blog   2017年7月

湯上り 浴衣 美人図 (大正時代 20世紀初頭)
[2017/07/30]

先々週、東北に行き御所掛温泉、大沢温泉に行き、個性的な旅館に泊まりました。
特に大沢温泉で泊まった「菊水館」は江戸時代末期から続き、宮沢賢治も訪れている由緒のある旅館です。 設備は古いのですが、風情があり面白かった(素泊まりの自炊館も併設されています)。
温泉を楽しみ東京に帰った後、写真の軸があったことを思い出し、「通信販売欄」にアップしました。
この絵が描かれたのは日本人が鉄道を使って近代的な観光を楽しむようになった大正時代、美人の姿もどこか近代的です。 この軸をよく見ると、美人の向こうに湯屋が見えます。
季節は初秋なのですが、浴衣が夏の装い、日本人はいつでも温泉を楽しんでいるようです。 あいにく、このような美人と旅行に行ったのではありませんが、軸を見ているとかなわぬ夢が叶うような気がします。 夢を見させてくれるのも古美術品との楽しいつき合い方ですね。

大沢温泉「菊水館」

本紙サイズ 縦横 129cm×41cm
軸サイズ 縦横 210×53cm

御売約、ありがとうございました

小久慈焼 片口 (昭和時代 20世紀中頃)
[2017/07/23]

先週、岩手県と秋田県を旅行しました。 東京に帰ったのは27日(土)ですが、その日、秋田県は豪雨に見舞われ、特に大曲の家屋が浸水、田沢湖周辺の胴をが寸断され、大きな被害が出たようです。 数日前にその周辺を観光していたので少しショックを受けています。秋田県で被害に遭われた方々の生活が一日でも早く元に戻るように願っています。 それにしても、今年は雨の被害が多いですね。日本の天気はどうかしてしまったのでしょうか?
写真は小久慈焼の片口(昭和時代前期)です。 久慈焼は先週、私が旅行に行った陸中海岸の絶景スポットの北山崎から25キロにある町の焼物です。 久慈市まではいけなかったのですが、宮古市では2年前に復活した浄土ヶ浜旅館に泊まったのですが、ここのサービスと朝ご飯は絶品。 東北の人の温かさや優しさを感じまいた。 もちろん、土地の日本酒「千両男山フェニックス」も美味しかった。 陸中海岸をめると、東北の人の人柄と小久慈焼と重なってみえます。 やっぱり土地の焼物は、そこに住んでいる人に似てくるのかもしれません。 東北大震災から6年が経ちますが、宮古市の人たは意外と元気でした。 これからも頑張ってください。

宮古市 浄土ヶ浜

口径 約25cm/高さ 約8cm

御売約、ありがとうございました

白抜き染付 さぎ・山水文 鉢 (江戸時代 寛政期)
[2017/07/16]

暑い日が続きます。ちょっと今の夏はおかしいのではないか。それとも私が歳を取って暑さの感覚が狂っているのでしょうか。 皆さん、水分補給をして熱中症に気を付けてください。 毎年、この時期、私は夏休み旅行をするのですが、数年前、奈良市尼ケ辻にある垂仁天皇陵に行きました。 垂仁天皇陵の濠には但馬守の島墓があり、「記紀」などを読むと2人が水軍に関係が深い権力者だったことが推定できます。 そこに行った時、陵墓を覆う森に大量の鷺が群れをなして住んでいました。このような鷺の大群を見たのは、ここと、京都山科の勧修寺や徳島市の公園。 西荻の善福寺川にも鷺はいますが、数羽のみで、私はそれまで鷺は群れをなすことを知りませんでした。 しかし、考えてみると、昔は水田にたくさんの鷺が生息していたのではないか? 鷺の大群を見て驚くのは現代人で、昔の人にとって鷺の群れは当たり前だったのではないか。 写真の伊万里作品を見ていると、そのような気持ちになりました。自然の中の生息場所が限られてしまった現代、手つかずの古代陵墓が鷺の生息地として最適なのかもしれません。 ここでは人の脅威を感じることもないので、鷺にとっても住み心地が良いのでしょう。鷺の群れが陵墓を守っているのか、陵墓が鷺の群れを守っているのか。 いずれにしても不思議な、古代日本の風景を感じる瞬間でした。

口径 約11.5cm/口まで 約15cm/高さ 約6.2cm

御売約、ありがとうございました

吹きガラス グリーン鉢 (大正時代 20世紀前半)
[2017/07/09]

7月に入って東京は暑い日が続いています。公園の木々も濃緑になり、梅雨が明けた感じがします。 しかし、先週、九州地方は豪雨に見舞われ、多くの人が亡くなりました。日本列島は自然が豊かですが、災害も多く、時に悲劇を生みます。 災害に合われた方々の、1日でも早い復興をお祈りします。
写真のガラス鉢は大正時代に作られた緑吹きガラス。グリーン一色の単色の作品で、独特の雰囲気があります。 日本で近代的なガラスが作られるようになったのは第1次世界大戦景気の時代。この時期から、一般庶民もガラス製品を使用するようになりました。 このような単色のガラス作品は、18世紀から1920年代まで生産されたイギリスのブリストルガラスが有名ですが、それを見た日本のガラス職人がブリストルガラスを模倣して、この鉢を作ったのでしょう。 大正時代はグリーンが流行したので、職人がそれを作品に取り入れた。ブリストルガラスよりもグリーンが淡く、日本の森の緑のように感じられます。 ブリストルガラス、手吹き職人、時代の流行色など、いろいろな要素が混じってアンテーク作品は成り立っていいます。冷菜などを盛ると楽しいですね。

口径 約20.7cm/高さ 約8.5cm

御売約、ありがとうございました

第40回・骨董講座が終了しました   
[2017/07/01]

今回の骨董講座は、「近世・近代の日本文化と古美術の総括」。
先月の古代・中世に続くお話で、前回同様、脈絡のない講座になってしまいましたが、いかがだったでしょう。 今回で、日本史編は終了。2年間、講座に来てくれた受講生の皆様には感謝しております。参加くださった方々、本当にありがとうございました。これで2017年前半の骨董講座は終わり、2か月間の休みの後、10月から再び骨董講座を再開します。
最近、ネタが尽きてきたので、10月からは趣向を変え日本の古美術・骨董の関係について、社会学的に考えてお話したいと思います。また、脈絡のない話になるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。骨董の初心者の方の参加、お待ちしております。参加の方法についてはお気軽におたずねください。

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