blog   2013年8月

吹きガラス糸巻き紋鉢 (大正)
[2013/08/26]
熱かった日々も一段落し、夜も過しやすくなりました。暦の上では立秋を過ぎています。これから徐々に秋の気配が感じられることでしょう。
夏に関する文章を書いていて、ガラス製品を登場させていないことに気づきました。店にはたくさんのガラス製品があるのですが、猛暑だった夏の終盤に登場してもらいましょう。
写真の糸巻き紋ガラス鉢は2つとも大正時代に作られた氷コップ用の鉢です。
大正時代、日本人がかき氷を食べるようになって、ガラス製品は大量に生産されるようになりました。器用な日本職人はさまざまな技術を駆使して、美しい氷コップ、ガラス鉢を作りました。その中でも糸巻き紋のガラス製品は熟練の職人しか作れない製品でした。そのため他のガラス製品と比べて、残っている数も少ないのです。
右の鉢は単品、左の鉢は三つ組セットになっています。店に2種類の糸巻き紋ガラス鉢があることは珍しいので写真に撮りました。

昔からガラス製品の中では糸巻き紋が好きです。理由は私がソーメン好きなことにあります。職人が手延べ素麺を作っているのを見ると、すごいな〜と思います。素麺作りのように、糸巻き紋ガラス製品も職人技を感じます。
文章を書いていたら、素麺を食べたくなってしまいました。これから素麺を作って食べよう。

(追記) 奈良市の餅飯殿(もちいどの)通りに「京こづち」という薬膳和食の店があります。この店の「素麺入り烏骨鶏のスープ」はお勧めです。食べると元気が出ます。

(左)口径:13cm/高さ:4.5cm (右)口径:12cm/高さ:4.5cm

御売約、ありがとうございました

ありそうでない伊万里みじん唐草徳利 (幕末)
[2013/08/19]
私が若い時、日本酒に対するイメージはおじさん達が飲む安価なものでした。80年代に「越の寒梅」、「醸造米・山田錦」、「漫画・夏子の酒」が登場した頃から日本酒を取り巻く状況が変わりました。ワインや焼酎に圧され20年間に多くの醸造元が消えましたが、近年は新しい蔵元が活躍することによって日本酒業界も活気を取り戻したような気がします。
日本酒の味も格段と上がったので、最近はワインよりも日本酒を飲む回数が増えました。私は熱燗よりも純米冷酒派なので、徳利は磁器やガラスのものを使用します。
数寄者は「李朝徳利に唐津の酒杯」が好きですが、冷酒派の私にはそれが理解できません。何度か、高価な徳利を買って使用してみたのですが……。







江戸時代、日本人は正式な席では銚子を、宴会ではこのような燗徳利を用いたようです。右の図の女性が手にしているのが磁器の徳利です。 居酒屋では手つきの銅の酒器を使っていました。磁器徳利の方が銅の酒器より味が良かったようです。
これまで私は多くのみじん唐草のなます・皿等を商いましたが、燗徳利を入手したのは初めてです。
日本人が冷酒を飲むようになったは冷蔵庫が出現した昭和初期で、骨董屋で見かける氷コップが普及したのも同時期です。
愛着のある徳利を使用すると、お酒も一層美味しくなるでしょう。  

口径:3cm/横幅:6.5cm/高さ:21.5cm

御売約、ありがとうございました

伊万里風 染付皿 (現代)   −皿の上のポニョ−
[2013/08/12]
小学校低学年の私にとって夏といえば「東映まんがまつり」でした。宮崎駿監督が最初に手掛けた初めてのアニメ作品の「ホルスの大冒険(1968年)」を見たことは今でも鮮明に覚えています。それから、どれだけ宮崎監督の作品を見たことか。現在、映画館ではジブリの「風立ちぬ」が上映されています。
前作「崖の上のポニョ」は歌が大ヒットしたので覚えておられる方も多いでしょう。魚の子が人間と恋に落ちるという話でした。ロケ地が福山市鞆の浦だったので、夏になれば瀬戸内海で遊んでいた私にとって、「崖の上のポニョ(2008年)」は親しみを覚える作品になりました。瀬戸内の海は太平洋と違って優しい海なのです。
先月、この皿を見てポニョを思い出して購入しました。描かれているのは「亀」ですが、どことなくポニョに似ていませんか?
皿は最近、中国で製作された伊万里風の中皿です。中国産の伊万里風作品はネットや骨董屋で買うことができます。(購入時は時代を確かめてからお買い上げください)
この皿に絵付けをした人は宮崎駿アニメのファンでしょう。宮崎駿のアニメは中国の陶工にも影響を与えているのです。

口径:27cm/高さ:4.7cm


『第十五回日本感性学会大会企画』 のお知らせ
[2013/08/06]
9月5日(木)・6日(金)・7日(土)に『第十五回日本感性学会大会』が東京女子大学で開催されます。

特別企画として9月6日(金)午後1時 23号館1階23101教室で特別講演会「時代の感性−骨董の哲学」、黒崎政男(東京女子大教授)・山本幸一(仙遊洞店主)の対談が行われます。
この講演会は一般市民に開放され入場が無料です。興味がある方はご参加下さい。
(詳細は日本感性工学会のホームページをご覧下さい)

特別講演は黒崎雅男著の『哲学者クロサキの哲学する骨董』の内容に関する講座です。哲学者の目線で骨董が語られている面白い本です。興味がある方はご一読下さい。
黒崎先生とは15年来の付き合いです。人前に出るのが苦手な私が対談など……。恐怖ですが頑張ります。
 

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