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閑谷焼 福禄寿像
[2021/01/31]

先日、NHKの「ハイビジョン特集 城 王たちの物語 マイセン 幻の磁器の城〜アウグスト2世の尽きせぬ欲望〜」(初回放送:2004年)の再放送を見ていた時、番組の中で「宮廷造形師のケンドラー(1706年〜1775年)が立体作品を作ったことによって、マイセン工房は伊万里焼や景徳鎮の作品の呪縛から逃れ、オリジナリティを獲得した」という解説がありました。ケンドラーの作品には写実性が加味されているので、伊万里焼にはないヨーロッパ独自、ロココ調の造形感があります。日本の画家・伊藤若冲の絵画を立体にしたといえば、ケンドラーの作品を理解できると思います。当時、日本ではどのような立体作品が作られていたか、それが写真のような作品です。布袋様は実在の人物ではないので、写実性に乏しいのですが、逆にそれが抽象性を帯びた美を表現していると言えるでしょう。この作品が作られた後、備前では彩色備前と言われる写実的な作品が作られるようになりますが、これがマイセンの立体作品にも劣らない緻密な作品。私個人としては写実性の高い作品よりも、ちょっと抽象化された作品が好きです。ですから、この布袋様の柔和な表情とお腹の出具合が堪らない。写実と抽象、実在の生物と空想の仙人、それらの入交具合がどうやら美のレベルを決めるようです。それにしても、遠く離れていても、時代の美的感覚は伝播するのですから面白いですね。

高さ 約22cm/横幅 約23cm

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李朝白磁徳利とモンドリアンのデッサン
[2021/01/24]

今から40年前、現代美術を勉強していた私は古美術品に出会って、現代美術と古美術品の作品を見比べながら、美の類似性について考察したことがあります。表面的には図柄、深部的には物の持つ美を探求していました。ピカソの筆さばきと古染の皿に描かれた図柄がよく似ているのを見つけた時、ピカソの作品は高価で買えないけれど、同質の美は古染の皿で所有することができると一人、悦に入っていたことを思い出します。そう思えるほど、明末の古染付け絵師は上手なのです(彼らは明王室のお抱え画家だったので当たり前か)。最近、写真の李朝白磁徳利を見て、「これは初期のモンドリアンの作品に似ている」と感じました。関連写真をアップしましたが、いかがでしょう。「単にヒビが森に見えているだけだ」と言われてしまえばそれまでです。 しかし、このように類似性の美を見出すのが面白いのです。枯れ木、モンドリアンのデッサン、李朝の白磁徳利のヒビ。まったく関係のない物に共通の美があるとすれば、美はあらゆる場所、時代に存在していることになる。そう考えると楽しいですね。

高さ 約25cm/胴径 約13cm

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松田義男 熱海 海岸風景
[2021/01/17]

緊急事態宣言が宣言されて1週間が経ちます。それでも感染者数は減っていません。感染者数が減るにはもう少し時間がかかるかもしれませんね。宣言と共に不要不急の外出自粛が要請されていますが、今回は従う人も少ないようです。コロナに強い遺伝子を持ち、マスクをつける習慣のおかげで欧米の死者数に比べると圧倒的に少ない。それが安心感につながってしまっているのかもしれません。
しかし、外出自粛には心身とも疲れます。別に旅行に行きたければ行けばよいのですが、このような状況で行っても楽しくない。それで、家に籠り、ビデオに録画した美術番組を見ています。17日、日曜美術館(NHK)で「コルシカのサムライ NIPPONを描く 画家・松井守男」を見ました。昔、私がアヴィニョンに留学していた時、松井さんとジャズ・ピアニストの山下洋輔さんと一緒に食事をしたことがあります。今から33年前のこと、懐かしくて楽しい思い出です。
写真の作品を描いた松田さんもミラノで活躍している画家。伊豆の風景がコートダジュールの風景に似ていると思い、今回、アップしました。松田さんも松井さんも、コートダジュールの海に魅かれているようです。伊豆は温かい南国なので、のんびりできますよね〜。コロナ禍が終わったら是非、遊びに行きたい。それまでは絵の世界に浸って、各地を旅することにしましょう!

額サイズ 縦横 約54cm×73.5cm

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丹波焼 赤土部釉 徳利
[2021/01/10]

先週末、1都3県で、「緊急事態宣言」が再発令されました。皆様、外出する時にはコロナウイルスには気を付けてください。
写真は丹波焼赤土部釉徳利。丸みが美しく、リンゴのようなフォルムをしています。日本でリンゴが食べられるようになったのは、平安時代。それが一般化するのは江戸時代ですが、当時のリンゴは「和リンゴ」と呼ばれる和製のリンゴでした。
本作を見た時、口部が江戸時代後期、東北、中部地方で使用された形だと思いました。一般的に丹波焼の徳利の口形は薄く作られるので、このような口作りの丹波焼は珍しい。たまたま、じっくり、この徳利を見ていた時、これに藁灰釉が掛かっていたら松代焼だと気づきました。そうです、フォルムと口形が信州の松代焼の徳利にそっくり。産地が離れていても、丸みを帯びた美意識を持つ陶工がいることが面白いですね。
ちなみに丸みは母性、温かさを感じさせてくれる形です。アダムの園でイブが食べた禁断の実はリンゴとされています。緊急事態宣言で外飲みができない現在、この徳利にたっぷり入ったお酒を想像すると誘惑にかられます。女性もお酒も魅力的ですね〜。

高さ 約22cm/胴径 約17cm

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犬山焼 赤絵鳳凰文 大皿
[2021/01/03]

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。 昨年は、コロナ禍で騒がしい年でしたが、今年はワクチンの普及でコロナ禍が収まることを願っています。 写真は犬山焼の赤絵鳳凰文大皿。犬山焼は愛知県犬山市で18世紀中頃に開かれた窯で、天保初年(1830年)、赤絵作品を作るようになりました。本作の見所は、志野風の釉薬の上に赤絵付けがされていること。犬山と美濃は近いので、美濃の陶工が犬山に来て素地を作り、そこに犬山の絵付け師が赤絵をしたのかもしれません。志野焼の赤絵など、多くの古美術界愛好家でも見たことはないはず。2か所の窯の特徴が混ざっているので不思議な雰囲気の作品です。裏面の削りの部分にも力があり、全体的に迫力があります。このような作品を見ていると、元気が出てきます。みなさまも古美術品を身近に置いて、元気をもらってください。

口径 約30.5cm/高さ 約5.3cm

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