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備前焼 大黒天像
[2023/10/01]

10月に入り、猛暑が一服しました。散歩をしていても過ごしやすく、徐々に秋が近づいている感じがします。10月は和風月名で「神無月」。一方、出雲地方では10月を「神在月」と呼びます。これは、太陽活動の減少と神々が闇見国(くらみのくに)である出雲に集合するという伝承を結び付けつけられた月名です。その出雲を代表する神様が大黒天。元々、大黒天はヒンドゥー教のシヴァ神の化身であるマハーカーラ(偉大なる黒)で、それが日本に伝来、軍神・戦闘神、富貴爵禄の神とされました。面白いのは日本で出雲の大黒天は子孫繁栄、恋愛成就の神として信仰されています。これは、人間が夜、生殖活動を行うことに関係があるからでしょう。写真の大黒天像は二股大根を左手に持っていますが、この大根は女性の下半身を表わしています。一方、男性は打ち出の小槌で表されています。 ちなみに、精子は鼠で表されるので江戸時代の伊万里作品には大黒天と鼠の図がしばしば登場します。ところで、最近日本で少子化が社会問題になっています。表の赤の折れ線(出産数)を見ると、本当に出産数が減っていることがわかりますね。2022年に生まれた新生児の数は77万人、これは団塊の世代の3分の1です。 少子化の原因はいろいろ考えられますが、一番の原因は先進国がかかる先進国病でしょう。逆に言うと日本も最近、先進国の仲間入りをしたことになります。日本よりも早く先進国になったイギリスやフランスは移民を受け入れて人口減少を食い止めていますが、日本もこれから外国からの移民を受け入れて人口減少を食い止めることになるでしょう。その移民はどこから来るのか? インドから来た大黒様が日本に根付いているように、これからインド周辺から来る移民が増えるかもしれません。いずれにせよ、日本で大黒天は民族や出身国に関係なく今後も吉祥として祀られることでしょう。

https://forest17.com/yasai2/yas2_5777.html
高さ 約27cm/横幅 約19cm

御売約、ありがとうございました

尾戸焼 いっちん 雀と秋穂文 瓢箪 徳利
[2023/09/24]

先週、東京に雨が降り、猛暑が一段落しました。23日は25度に届かず、秋の気配を感じることができました。とはいえ、来週からはまた夏日が戻ってくるとか。一体、いつになったら秋が来るのでしょう?
写真の作品は尾戸焼の瓢箪型の徳利。胴部にいっちん(盛り上げ技法)で、雀と秋穂が描かれています。昔はこのような風景を見ながら日本人は過ごしやすい秋の気候を楽しんでいたのでしょう。昔、東北のストーンサークルを見るために福島県北上市の樺山遺跡に行ったことがあります。その時、遺跡のある丘から西日を受けて黄金色に輝く、見渡す限りの稲穂を見て感動したことがあり、私は稲と日本人の関係を体感できた感じがしました。 一方、雀は稲籾を食べにくる害鳥ですが、最近、東京で雀の姿を見なくなりました。米を以前ほど重宝しなくなった日本人の感性と雀の減少は関係性があるような…。最近、秋を代表する魚、サンマも漁獲量が減っているようです。サンマ定食は本当に美味しい。社会や自然環境の変化と共に日本人の食生活、感性も変わっているのでしょう。それでも田舎に行けば、まだ美しい稲穂の風景を見ることはできます。名所に行く観光とは一味違う観光もありそうです。意外と楽しいかもしれませんね。

https://forest17.com/yasai2/yas2_5777.html
高さ 約22.5cm/胴径 約12.5cm

御売約、ありがとうございました

アールヌーボー 銅製 ニンフ トレイ
[2023/09/17]

今週は先週に続き、ヨーロッパ。アンティークの話です。
9月9日(土)に開幕したラグビーW杯、初戦は開催国のフランスがニュージーランドに勝利。ニュージーランドが1次リーグで敗れるのは、大会史上、初めてのことです。翌10日(日)には日本がチリを42対12で勝利しました。両国のチームを応援している私としては気分が良い日々を過ごしています。
写真は1900年頃に作られたアールヌーボー様式の銅製のトレイ。女性と水の流れがお洒落にデザインされています。この作品が作られた時代、イギリスから伝わってきたラグビーをフランスではフットボールと呼んでいました。それがラグビーに変名されたのは1930年代。そのきっかけになったのは、1924年のパリ・オリンピック。この時期からフランス人は、サッカーとラグビーを明確に区別するようになったようです。ところで、日本にラグビーが入ったのは1874年。1899年には慶應大学の英語講師が学生に伝え、日本最初のラグビー部が創設されました。このような歴史を鑑みながらこのトレイを見ると本品が作られた時代の雰囲気を一層、味わうことができます。ちなみに日本チームが初勝利を飾ったのはスタジアム・ド・トゥールーズ。近代絵画の巨匠ロートレック(1864年〜1901年)を生み出したラグビーの盛んな街です。美術品とスポーツ、ジャンルは違っても歴史を考察しながら観賞するのは楽しいですね。

高さ 約9cm/横幅 約21cm/奥行 約13cm

御売約、ありがとうございました

ブリストルガラス ブルー デザートカップ
[2023/09/10]

9月10日早朝、サッカー日本代表がドイツとの親善試合を行いました。結果は4対1で日本の圧勝。ワールドカップの対ドイツ戦と合わせると日本チームはドイツに2連勝したことになります。以前の日本チームを思い出すとドイツに2連勝するなど考えられませんでした。この試合を見ていて感じたのは選手たちが自信を持ってプレーをしていたこと。侍ブルーのユニフォームを今回ほど頼もしく感じたことはありませんでした。たまたま今週、ブリストルブルーのデザートグラスを出品したのですが、それが侍ブルーのユニフォームと被って見えます。各スポーツチームにはカラーがあるのですが、今回はブルーが心地よい色となりました。ところで、最近、スポーツ流行りです。先週、パリオリンピック出場を決めた日本のバスケットボールチーム、9日から始まったラグビーのワールドカップ、高校野球U-18の決勝戦と目白押し。これに3月行われたWBCを加えると、2023年は日本にとってスポーツの年だと言えるでしょう。それだけ、日本のスポーツチームのレベルが上がっているということですね。
ちなみに、日本の古美術界はどうか。最近、当店に世界中から外国人の方がお見えになります。日本のスポーツが世界から注目されているように、古美術品もその魅力を世界に発信しているようです。さて、今から日本のラグビーが登場します。頑張れ!ニッポン。

口径 約9.5cm/高さ 約12cm

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スタッフォードーシャー 色絵 陽刻 八寸皿
[2023/09/03]

9月に入っても暑い日が続きます。本来は初秋で朝晩が涼しくなる時期ですが、今年の夏はどうやら秋が来るのも遅くなりそうです。
先週、東京国立近代美術館で開催されている「ガウディとサグラダファミリア展」に行きました。会場は平日でも満員、改めて、ガウディの人気を感じました。私が初めてサグラダファミリアを見たのは1987年。当時は前面の塔の部分しか完成しておらず、評判の割に迫力がなかったことでがっくりした覚えがあります。あれから35年、サグラダファミリアは中心の塔の建設を残すのみで、2026年には全体が完成するということです。現在の建築技術が応用されているとはいえ、長年にわたって教会の建設に携わっている人々の情熱には頭が下がる思いがします。
写真は、スタッフォードーシャーの陽刻八寸皿。ガウディ展を見ている最中、教会の天井が写真の八寸皿と似ているなと感じ、今回、出品しました。本作はイギリス製、ガウディはスペイン人ですが、両者にはキリスト教美術の共通点があると感じます。簡単に言うと、神のいる天への憧れ。キリスト教徒が美術品の奥に神の存在を感じているのでしょう。面白いのは八寸皿がイスラム三彩や日本の源内焼に似ていることです。本作を見ていると西洋文明だけではなく、人間の持つ美の共通点をグローバルに感じることができます。面白いですね。

口径 約24.3cm/高さ 約3.2cm

https://www.momat.go.jp/exhibitions/552
https://www.his-j.com/sightseeing/kaigai/europe/spain/sagradafamilia/
https://www.miho.jp/booth/html/artcon/00003833.htm

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