blog   2016年11月

伊万里焼 古印判 雪輪文 そば猪口 
[2016/11/27]

先週の木曜日、東京で初雪が降りました。11月中に初雪が降るのは54年ぶりだそうです。 それにしても9月の長雨、11月の初雪といい、今年は異常気象を肌で体験する年となりました。私は寒さに弱いので、24日は布団の中にずっと包って寝ていたのですが、布団の外に出ると身体の芯まで寒さが伝わってきます。気温は2度とか。先々週、仙遊洞では写真の雪輪文そば猪口を出品したのですが、まさか、このように実際の雪に見舞われるとは……。

本品は享保時代の古印判に手書きで染めつけた、ちょっと小ぶりなそば猪口。 このそば猪口は珍品で、サイズが小さめで酒器にもってこいのサイズ、すぐに売れたのですが、初雪を見ながら、このそば猪口で雪見酒の飲むのも乙だったかもしれません。 しかし、伊万里焼の雪景色は、涼を感じるために夏に使用したようです。寒い日に、冬の柄を使うとますます寒く感じます。 バックグランドミュージックに前川清の「雪列車」などがかかっていたら、それはもう「氷の世界」。おじさんは寒さに弱いので、この日の夕方、家で熱燗を一杯。 寒い時はやっぱり熱燗。使用したのは李朝のぐい飲みでした。 皆さん、これからますます寒くなりそうなので、風邪をひかないよう、古美術品と熱燗、鍋と仲良くしてください。

口径 約7.2p/高さ 約5.3p

御売約、ありがとうございました


「奥蓼科」 宮崎万平 油絵6F 
[2016/11/20]

秋、といえば小津安二郎の映画を思い出します。 小津は秋が好きだったせいか、「麦秋」、「秋日和」、「小早川家の秋」など、秋に題材ととった映画をたくさん製作しています。 私は小津映画が好きなのですが、その中でも印象に残っているのは「秋日和」のラストシーンの榛名湖と榛名山の風景。 そのシーンは、鮮やかで今でも脳裏に焼き付いています。 小津安二郎は娘が嫁に行って、残された片親の哀愁の物語を描くことが多いのですが、「秋日和」は母子の物語だったせいか、他の同じような設定の物語とは違った印象があり、「秋日和」の最後のシーンがより印象に残ったのかもしれません。

写真は宮崎万平の「奥蓼科」。蓼科といえば、小津安二郎が愛した土地で、別荘の「無藝荘」があり、最後の7作品は、この無藝荘で書かれました。 私自身、蓼科に何度か行きましたが、ほとんどが夏。 寒さが嫌いな私は秋、冬の蓼科には、まだ行ったことがありません(スキーもしないので)。それで、宮崎が描いた「奥蓼科」を見て、蓼科の秋を感じている次第です。 宮崎は須田国太郎の弟子だったせいか、重厚感のある厚塗りの作品を描いています。自分の実感をキャンバスに塗りこめるタイプの画家。 ですから、この作品はセンチメンタルさを感じさせるというよりも、骨っぽい大地を感じさせる作品になっています。本作はビュッフェ風、1950年代の感じがよく出ています。 50年以上たった今でも、小津安二郎や宮崎の作品、美しいですね。

絵画サイズ 6号
額サイズ 縦横 約48p×57cm


木彫 弁財天  
[2016/11/13]

最近、時間がたつのを早く感じるせいか、毎週、アップするブログを書き忘れてしまうことが多々あります。 今回も一週間遅れで、そういえば、先週のブログ書いていなかったなと2週間まとめてアップすることになりました。 忙しくはないのですが、忘れっぽい。アクセルとブレーキを踏みちがえて交通事故を起こすお年寄りが目立つようになってきましたが、その類かもしれません。 集中力が足りないのでしょうね。テレビを見るとアメリカ大統領選や韓国の朴大統領の問題など、世間を騒がせる話題に事欠かず、つい、そっちの方に夢中になっています。 もともと、私は静かにしているタイプではなく、うるさい方の部類に入る人間ですが、このような時こそ、心を落ち着けて日々を過ごしたい。 最近、流行りのマインドフルネスなどを取り入れれば、落ち着いた人になれるかもしれません。

写真は木彫弁財天。芸能や美術、音楽の神様です。 東部に蔵が付いているので、商売繁盛か、豊穣を願って作られたものだと思います。 日本三大弁財天といえば、宝厳寺・ 竹生島神社(滋賀県 竹生島)、 江島神社 (神奈川県 江の島)、 厳島神社 (広島県 厳島)。どこも神秘性を感じさせる霊場。 特に厳島神社はもみじ谷という紅葉の名所があります(先月、ブラタモリでも紹介されていました)。毎日の喧噪の中で暮らしている中で、紅葉などの自然に触れると気分が変わる。 それが脳を活性化させることは確実です。関東では江の島が弁財天の霊場。 休日にも鎌倉での、もみじ狩りついでに江の島にも足を延ばして見てください。ちょっと寒いけれど、美しい富士山に出会うことができるかもしれませんよ。

高さ 約24cm/横幅 約17cm/本体の奥行

御売約、ありがとうございました

第32回・骨董講座が終了しました   
[2016/11/05]

受講生の皆さま 講座への参加、ありがとうございました。鎌倉時代の文化と古美術、いかがだったでしょうか。 講座は鎌倉時代のリアリズム、禅宗、八幡信仰、外来文化、経済を中心に話をさせていただきました。 短時間で一つの時代を語るのは難しいのですが、時代の特徴が把握しやすいようにお話しているつもりです。 歴史を把握するには前後の時代の把握も欠かせません。時代の比較をすると、日本文化史の容易につかめるでしょう。 古美術収集も同様、時代や地域のことを頭に入れると理解しやすいですね。

骨董講座の内容はこちらからこちらから

骨董講座に興味のある方はこちらから

ところで、最近、西荻の風景が随分と変わってきました。
おしゃれな雑貨屋さん、飲食店が増え、以前よりも街自体、観光地化したような気がします。どこか、生活感が薄れたような……。 時代と共に生活様式に変化が起こるのは致し方ないこと。
それでも、馴染みの店が営業をやめてしまうのはさみしい。 仙遊洞は街の様子が変わっても、店自体が骨董になるように努力します。ちなみに店の建物は、今年で築52年。 まだ骨董になるにはほど遠いですね。
次回は「I室町時代の文化と古美術 −地方自治と南蛮文化―」。 日本も大航海時代の影響を受け、社会が大きく変化したのか、お話しします。お楽しみに。


上へ戻る