され、天皇家の紋章の菊は世界的に有名になります。古美術品の菊を見ていると、菊文の歴史を連想することができるので面白いですね。
この時期、各地で菊人形展が開催されます。夏の花火と共に、秋の菊人形展は日本人が昔から楽しむイベントの一つ。機会があれば、菊に思いを馳せて季節を楽しんでください。

高さ 約31cm/胴径 約29cm

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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%8C%E9%B3%A5%E7%BE%BD%E5%A4%A9%E7%9A%87
https://autabi.com/lp/kikuningyo/


陶器の映える季節
[2024/10/20]

10月も中旬になると秋らしさが増し、過ごしやすい季節となりました。公園を散歩すると心地よさを感じることができます。
古美術品と付き合う面白さに季節によって衣替えをすることがあります。春は明るい色の陶磁器、夏は染付とガラスが似合います。そして、秋に一番似合うのが温かみのある陶器。味わい深い陶磁器は食欲の秋にぴったりです。日本酒も冷酒からぬる燗に、それに合わせて使用する酒器も変わります。秋から冬には温かい抹茶も美味しい季節。和食の繊細な味に似合うのが表情豊かな陶器です。

写真は楽山焼の御本茶碗、萩焼のぐい呑み、李朝の徳利です。3点ともほんのり赤色が出ているので温かさを感じさせてくれます。このような作品を食事に合わせて楽しむことができるのが和食の楽しさです。陶器作品には日本人の感性の見せどころが詰まっています。 これから1か月、食べ物の美味しい季節。古美術品との付き合いも楽しい季節です。

楽山焼御本手茶碗 口径 約12.5cm〜13.4cm/高さ 約7.8cm
萩焼松本萩ぐい呑み 口径 約6.3cm/高さ 約5.5cm
大正李朝かけ流し徳利 高さ 約15cm/胴径 約8.7cm

御売約、ありがとうございました

橋本 玄武庵の懐石料理 https://www.genbuan.com/


アザミの思い出
[2024/10/13]

長かった猛暑の夏も過ぎ去り、秋がやってきた感じがします。近所を散歩すると心地よく、やっぱり秋は良いなと感じます。店内を見まわして秋商品を探していると波佐見焼のアザミ文そば猪口が目に入ってきました。と、同時に私の頭の中に中島みゆきの「アザミ嬢のララバイ」が蘇ってきます。「春は菜の花 秋には桔梗 そして私は いつも夜咲くアザミ〜♪」。1975年9月25日に発売されたシングルレコードです。私と同年代の方であれば10月頃、この曲が深夜のラジオ番組「オールナイトニッポン」から流れていたのを覚えているでしょう。この曲を聴きながら15歳の私は「早く恋愛がしたい」と恋愛を夢見ていました。それから数年後、失恋と2浪という感情的に悲惨な状況に陥った私は、「青春とは何と残酷なものだろう」と楽しそうにしている友人たちを見て羨んだものです。
写真の右側の猪口は亀山焼の染付桜と傘文のぐい呑み。アザミのそば猪口に比べると華やかで明るい感じがします。この作品を見て浮かぶのが福山雅治の「桜坂」(2000年4月26日発売)。この頃、私は仙遊洞を開店と同時に2人目の子供が生まれて、てんやわんや。感傷に浸る暇などない肉体的に悲惨な状況に陥っていました。
2つの時代は苦しい時期でしたが、今、思い返すと懐かしさがこみ上げてきます。ちなみに、松山千春は「季節の中で」(1978年8月21日発売)の中で、「めぐるめぐる季節の中で あなたは何を見つけるのだろう〜♪」と歌っています。2024年もあと数か月。季節はめぐりますが、私はめぐる季節の中で、好きな骨董品を探しています。

(左)蕎麦猪口の口径 約6.7cm/高さ 約5.2cm
(右)猪口の口径 約6.3cm/高さ 約5cm

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出雲の神無月
[2024/10/06]

猛暑だった夏も終わり、秋めいてきました。自民党の体制も変わり、季節と共に社会も変わっていくようです。日本には昔から月を表わす名前があります。10月は「神無月」ですが、出雲地方だけは「神在月」と呼びます。大和は陽、出雲は陰の神が司る場所なので、太陽に陰りが見える10月に日本全国の神が出雲に集まるとされたようです。

写真は志田窯の大国ねずみ。大黒天はインドのシバ神が日本に輸入されて出雲神になった神です。シバ神は破壊と再生を司る神なので、10月に世界を破壊する役割を担っています。ちなみに大黒様には俵、大根、ねずみが付き物。大根を食う鼠(だいこ(ん)くうねずみ)が大国鼠になったと言われています。言葉遊びを応用した説ですが、実際には大黒天の起源であるシバ神はシバリンガ(男根)の神なので、ねずみは精子、二股大根は女性を表しています。江戸時代、各地の村や町には男性器を模った石棒が祀ってありました。幕末期に日本に来た外国人の目には、若い女性がそれを楽しそうに触っていることが奇妙に見えたと記録しています。最近、日本で少子化が進んでいるのは、大根ねずみなど見向きもしなくなったからでしょうか。東京都では若者を結婚させるためにマッチングシステムの導入を始めたとか。時代が変わると国の文化、風習も変わっていくようです。

口径 約16cm/高さ 約2.3cm

御売約、ありがとうございました


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