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栗と銀杏 吉村忠夫
[2020/09/20]

猛暑の夏が去って、最近は過ごしやすい日が続きます。市場に行くと秋の食材がちらほら目につくようになりましたが、今年はサンマの姿がない。気候変動のせいで漁獲量が減ったようです。サンマがないと秋になった感じがしません。庶民の味方はどこへ行ったのでしょう。八百屋に行くと、もう栗が並んでいました。栗ご飯をするには少し早い気もしますが……。写真の軸は東京美術学校卒の吉村忠夫の作品です。吉村は「民族絵画」を唱えていた日本画家ですが、この軸を見ると「和製ゴーギャンだな」と感じさせるものがあります。きっと吉村さん、ゴーギャンが好きだったのでしょうね。この手の画家だと奄美大島で画業を行っていた田村一村が有名です。まだ、旅行に行くのが簡単でなかった時代、ゴーギャンがタヒチを目指したように遠い地方や国は憧れの的でした。それが、最近は「GO TO キャンペーン」。交通手段が発達したので簡単にどこでも行けます。旅行が簡単になった分、異国への憧れは減っているようです。旅行はできるが、環境の変化によってサンマが食べることができなくなった。便利になるのも良し悪しですね。

軸サイズ 縦横 約186cm×55.5cm

御売約、ありがとうございました

伊丹米夫 秋の雲仙
[2020/09/13]

今週も先週に引き続いて、長崎の話題です。なぜ、このように私が長崎にこだわるのかと言えば、ちょうど1年前に行った長崎旅行が印象深かったからです。昨年まで、毎年1度は旅行に出かけていたのですが、今年はコロナ禍のせいで旅行に行く気になりません。将来、2020年を振り返った時、旅行に行かなかったことを思い出すことになるかもしれません。写真の作品は坂本繁二郎の弟子であった伊丹米夫(1922年〜1982年、福岡生)の油絵「雲仙の秋」。一見、坂本の作品かと思えるほど、画風が似ています。伊丹さん、相当、師匠にほれ込んでいたのでしょうね。本作は長崎県雲仙市仁田峠から天草方面を見て、描いた作品。眼下に島原市の景色が広がっています。島原と言えば、隠れキリシタンが起こした「島原の乱」が有名ですが、最近、この乱の研究も進み、いろいろな事実が判明しています。それが評価され、長崎県にあるキリシタン史跡が世界遺産に登録されました。コロナ禍のような現状では、外出することもままなりませんが、古美術品を見ていると、過去の体験と重なって不思議な世界を楽しむことができます。コロナ禍が終息するまで、昔行った地方の古美術品の話を掲載しようかな。

額サイズ 縦横 約38cm×43cm

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亀山焼 染付 長崎禅宗寺院 段重
[2020/09/06]

週末、九州に台風10号が接近しました。九州各地で強風と大雨。この時期、日本は台風の季節ですが、慣れているとはいえ、最近の台風は大型化しているので大変です。被災された皆様、お見舞い申し上げます。昨年の今頃、長崎県周遊の旅に出かけました。穏やかな初秋の旅で、埋め立てられた諫早湾の田んぼに稲穂が育っていました。長崎県では長崎市、雲仙、島原市、平戸市などのキリシタン遺跡を巡りましたが、特に長崎市のエキゾチックな文化に惹かれました。写真は亀山焼染付段重。面白いのは、図柄が長崎の黄檗宗の寺院が描かれていること。京都の禅宗寺院は図柄の対象とはなっていません。どの寺院が描かれているのかわかるので、当時の日本では珍しい、さすが、先進文化地帯の長崎にあった亀山焼という感じの作品です。図柄には、長崎独特の坂道が描かれています。私も興福寺を訪ねた後、長い坂道を登って亀山社中跡を訪ねました。今回の台風は準備ができていたせいか、長崎も大きな被害はなかったようです。備えあれば憂いなしですね。

高さ 約23.5cm/口径 約14.5cm×14cm

御売約、ありがとうございました

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