blog   2014年3月

桜 開花
[2014/03/31]


先週、日本列島は西から桜が開花し、春らしくなってきました。土曜日は吉祥寺にある井の頭公園は花見客でいっぱい、今週、東京の桜は満開を迎えますが、各地の行楽地は花見で賑わうと思います。桜を眺めて、春の到来を皆で祝いましょう。

今でこそ花見は桜の代名詞ですが、江戸時代まで花見といえば「梅」を見ることを意味していました。現在、日本人が桜だと思っているソメイヨシノは明治時代に移植されたもので、それまでの桜は自然に生えたヤマザクラが桜でした。ですから、現在と昔では花見の雰囲気も違っていたようです。

写真の軸にはヤマザクラが描かれています。作家は江戸時代の人の感性でこの絵を描いたのでしょう。明治時代、日本人は西洋文明を受け入れて、民族独自の感性を失っていくのですが、軸を見ていると、「これがヤマザクラ」と、昔の人の感性に触れることができます。身近に置くと、タイムスリップをさせてくれるのが古美術品の楽しさです。読者の皆様も、江戸時代の春をお楽しみください。


後漢 緑釉 小壺
[2014/03/24]

春分の日が来ても、まだ寒さは続いています。暖かい日もあるけれど、寒い日もあるなど、春の気候はきまぐれです。去年はこの時期には桜も開花していたのに、今年は例年よりも花見が遅れそうです。
写真は後漢・緑釉小壺です。古代中国人は死者の復活を願って、墓に名器を埋葬しました。「後漢の骨董品とは」と質問すれば、「緑釉」と答えが返ってくるほど、骨董の世界では有名です。白く変色した部分は緑釉に含まれた鉛が地中で化学変化を起こしたもので、『銀化』と呼ばれています。欧米人は銀化に興味を示しませんが、日本人はそれを景色として重宝します。緑釉小壺を見ていると、ふっと、中国人は死者の復活と、木々の緑の再生を重ね合わせて考えていたのではないかと感じます。彼らも春の緑を待ちわびていたのでしょう。ちなみに昔の青は、現在の緑です。春の高校野球が始まり、高校球児の溌剌としたプレーを見ていると、青春だなと感じます。

高さ 約12.3cm/横幅 約13.7cm/口径 約7.7cm

御売約、ありがとうございました。


土師器 小壺
[2014/03/16]

冬の寒さも和らぎ、春の足音が近づいてきました。国立大学の試験発表も終わり、甲子園で行われる全国高校野球の対戦カードも決まると、春がやって来た感じがします。西荻窪では昨日と今日、町起こしの一環として、「古本市」が行われました。前回の大雪の骨董市の時と違い、参加者した方々も、のんびり散歩を楽しまれていたようです。
写真は愛知県から出土した土師器・小壺、作られたのは4世紀・古墳時代です。この小壺は鉄分が強く朱色に発色しています。漆には黒と朱がありますが、それが桃山時代、黒楽茶碗と赤楽茶碗に表現されたのを見ると、日本人の朱色や黒色に対する感性に触れることができます。日本人は朱を春分の日、黒を秋分の日の色として使い分けたのでしょう。朱色の小壺には、やはり春の花が似合います。菜の花を摘んで活ける日が楽しみです。

口径 約9cm/高さ 約7cm〜8cm/横幅 約10cm

御売約、ありがとうございました。


3月11日
[2014/03/10]

明日、東北大震災が起こって3年目を迎えます。あれから3年経ちますが、今でも、あの日のことは鮮烈に覚えています。現在も震災の被害に遭われて元の生活に戻れない方々がたくさんいらっしゃいます。そのような方が一日でも早く、元の生活に戻れることをお祈りしております。
個人的なことですが、広島市出身の私は地震以上に福島第一原子力発電所の事故が心に焼き付いています。私たち広島出身者は原子力の恐ろしさを、子供の時から聞かされて育ちました。原発事故の話を聞いた時には、他県出身者の方以上に敏感に放射能の恐ろしさを感じました。原発の事故処理には長い時間がかかるでしょうが、福島県の自然がもとの状態に戻る日を気長に待ちましょう。
写真はアフリカで祭祀に使用されていた木彫の楯です。彼らはこの楯と槍を持って悪霊を防ぎます。プリミティブな信仰ですが、科学的技術の進んだ社会に住んでいる我々が忘れてはならないものを教えてくれます。
今もこれからも、私たちに襲いかかってくる災いに、人類は知恵を使って防ぐ努力を怠ってはならないでしょう。

高さ 約105cm/横幅 最大約36.5cm
御売約、ありがとうございました


骨董講座「中国の古美術」と加彩・人物俑(唐)
[2014/03/01]

3月に入っても、まだまだ寒い日が続きます。山梨県をはじめ、今回の雪で被害に遭われた方々にはお見舞い申しあげます。一日も早く、春が来ると良いですね。

今月1日(土)、当店で「中国の陶磁器と文化」の講座が行われました。参加された皆様、ありがとうございました。
1998年、仙遊洞は中国陶磁器の専門店としてオープンしました。当時、日本の骨董市場にはたくさんの中国陶磁器が流通しており、商品を入手することも容易でした。しかし、中国の経済発展が進むにつれ、日本に流入した骨董品の買い戻しが始まり、日本市場の中国骨董品が品薄になっているのが実状です。品薄になれば、商品構成を変えないといけないので四苦八苦している毎日ですが、久しぶりに骨董講座で中国の古美術品を並べ、中国の話をした時、「やっぱり、私たちは中国の骨董品が好きなのだな」と感じ、あらためて中国文化の奥深さを再認識しました。
写真は唐時代の人物俑で、オリジナルの加彩が残っている珍しいものです。このような美術品に出会うと、日本でもまだ良い作品が入手できるのだなと感動します。以前、日本に持ち込まれた中国の骨董品がまだあるはずです。細々とですが、これからも仙遊洞は中国の骨董品を扱っていきたいと思います。

3月8日(土)にも当店で「中国の陶磁器と文化」講座を行います。自分で言うと照れるのですが「面白い」ので、皆様の参加、お待ちしております。

御売約、ありがとうございました


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