blog   2014年4月

ゴールデンウイーク
[2013/04/28]

今週、富岡製糸場が世界遺産に登録される見通しとなったというニュースが流れました。もし、富岡製糸場が世界遺産に登録されれば、日本では石見銀山に次ぐ2つ目の産業遺産となります。
富岡製糸場は1872年創業した日本で最初の本格的な近代工場です。明治時代、日本は海外から輸入した生糸の生産技術を取り入れて、高度な製品を輸出の主力としました。
私が富岡製糸場を訪れましたのは3年前でしたが、今から世界遺産に登録されることが楽しみです(富岡製糸場にお出かけの時は、一緒に榛名神社に行くことをお勧めします)。

1年前、富士山が世界遺産に登録されましたが、あれから1年が経つと思うと時の早さを感じます。
写真の絵は幕末の「泥絵 大磯図」です。当時、参勤交代で江戸に来た地方の武士たちは、江戸土産として泥絵を地方に持ち帰りました。この絵を見ていると、湘南の春を感じます。ゴールデンウイーク、富岡製糸場や富士山などの遺産を訪ねて、歴史に触れるのも楽しいでしょう。

絵画サイズ 縦 約32.5cm/横 約47.5cm
額寸 縦 約50cm/横 約78.5cm

御売約、ありがとうございました

花菖蒲 島崎柳塢筆(1865〜1937年)
[2014/04/21]

古美術商はお客様がタイムリーに商品を楽しめるように一カ月、季節を先取りして商品を販売します。
今月は4月なので店先には5月の商品が並びます。5月を象徴する行事といえば端午の節句、床の間には、「鯉幟」、「武者絵」、「花菖蒲」などの絵が飾られます。
写真の「花菖蒲軸」は、川端画学校の教授をしていた日本画家の島崎柳塢が描いたのです。
菖蒲は古代中国で、刀に似ていることから邪気を払う縁起の良い植物をされ、魔除けとして使用されました。日本では聖武天皇時代に端午の節句に使われ始め、武士の台頭とともに重宝されるようになります。案外、ショウブの語源は菖蒲を愛していた聖武天皇にあるのかもしれません。
菖蒲(サトイモ科)は、しばしば花の咲く花菖蒲(アヤメ科)と混同されます。古代は菖蒲がアヤメと呼ばれていましたが、いつのまにか花菖蒲に名前を奪われたようです。
江戸時代、日本人は水根に咲く花菖蒲を愛していたので、品種改良を重ねて美しい植物に育てました。絵に描かれるのは、ほとんどが花菖蒲です。
毎年5月、東京の根津美術館で尾形光琳の「燕子花(カキツバタ)図」が公開されます。カキツバタはアヤメ科の植物ですが花菖蒲と比べると地味です。光琳がカキツバタを描いたことを考慮すると、元禄時代以降、花菖蒲の改良が進んだことがわかります。
花菖蒲(アヤメ)の開花期は一カ月ほど先ですが、古美術の世界では5月から花菖蒲を楽しむことができます。床の間に花菖蒲を飾って邪気を払ってください。

本紙サイズ 縦横 約104.5cm×36cm/軸サイズ 縦横 約192cm×47.5cm

御売約、ありがとうございました


笹島焼八寸皿
[2014/04/13]

13世紀、元が中東からコバルトを輸入して染付を製作するまで、東洋人が「青」と思っていたのは現在の緑色でした。宋時代の青磁や高麗青磁を見ると「青」が何であったか理解できるでしょう。中国の五行の東は青龍で表しますが、青龍はコバルトよりも緑龍と捉えた方が実感に近いと思います。中国人は3月から5月までを春、青龍の季節にあてますが、それは緑の萌える季節を表します。
大正時代、日本では大正デモクラシーが流行し、自由な気風の中で緑色が流行します。大正末期には女性が緑色の口紅をしていたというのですから驚いてしまいます。
写真の洋風皿は名古屋市で焼かれた笹島焼という珍しい焼きものです。この皿を見ていると日本人が洋食を食べ始めた時代の感じが伝わってきます。この皿を使いながら日本人は春の気分を味わっていたのでしょう。

口径 約23cm/高さ 約3.2cm〜3.8cm
御売約、ありがとうございました


大村雪乃 個展
[2014/04/08]

今年1月にブログで紹介した大村雪乃さんの個展が銀座三越で開催されます。大村さんは1988年中国生まれ、多摩美術大学油絵科卒業の若い作家、私の後輩で仙遊洞のお客様です。
今回は20点以上の作品を展示するので、興味のある方は是非、お越しください。

2014年4月16日(水)〜4月22日(火)
会場:銀座三越8階ギャラリー(中央区銀座4−6−16)
[最終日は午後4時閉場]
 アーティスト・トーク:  4月16日(水)午後5時〜5時40分(大村雪乃・上田雄三/キュレーター)
 レセプション:  4月16日(水)午後6時〜
 公開制作:  4月20日(日)午後2時〜


木原焼 山水紋茶碗
[2014/04/06]

4月に入って桜も満開、本格的な春が到来しました。
今月5日(土)、当店で「日本の陶磁器と古民芸」の講座が行われ、5名の参加者がありました。参加された受講生の皆様、ありがとうございました。骨董講座では、渦巻き型の縄文系感覚と直線型の弥生式感覚を中心に、日本の陶磁器がどのように発展したかを話しました。骨董講座の内容はホームページ「骨董講座」でご覧ください。

写真は木原窯山水紋茶碗です。木原窯は18世紀初頭、長崎県佐世保市木原町で開かれた窯で唐津焼と伊万里焼、茶器と古民芸を混ぜ合わせたような雰囲気があり、この茶碗から日本人の多様な感覚を融合させる感性を知ることができます。茶碗の絵は春から夏にかけての風景でしょうか、白磁にコバルト色の夏向きの染付とは違ったおぼろげな季節感が表現されています。この茶碗で抹茶をたてると、4月の感じがぐっと増します。

口径 約11.2cm/高さ 約8cm

御売約、ありがとうございました。


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