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木彫 クリシュナ像
[2023/10/29]

秋らしく過ごしやすい天気に誘われて、先日、府中市美術館で開催されている「インド細密画」展に行きました。インドの細密画は日本でいうと御伽草子のような絵画で、古代の神話や当時の風俗が題材にされています。仏教に縁のある日本人にとってインド宗教は馴染み深いものですが、ヒンドゥー教になるとわからないという人が多いと思います。空海が流布した密教などはヒンドゥー教が中国仏教と融合した宗教で、大黒天(シバ)や弁財天(ラクシュミー)などのヒンドゥー教の神々は記紀神話などにも取り入れられ、日本人にも信仰されています。 写真はクリシュナの木彫像。
日本でいうと木彫の恵比須大黒のような作品です。クリシュナは叙事詩『マハーバーラタ』にヴィシュヌの化身として登場する英雄神で、インドでは絶大な人気があり、キリスト教などでもバクティ(愛の神)として知られています。約16000人もの妃がいたというのですから本当に愛の神ですね。日本でいうとスサノオノミコトのような存在で、冒険や恋愛などの話は日本のおとぎ話(桃太郎、金太郎)の起源にもなっています。最近、インドの経済成長は目覚ましく、「RRR」などの映画も世界的にヒットしました。カースト制や民族の複雑さなど理解しにくい点もありますが、これから日本でもインド文化の面白さに注目が集まってくるでしょう。古美術作品を通してインド文化に触れるのも楽しいですよ。

全体の高さ 約31cm/横幅 約9cm

http://fam-exhibition.com/india2023/

過去のクリシュナ展覧会
https://www.tnm.jp/modules/r_exhibition/index.php?controller=item&id=7037

インド細密画展
http://fam-exhibition.com/india2023/

御売約、ありがとうございました

鍋島焼 染付 葛文向付
[2023/10/22]

10月中旬になって急に気温が下がり、インフルエンザや風邪が流行しているようです。ニュースでは、処方箋の風邪薬が上足しているとか。昨年、中国人が日本の風邪薬を買い占めていたことを思い出します。いずれにせよ、風邪薬は早めに準備しておくことが大切です。写真は鍋島焼の染付葛文向付。葛は秋の七草として、昔から日本人の生活に深くかかわってきました。日本人は葛の繊維で葛布をつくり、根は薬用の葛根湯に、粉は和菓子の材料として利用しました。私見ですが、中世の貴族、藤原氏の語源は葛原だと考えています。それは古代、葛が人々の生活に欠かせない椊物で、それを藤原氏が統制していたからです。特に葛根湯は発汗作用・解熱作用・鎮痛作用があるので、風邪や胃腸薬として民間治療に用いられました。古代から中世にかけて藤原氏は医療を司る一族だったのでしょう。 薬は莫大な利益をもたらします。それは今回、コロナウィルスの治療薬を開発したアメリカの製薬会社を見れば理解できるでしょう。ちなみに、葛は古くから絵画や意匠の題材として扱われてきました。代表的な作品は酒井抱一の描いた『風雨草花図』。抱一は琳派の様式で美しい秋草図を描いています。古美術品に描かれたデザインを見ながら日本文化について考えるのは楽しいですね。

口径 約9.9cm/高さ 約6.8cm

御売約、ありがとうございました

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Natsu_aki_kusa-zu_byobu_2.jpg


相馬焼 青磁 馬文 三つ組鉢
[2023/10/15]

すっかり秋らしい時候となり、晴れた日は空が澄み渡っています。散歩をしていても心地よく、やっぱり秋は良いなと感じます。
写真は相馬焼の青磁馬文三つ組鉢。相馬といえば「相馬野馬追」が有吊です。コロナ禍で数年間開催できなかったお祭りも2023年7月に再開されたのですが、今年は猛暑で馬も人も熱中症にかかり、祭りの執行委員会は涼しい時期への日程の変更を検討しているとか。祭りの開催にも猛暑は影響を及ぼしているようです。
秋といえば、「天高く馬肥ゆる秋」。意味は「秋の空が澄み渡り、食べ物も美味しいので人も馬も肥える」です。しかし、この諺の起源は唐の詩人・杜審言の「漢書」の一文に由来しています。それは「雲浄妖星落 秋高塞馬肥」で、上吉な彗星(妖星)が落ちると、北方の騎馬民族が(塞馬)が肥えた馬に乗って攻めて来るという詩です。農耕民の漢民族にとって狩猟系の騎馬民族・匈奴は脅威以外の何物でもありませんでした。 その騎馬民族が日本に渡来したのは4世紀、応神天皇の時代で、それは記紀に天皇の東遷として記されています。時代は変わって10世紀、平将門(相馬氏の祖先)の時代、関東は馬の産地となり、それが江戸時代に神事となって現在まで続いています。 ところで「相馬野馬追」が行われていたのは、2011年の東北大震災で原発の放射能汚染が広がった地域です。最近、その地域は原発の処理水の放流、漁業の問題で中国と揉めています。馬といい、魚といい、今も昔も人が住むところには常に民族の問題が起こるようです。 ちなみに、この三つ鉢に郷土料理でも盛って食べると、食欲の秋を感じることができるでしょう。秋は何でも美味しい。食べ過ぎて太らないよう、「天高く人肥ゆる秋」に注意が必要かもしれませんね。

https://pro.foto.ne.jp/free/product_info.php/products_id/849

大鉢 口径 約23.5cm/高さ 約8cm
小鉢 口径 約17cm/高さ 約6.3cm

御売約、ありがとうございました


京塗 黒漆金銀彩 菊文 棗
[2023/10/08]

先週から気温が下がり、秋らしい気候になってきました。昨日、散歩をした時、近所の小学校で運動会をやっていました。暑さも和らいだので、子供たちも思いっきり運動できたと思います。写真は黒漆金銀彩の菊文棗。京都ならではのグッドデザインの作品です。菊は観賞用多年草椊物で、日本で花卉園芸の椊物として発展しました。江戸時代、各地で菊の観賞が一般化すると人気が拡大、幕末期には日本の菊は、菊の本家である中国に輸出され、中国の菊事情を一変させました。ちなみに「菊紋」を皇室の家紋としたのは鎌倉時代の鳥羽上皇。 京都の人が菊に愛着を持っているのは、他の地域とは違う事情がありそうです。菊の発展と共に美術品にも菊の意匠が採用されるようになります。同時掲載した写真の大堀相馬焼の船徳利、伊万里焼菊文皿は、当時の菊人気を反映した作品です。多年性の菊の中で日本人に一番馴染み深いのは秋菊(9~11月)。実際の菊の観賞機会は減っていますが、古美術品を通じて季節感を楽しむのも良いですね。

https://free-materials.com/%E8%8F%8A%E3%81%AE%E8%8A%B1%EF%BC%
88%E9%BB%84%E8%89%B2%E3%81%84%E8%8A%B1%EF%BC%8901/

棗 高さ 約4.5cm/横幅 約6.5cm
徳利 高さ 約18.5cm/胴径 約15cm
皿 口径 約19cm/高さ 約3cm

御売約、ありがとうございました

備前焼 大黒天像
[2023/10/01]

10月に入り、猛暑が一朊しました。散歩をしていても過ごしやすく、徐々に秋が近づいている感じがします。10月は和風月吊で「神無月」。一方、出雲地方では10月を「神在月」と呼びます。これは、太陽活動の減少と神々が闇見国(くらみのくに)である出雲に集合するという伝承を結び付けつけられた月吊です。その出雲を代表する神様が大黒天。元々、大黒天はヒンドゥー教のシヴァ神の化身であるマハーカーラ(偉大なる黒)で、それが日本に伝来、軍神・戦闘神、富貴爵禄の神とされました。面白いのは日本で出雲の大黒天は子孫繁栄、恋愛成就の神として信仰されています。これは、人間が夜、生殖活動を行うことに関係があるからでしょう。写真の大黒天像は二股大根を左手に持っていますが、この大根は女性の下半身を表わしています。一方、男性は打ち出の小槌で表されています。 ちなみに、精子は鼠で表されるので江戸時代の伊万里作品には大黒天と鼠の図がしばしば登場します。ところで、最近日本で少子化が社会問題になっています。表の赤の折れ線(出産数)を見ると、本当に出産数が減っていることがわかりますね。2022年に生まれた新生児の数は77万人、これは団塊の世代の3分の1です。 少子化の原因はいろいろ考えられますが、一番の原因は先進国がかかる先進国病でしょう。逆に言うと日本も最近、先進国の仲間入りをしたことになります。日本よりも早く先進国になったイギリスやフランスは移民を受け入れて人口減少を食い止めていますが、日本もこれから外国からの移民を受け入れて人口減少を食い止めることになるでしょう。その移民はどこから来るのか? インドから来た大黒様が日本に根付いているように、これからインド周辺から来る移民が増えるかもしれません。いずれにせよ、日本で大黒天は民族や出身国に関係なく今後も吉祥として祀られることでしょう。

https://forest17.com/yasai2/yas2_5777.html
高さ 約27cm/横幅 約19cm

御売約、ありがとうございました

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