blog   2016年2月

ニューギニア 木彫 幾何学模様 手付き桶   
[2016/02/28]

一昨年から大量にアフリカや東南アジアの民族美術品が骨董市場に出回るようになりました。 「どこかの美術館でもつぶれて、作品が流出しているのかな?」と呑気に考えていたのですが、先日、西荻にある居酒屋に行って女主人と話していると、 「もしかして、大量の民芸品は西江雅之さんのコレクションだったのかも?」と、一瞬、憶測しました。
西江雅之氏(1937〜2015年)は天才的な言語学者、文化人類学者として有名です。 私自身も何度か飲み屋で同席させていただいたのですが、その時期、アフリカ、東南アジアの美術品に興味がなかったので盛り上がりに欠けました。 今になって思うと、西江さんにもっと話を聞いておけば良かったと後悔しています。
今、私の手元になる民族品が西江コレクションだったかどうか定かではありませんが、これらの作品を所有していたコレクターの審美眼が凄い。 この年齢になっても、天才的な人が収集していた物と出会うと心がときめきます。 日本人と馴染みが薄い国の古美術品でも、アート感覚があれば、それが共通言語となる。 異文化と出会う瞬間に立ち会えるのも、古美術収集の楽しみの一つです。

高さ 約15.5cm/横幅 約13cm

御売約、ありがとうございました


伊万里焼 染付 やなぎ文 そば猪口
[2016/02/21]

最近、ヤフオクを見ていると以前よりも景徳鎮辺りで作られている中国製の伊万里焼写しの出品数が減ったような気がします。 昨年まで、新品の伊万里写し作品が中国バブルやアベノミクスの好景気に支えられ、真贋に疎いコレクターたちは大量に購買されていました。 それが最近、不況の影が忍び寄っているせいか、消えつつあります。作っても採算が合わないのかな?

中国製伊万里写しの作品が流通するのを見ていると、「日本人は古美術品のオリジナリティーよりもブランド性や見栄えの奇抜さが好きで、古くなくても雑貨感覚で品物を選べば良いのだ」と古美術品の存在価値が何なのかを考えさされた時期がありました。 しかし、今回、出品した染付の美しい伊万里焼そば猪口などに出会うと、「本物の存在感や空気感は新品とは違う。オリジナルは良いな」と伊万里焼の良さを再認識しました。 歳をとったせいか、ペラペラで存在感のない古美術品の写しをいろいろな場所で見ていると苦痛が増して疲れてきます。 やっぱり、人も個性のある人が面白いし、古美術品もオリジナリティーのある物が良い。「類は友を呼ぶ」ように、相性の良い古美術品や人と出会いたいものです。

口径 約7.2cm/高さ 約5.8cm

御売約、ありがとうございました


高取焼 藁灰釉 三耳壺
[2016/02/14]

2月に入り、本格的な受験シーズンが始まりました。中学受験は数日で終わりますが、大学受験は1カ月の長期戦、受験生は一生懸命がんばっていることだと思います。
今年、幼児の頃から知っている私の友人たちの子供5人が大学受験に挑戦します。 「もう、大学受験か。大きくなったな」と時の流れの早さを感じると共に、彼らがどのような進路に進むのか興味津津。大学の合否は別にして、皆、自分の好きな道に進むと良いなと思っています(勉強嫌いの私は美大に進む道しかなかったのですが、大学は友人たちにも恵まれ、デズニーランドのように楽しかった!)。自分に合った道に進むのが一番ですよね。
今回のブログは受験生たちにエールを送る意味を込めて「高取焼 三耳壺」を取り上げました。 私は広島出身なので、親が福岡県の太宰府天満宮に合格祈願に行ってくれたことを思いだします。 ご存じのように高取焼は福岡・黒田藩の御用窯。白梅を生けると、縁起が良いような気がします。 東京だと湯島天神ですが、友人たちは受験祈願に行ったのかな?
受験生によっては辛い時期かもしれませんが、春はもうすぐ。皆様が笑顔で春を迎えられることをお祈りしています。

高さ 約16.3cm/胴径 約17.5cm

御売約、ありがとうございました

呉須  染付 花鳥文皿 (明時代後期 17世紀)  
[2016/02/07]

太陽暦のお正月は1月前に終わりましたが、太陰暦を採用した旧正月は2月8日(月)が初日です。古代においてはエジプト以外、メソポタミア、インド、中国は太陰暦を使っています。世界の主流は近代になるまで太陰暦だった。写真は現在の福建省で作られた呉須染付鳳凰文皿。この作品が作られていた時期、日本も太陰暦を採用していました。
近年、旧正月に中国から日本に観光に来る人が急増しています。今年は500〜600万人の人が日本に来るとか。 ホテルの争奪戦で大学の受験生も宿を取れなくて困っているという話も聞きます。政府が観光立国を目指すと言っていますが、宿不足、駐車場不足では観光立国もおぼつかない。

ところで、我が家の子供たちは香菜が入ったタイ料理が好き。私は苦手ですが、若者にはエスニック料理に苦手意識はないようです。 ある日、呉須にタイ風の生春巻きを盛って出したことがあります。「エスニック料理店の料理よりも美味しそうに見える」というのが子供たちの感想でした。 やっぱり、古美術品に料理を盛ると映える。古美術品に興味のない子供でも古美術品は感性にうったえてくるようです。
時々、スンコロクや呉須の作品を使ってエスニック気分を味わってください。ちなみに中国の人たちにとっては日本の和風(わさび)がエスニック。日本人が東南アジアの古美術品に目を向けるように、中国の人たちにも伊万里焼や京焼、織部作品に興味を持ってもらいたいものです。

口径 約26.3cm/高さ 約4.2cm

御売約、ありがとうございました


第25回・骨董講座「古代・中世と古美術シリーズD白鳳時代の文化と美術」が終了しました   
[2016/02/06]

寒い毎日が続きますが、今回もたくさんのご参加、ありがとうございました。今月も新しい受講生の方がお1人、参加してくださいました。 日本人でも意外と知らない白鳳時代。大胆な仮説を立てながらお話ししましたが、いかがだったでしょう。
次回は「E奈良時代の文化と古美術 −日本の成立―」。 奈良時代、日本は仏教を国教とします。 新羅との確執を経て、日本は独自の政治を模索します。奈良時代、それがどのように展開したのか、簡単にお話しします。お楽しみに。

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