blog   2015年3月

桜図2題 
[2015/03/29]
 

今日、東京国立博物館に「東北の仏像展」を見に行ってきました。目的は美術鑑賞でしたが、上野公園の桜が開花しており、ちょっとした花見気分を味わうことができました。
それにしても凄い人だったな〜。私は人ごみが苦手なので毎年、静かな公園の桜と床の間に軸を飾って花見気分を味わっています。

写真は「朝日桜図」と「春宵の月・桜図」。2本は違う時期に入手したのですが、並べて飾ると1本だけ飾った時には違う雰囲気が出ます。 日本人は昔から屏風には四季の移ろいを描いていますが、床の間文化が普及すると季節は一つで統一されます。 朝と夜の桜図を見比べていると、モネが描いた「ノートルダム寺院」を思い出しました。
時刻によって光の具合、色彩で表情が違う。軸をこのようにして鑑賞できるとは……。 どちらの軸も花見客の気配を感じさせないので心穏やかに花を楽しめます。賑やかな花見とは違う古美術品の楽しみを発見!

御売約、ありがとうございました

元禄伊万里 鯉花文色絵 七寸皿 (1700年頃 元禄時代)  
[2015/03/22]

先週末、東京のぽかぽか陽気、春らしさが溢れていました。東京では桜の開花宣言が数日中に出る予定です。写真は「元禄伊万里 鯉花草文」。東インド会社を通して西洋に輸出された品物です。元禄時代といえば経済が好調で、各時代の好況期の代名詞にもなっています。先週、株価が19000円台を回復しました。春闘の賃上げもアップしているようですが、庶民の財布は厳しいようです。

古美術界に目を向けると、商品は価格的にバブル時代の高値よりも随分と安く、買いやすくなっています。魅力は変わらないので、古美術収集家には低価格時代は歓迎されるはずです。ところが、伊万里に関しては中国製の模倣品が大量に古美術市場に流入して真贋問題を起こしています。模倣品はオリジナルに比べると絵付けも雑で稚拙なデザインなのですが……。 古美術品の価値や価格は時代によって翻弄されます。いや、翻弄されているのは我々、古美術に関係している愛好家の方かもしれません。

口径 約22cm/高さ 約3cm

御売約、ありがとうございました

漢 加彩 繭形壺 (紀元1世紀前後) 
[2015/03/15]

週に何日か暖かい日があり、春が近づいて来た感じがします。あと2週間もすれば桜が開花し、本格的な春が到来するでしょう。
写真は漢時代の加彩繭形壺。中国で絹の生産が始まったのは紀元前3000年頃、紀元前1000年頃には古代エジプトに製品が輸出されています。日本に絹が伝わったのは弥生時代で、5世紀中頃には雄略天皇が少子部を設けて本格的な養蚕をさせたことがわかっています。不思議なことに養蚕をしていた日本人は繭を造形化していません。ラグビーボールのような奇妙な形は養蚕の盛んだった中国ならではの形。やっぱり日本人は○が好きなのかも。

養蚕は北陸や中部地方で盛んですが、今週、北陸新幹線が開通したのを見て、ふっと白川郷で見た養蚕家屋を思い出し、ブログを書きました。新幹線が開通した金沢には一足早い春が訪れたようです。北陸の春が東京に近づいたのでしょうか。

高さ 約29cm/横幅 約31cm/奥行 約20cm

御売約、ありがとうございました

第16回・骨董講座が終了しました  
[2015/03/08]

講座には7名の方が参加してくださいました。ありがとうございました。
今回の骨董講座は、「現代美術と古美術 岡本太郎・李禹煥・荒川修作」でした。仙遊洞主人は美術大学出身ですが、現代美術を語ったのは25年ぶり。 古美術に興味を持って、現代美術から遠ざかっていた自分をあらためて思い返した次第です。
25ぶりに現代美術のことを考えると、古美術の知識が増えたせいか、以前よりも現代美術のことが深く理解できるようになっていたことが不思議でした。 古美術も現代美術も美の範疇にあるので、感覚的には同じ土俵で語れるのでしょう。 古美術商が勝手に語った骨董講座に興味のある方は、「仙遊洞・骨董講座」をご覧ください。
それにしても、荒川修作が生きていたら、3・11をどのように語ったか、それが聞けなかったことがとても残念です。

骨董講座の内容はこちらから

骨董講座に興味のある方はこちらから


水原焼 梅文小皿  
[2015/03/01]

古美術商をやっていると、時々、産地不明の陶磁器に出会うことがありますが、本品もその一つです。 最初に見た時、「この焼物の産地はどこだろう。京焼のようにも見えるし……、犬山焼かな〜?」と疑問を持ちました。 店に戻って図版を取り出し、産地を探していると、「おっ、これかな」と思える焼物に出会いました。
作風はまったく違うのですが、絵付けや釉調から産地を推測するのです。写真の焼物は水原焼と鑑定しました。

日本にはたくさんの窯があります。窯自体に資料が残っていないので不明な点が多いのです。水原焼は新潟県にあった個人窯。調べると作風と歴史が一致しました。
古美術収集には不明な産地を調べる楽しみもあり、ちょっとした推理小説です。 産地の特定は置いておいて、梅と鶯の絵付けを見ていると春を感じることができます。
この小皿が売れる前に、鶯餅でものせて食べようかな、と思いながら和菓子屋へ。

額サイズ 縦横 約35.2cm×50.5cm

御売約、ありがとうございました

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