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瀬戸焼 色絵 蒸気機関車と駅舎 火鉢 保温器 
[2023/04/30]

4月29日(土)からゴールデンウィークが始まりました。1日(月)と2日(火)に休みを取れば最大9連休の休みが取れます。今年はコロナ感染者数も落ち着き、久々に自由に外出、旅行を楽しむことができそうです。世界的には問題が山積していても、日本は長かったトンネルをやっと抜けたという感じがします。写真の作品は瀬戸焼の色絵「蒸気機関車と駅舎」火鉢、あるいは保温器。元々は蓋が付いている道具だったようですが、実際に本品を何に使ったかは上明です。世の中には奇妙なものが存在し、人々に疑問を投げかけます。胴部に文明開化を象徴する蒸気機関車の絵が描かれているので、新しい文化、ハイカラさに関係する道具であることは間違いないでしょう。個人的にはパンの発酵器だと考えているのですが……。ところで2022年は日本での鉄道開業150周年でした。 しかし、昨年はまだコロナ感染者が多かったので旅行どころではなく、ゴールデンウィークも今一つ盛り上がりに欠けていました。去年の今頃と比較すると、今年は何もなくて楽しい。単なる日常がこれほど貴重だったとは。この平穏な時代が長く続いて欲しいですね。

横幅 約26cm/高さ 約21.3cm

御売約、ありがとうございました

コートジボワール 銅製 三つ足 鳥動物文 蓋物
[2023/04/23]

私が初めてアフリカ美術に出会ったのは1986年にフランス、アヴィニョンに留学していた時です。 美術に興味はあっても社会状況に関心のなかった私はフランスに行ってアフリカや西アジア出身の人たちがたくさん住んでいることを知りました。その時、友人になったアフリカ人の家に仮面があり、そこで初めてアフリカ美術に接しました。当時、日本はバブル経済の最中、経済一辺倒で遠いアフリカの国に関心のある人は少数派でした。21世紀になり、2006年、パリにケ・ブランリ美術館が開館した頃から世界的にアフリカ美術への関心が高まり、日本に美術品が輸入されてアフリカ美術は身近な物になりました。写真はコートジボワールの銅製の鳥動物文蓋物。香炉などに使用された作品です。以前、通販欄にガーナの銅製船乗りの置物を出品したのですが、コートジボワールとガーナは隣国であっても、旧統治国がフランスとイギリスなので作品の雰囲気が異なります。それを判別するのは意外と難しい。アフリカの人が日本と韓国の美術品を区別するのが難しいのと同じですね。最近、スーダンで戦闘が起こり、毎日、その状況が報道され、特に邦人避難への関心が高まっています。戦闘の原因は宗教と資源確保の争い。アフリカ諸国の近代化が進むと資本主義が流入、新たな問題も発生しました。アフリカ諸国が身近になると共に、その問題も身近になってきます。アフリカは資源の宝庫なので、これから世界的に影響力は増していくでしょう。アフリカ美術が私の世界を広げてくれる楽しみもありますが、同時にスーダンに滞在している法人の方が一刻も早く避難できることを願っています。

高さ 約20cm/胴径 約11cm

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李朝 白磁 注ぎ口付き壺 
[2023/04/16]

数日前、朝、テレビを見ていると急に「北朝鮮がミサイルを発射しました」というJアラートのテロップが流れ始めました。ミサイルは北海道近くに落下するとの予測でしたので、その周辺の方はヒヤヒヤなさったと思います。太平洋戦争以降、平和な日本ではこのような事はなかったので、世界は変わったと感じます。朝鮮半島の状況は古美術界にも反映し、北朝鮮の体制に変化が起きるたびに日本に大量の半島の古美術品が流入している。最初は2000年代前半の黄海道のバンダチから始まり、2010年代は民芸調の工芸品、最近は古代以降の発掘品が多く日本に入ってきます。このような状況の中、今までみたこともないような朝鮮の古美術品に出会うことができるので楽しいのですが、反面、ミサイルのこともあるので複雑な気持ちになります。写真は李朝白磁の注ぎ口付き壺。通販の解説にも書きましたが、本作などを作っていた陶工たちが日本に磁器の技術を伝播させ、伊万里焼の誕生に関わったのでしょう。当時、日本人にとって磁器は憧れの商品。現在でいうと半導体でしょうか。骨董品の流通状況が世界の変化と関わっているのを見ているとテレビニュースでは流されない情報を体験を通して取得できます。ちなみに本作は昔、高値の花で取引されていました。それが今はこの価格で販売できるのですから嬉しい気もします。

高さ 約12.8cm/胴径 約18.3cm

御売約、ありがとうございました

切込焼 染付 矢羽根文 そば猪口
[2023/04/09]

4月に入り、春らしい気候になりました。晴れた日に散歩をすると気持ちが良い季節です。これから夏は普段使いの食器に染付の使用が多くなりそう。仙遊洞でも、これから通販欄に染付作品を多数、出品していく予定です。写真のそば猪口は切込焼。一般的に古美術市場では伊万里焼とされる作品です。参考写真(「平凡社 日本やきもの集成12」より)の矢羽根のそば猪口は小峰焼となっていますが、本作と比べると矢羽根の書き方が微妙に違うことがわかると思います。デザインが同じなので、それがどの窯で作られたのか鑑定するのは難しく、最近は本作の他にも染付の徳利など切込焼と小峰焼の違いを鑑定することに苦労しています。原因は切込焼の資料に比べると小峰焼の資料が乏しいこと。これは他の窯でも同じ状況です。個人的な意見は「小峰焼を製作させた延岡藩は伊達藩の支藩だった宇和島藩から切込焼を購入して地元の磁器需要を満たしていたのではないか」です。それで小峰焼の作品と購入した切込焼が混同されて混乱を招いている。文献が残っていないので確証はありませんが長年、古美術賞をやっていると何らかの勘が働きます。 これは一種のサスペンス、謎解きです。逆に言うと、切込焼は謎の多い窯なので収集家を魅了していると言うこともできます。さて、この推理が当たっているのかどうか。興味深いですね。

口径 約7㎝/高さ 約5.5cm~5.8cm

御売約、ありがとうございました

木彫 イエス・キリスト「天国の鍵」 鍵掛け
[2023/04/02]

個人的な話ですが、初めてローマに行ったのは1984年春です。美術大学生の私は古代ローマの遺跡群に驚き、世界は広くて深いのだなと強く感じたことを思い出します。あの頃の日本はまだ借金も少なく、日本人も未来志向で社会も希望に満ちていました。1980年代前半は文化的にも楽しく、デザイナーズブランド、広告文化、お笑いなどアーティストたちがクリエイティブに満ちた時代でした。今日、テレビを見ていると「音楽家の坂本龍一氏が死去」というテロップが流れました。 私にとって坂本龍一は青春そのもので、特に「戦場もメリークリスマス」が大好きな私にとって彼の死去は衝撃的です。先日、YМOのメンバーだった高橋幸宏氏も亡くなったばかり、昭和が徐々に遠のいていく感じがします。写真の木彫のキリストの鍵掛けは20世紀中頃の作品。たまたま本作を「通販」欄に出品した時、坂本氏の死去を知って当時の日本、ローマの空気、システィーナ礼拝堂でペルジーノの『聖ペテロへの天国の鍵の授与』を見たことを思い出しました。キリストは天国へ入ることの鍵を持っていましたが、坂本氏は音楽の鍵を持っていたように感じます。坂本さんが音楽の鍵を持って天国に行くことを祈っています。

高さ 約43㎝/横幅 約10.5㎝/奥行 約5cm

御売約、ありがとうございました

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