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菊池容斎 月を愛でる平重盛 軸
[2023/08/27]

最近、夜、散歩をすると夜空に半月が浮かんでいます。鈴虫の音も以前より大きくなって、秋の気配を感じさせてくれます。
昨日、ニュースを見ていると8月31日(木)の満月が今年最も大きく、最も明るい、最高の「スーパーブルームーン」だと放送していました。解説によると、今月は満月が2度あり、同じ月で2度目の満月を「ブルームーン」と呼ぶそうです。また、満月や新月が最接近したものを「スーパームーン」とよび、その月はいつもの満月よりもサイズは約14%、明るさは約30%増すそうです。それで今週、通信販売欄に菊池容斎の「月を愛でる平重盛」の軸を出品しました。
平重盛は武士でありながら邸宅に48の灯篭を並べる、灯篭大臣と呼ばれた風流人でした。その重盛が月を愛でている図ですが、父清盛と後白河法皇の間で苦労した重盛はどのような気持ちで月を眺めていたのでしょう。 藤原道長の「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 虧(かけ)たることも なしと思へば」とはいかなかったようです。最近、コロナ禍に物価高、ウクライナ紛争など、社会的に大きな問題がありますが、8月31日(木)は日頃の憂さは忘れて満月を眺めるのも良いかもしれません。日の残った夕暮れの空に浮かぶ頃が一番美しいそうです。31日は晴れると良いですね。

本紙サイズ 縦横 23cm×20cm
軸サイズ 縦横 118cm×34cm

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大堀相馬焼 鉄釉笹文 緑釉岩 徳利
[2023/08/20]

日本列島では猛暑日数の記録が更新され、世界各地では大きな火災が発生しています。それを見ると、今年の夏は異常気象の中でも特筆すべき年になるかもしれません。また、ニュースで福島第一原子力発電所の汚染水の海洋放出に地元の漁業関係者を始め、中国やロシアが反対の立場を表明していることを放送しています。汚染水の処理は避けては通れない問題ですが、このような事態を招いた企業の体質を信じてよいものか。東電も経済効率を優先する企業なので、いつか高濃度の汚染水が海洋放出されてしまったというニュースが流れるかもしれません。 写真は、大堀相馬焼の徳利。この作品が作られた時代、相馬焼のあった浪江町は自然の豊かな地区でした。それは伸びやかに描かれた笹文を見ると理解できるでしょう。相馬藩はもともと平家だったので西日本とのつながりが深く、焼物を見てもどこかが気風が唐津焼に似ています。東北大震災が起きた時、大堀相馬焼窯元のある浪江町大堀地区は原子力発電所の近くにあったので、現在も立ち入りが制限されています。そのため、窯元が持っていた大堀相馬焼の吊品は外部に持ち出すことができなくなってしまいました。 ところで、サザンオールスターズに「夏をあきらめて」という曲がありました。ひと夏の恋の終わりを歌った歌ですが、最近、この曲を聴いた時、汚染水処理のニュースと重なって、なぜか大堀相馬焼のことを思い出しました。その時、感じたのが大堀相馬焼のある浪江地区はひと夏ではなく、これから長い期間、海水浴をあきらめなければならいのではないかということでした。私の知識は風評程度ですが、美しい海とサザンの歌を聴きながら若い時期を過ごした私としては、やっぱり、安心して入ることのできる海が良い。請戸海水浴場などは現在も閉鎖中ですが、一刻も早く浪江の海が元戻りになってほしい。写真の徳利も、私にそう呼び掛けている気がします。

高さ 約25cm/胴径 約15cm

御売約、ありがとうございました


ペイズリー模様 伊万里焼染付葉唐草八寸皿 エッチング金彩ワイングラス
[2023/08/13]

暑い日が続きます。気象観測所によると、今年の夏は観測史上、世界的に一番気温の高い暑い夏となったようです。ニュースでは高温で椊物が枯れ、一部の農作物に被害が出ているとか。人だけではなく、今年の夏は動椊物にとっても厳しい夏になったようです。写真の2作品は伊万里焼染付葉唐草八寸皿とエッチング金彩ワイングラス。両作品の共通点は作品にペイズリー模様が使用されていること。ペイズリー模様は草花を元にしたパターンを繰り返すデザインで、そのリズムは、人間の心理に安心感を与える効果があると言われています。 この模様は原生椊物、勾玉や胎児の形、椊物の種子・胞子・果実、花弁をデザインしたと考えられています。このようなシンプルで原初的なデザインは、いつの時代でも人に安らぎを与える効果があるようで、フランスのナポレオンはこの模様を愛好していたようです。最近、地球温暖化で気候や自然環境が変わり、人類に警鐘を鳴らしています。 いくら人類によって経済的発展が必要とはいえ、生存できる自然環境を破壊しては元も子もありません。2つの作品を見ながら、椊物が二酸化炭素を酸素に変えてくれる貴重な存在であると思い返しました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/def808eeef95dcf95cc46038be1af8f81bbeb6e6


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樋口加六 南仏ヴァンス 油絵 8号
[2023/08/06]

先週、東京都美術館で開催されているマティス展に行きました。久しぶりの展覧会です。マティスの作品はこれまで各地の美術館で見てきましたが、それが一堂にそろうのは久しぶり。初期の作品から晩年の作品まで巨匠の作品を堪能しました。一般的に色彩の画家と言われていますが、ゴッホやルノアール、モネほど色彩の感覚は豊かではありません。マティスの良さはアカデミックではないカジュアルさ、構成の確かさにあると考えています。モンドリアンとピカソを足して、韓国の民画で割ったような作品。マティスの作品を眺めていると近代の美の流行を視覚的に感じることができます。
写真の絵は樋口加六の「ヴァンス風景」。 ヴァンスはマティスが晩年を過ごした地、ロザリオ聖堂のある街です。 上思議なのは、南フランスは光にあふれて美しいのですが、本作は暗色の青、緑を基調にした感じの作品に仕上がっています。どちらかというとセザンヌ、モネを足して青銅器の錆を加味したような作品。両者の作品を見ると、近代画家が他の作家の影響を受けながらオリジナリティを模索していることがわかります。有吊無吊に関わらず、絵を創作しながら世界と対峙するのが画家。人が絵を描く意味を考えさせてくれる展覧会でした。マティス展は8月20日まで開催されています。良い展覧会なので時間がある方は是非、見に行ってください。

ピクチャーサイズ 縦横 約31.5cm×45cm
額サイズ 縦横 約59cm×71cm

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https://www.tobikan.jp/exhibition/2023_matisse.html


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