blog

陶胎漆器 金蒔絵 藤・丸に鬼梶の葉文 茶入
[2022/05/15]

先日、NHKの「美の壺」で、藤の番組が放送されました。それを見て、日本人がどのように藤に関わってきたかが理解できました。面白かったのは藤の蔓を使った民具や衣服があること。日本には古代から様々な繊維素材がありますが、日本人が藤を愛する理由が生活に密着していたことを知りました。藤は古代から観賞用としても愛されていたようで、特に古代豪族の藤原氏は自分の苗字に藤の名前を当てています。私見ですが、藤原氏の祖先は葛城氏。中央アジアのクチャから渡来した仏教徒クズラギがクズワラになったと私は考えています。渡来人の葛城氏は日本に定着した時、その象徴として藤を選んだ。彼らは先住の王の補佐をしながら日本で勢力を伸ばすことを目指したのだと思います。藤と言えば奈良の春日大社、関東の笠間稲荷、亀戸天神が有名です。面白いのは埼玉県に藤の名所がたくさんあることです。関東は源氏の土地だと思われがちですが、もともとは藤原氏の勢力圏でした。西荻にある井草八幡も元をたどれば春日神社。中世以前の関東の状況が藤の分布から把握できます。写真は丸に鬼梶の葉と藤文のある茶入れ。梶の葉は、古代からの豪族、信州の諏訪氏の家紋ですが、梶と藤を合わせた意匠があることから、本作を作らせた家が相当な歴史を持つ家だったことがわかります。ちなみに諏訪大社も鹿島神宮も武氏を祀っています。神道や古代を想像できるデザインの茶入れ、面白いですね。

高さ 約6.7cm/口径 約21cm×10.5cm

商品の購入をご希望の方はこちらから


源内焼 舟形 取っ手付 菓子器
[2022/05/08]

今年のゴールデンウィークは久々に多くの人が外出できたようです。東欧では紛争が起こっていますが、日本はいたって平和。物価が上昇しても、平和で外出できる世の中の方が良いですね。写真は江戸時代、高松藩の御用窯で作られた源内焼の菓子器。西洋の銀食器のソース入れを模した物です。御存じのように源内焼は西洋の知識の豊富だった平賀源内が蘭学書をもとにデザインした焼物。江戸時代、日本は鎖国をしていたというのが常識ですが、本作を見ると本当に鎖国していたのだろうかと疑いたくなります。ところで最近、ネットの世界ではバーチャルが流行し、移動しなくても世界とつながることができると喧伝されていますが、本当にそうでしょうか。実際にはウクライナの悲惨な映像を見ても、現実味がない。映像が進化したとはいえ、それは実態のある世界とは異なり、ロシアとウクライナは別の世界で争っているように感じてしまいます。本作を見ていると、江戸時代の人が西洋をどのように感じていたのか想像することができます。物から想像力を発揮するのか、バーチャルにおぼれて現実感を失っていくのか、その辺が現代社会の問題です。それにしても、本作を菓子器(共箱に記してある)に見立てた江戸時代人の発想は面白いですね。いったい、どのような菓子を盛っていたのでしょうか?

高さ 約6.7cm/口径 約21cm×10.5cm

商品の購入をご希望の方はこちらから


布志名焼 緑釉 ぼてぼて茶碗
[2022/04/30]

今から30年前、初めて「ぼてぼて茶碗」を見た時、この茶碗は抹茶を飲むための茶碗だと思いました。 そして、茶道が盛んな松江で製作されている割には民芸調だなと感じたことを憶えています。時が経ち、民芸が好きになって「ぼてぼて茶碗」は、抹茶ではなく出雲地方に伝わるお茶漬けのような間食を食べるための茶碗だと知った時、この茶碗の本質が理解できたような気がしました。一般的に茶道の茶碗は茶味が強いのですが、「ぼてぼて茶碗」は庶民の使用品だったのでシンプルな美を持っています。それは庶民の生活感にそった美と言えるでしょう。ウィリアム・モリスや柳宗悦はそのような美の推奨者でした 最近、食品の工業化が進み、レトルト食品や加工食品が流行しています。一方で生産者の見える有機野菜も人気があります。先進国では食生活の多様化が進んでいますが、果たして我々の食生活は充実しているのかと考えれば怪しい部分もあります。だからこそ、逆に「ぼてぼて茶碗」のような素朴な食生活観を感じさせてくれる食器に魅かれるのかもしれません。本作にはどのような料理が似合うのか。食器から現代の食生活を見直すのも一考ですね。

口径 約12cm/高さ 約8.5cm

商品の購入をご希望の方はこちらから


伊万里焼 染付色絵 柳・亀文 六角皿
[2022/04/24]

私の子供らはすでに成人し、それぞれの会社で働いています。彼らが小学生の頃、私の家には4匹の猫、2匹の亀(その他にもカブトムシ、金魚など)がいました。しかし、現在、私の家にペットはいません。子供が成人し、ペットがいなくなると寂しい気もしますが、逆によくあれだけの生き物を飼っていたなと自分自身に感心します。ある意味、子供やペットとの生活は戦場ですから。子供は生き物と一緒に生活することに関心が強いですが、歳をとっても動物と一緒に暮らしたいという人も多くいます。そのような方はエネルギーがあって元気ですね。私は最近、自分自身のことで精一杯です。
写真の「池に亀」の図柄。亀は吉祥なので昔からデザイン化されて描かれることが多いですが、こちらの亀はどちらかというと写実風です。明治期に入り、日本人が写生に関心を持つ様子が見て取れます(子供が描いた絵のようです)。本作を見ていると、子供と一緒に亀を飼っていた時の事を思い出します。その亀、1匹は友人に譲り、1匹は近くの池に放したのですが、あの亀、今でも元気ですかね? 古美術品を見ながら子供たちの感性を思い出し、懐かしさを感じています。これから水辺で遊ぶことのできる季節。子供にとっては楽しい季節です。

口径 約25cm/高さ 約4.3cm

商品の購入をご希望の方はこちらから


虫明焼 征露 凱旋式記念 3合徳利
[2022/04/17]

2022年2月24日、ロシアのウクライナ侵攻が始まり、現在も紛争が続いています。最初、戦争は短期で終わると考えられていたのですが、朝鮮戦争も3年間続いたのですから、この戦争も簡単には終わらないかもしれません。写真は日露戦争時に作られた虫明焼の徳利。軍人たちが帰国した時、祝いの席で用いられた徳利です。当時の戦争は軍隊同士が戦う局地戦だったので民間人の犠牲も少なく、戦いでの美談も残っています。しかし、この後の2つの大戦は日露戦争とは内容が大きく違い、多くの民間人の犠牲が出ています。それが第2次世界大戦以降の現代戦の特徴に感じます。本作を見ていると、日露戦争当時の呑気な状況を感じることができます。この時、日本人は戦争をしていても他人事のように感じていたはずです。戦争の恐ろしさは、空襲を体験しないとわからない。だから、欧米のマスコミは他人事のように騒いでいるだけです。物事の本質をつかむには原点に返る必要があります。日本がロシアに勝利した後、国がどうなったかは歴史の語るところ。この徳利を見ていると近代日本の時間や時代の流れを感じることができます。SNSのない遠い昔の話です。

高さ 約21.5cm/胴径 約8.2cm

商品の購入をご希望の方はこちらから


染付色絵 あやめ文徳利 からす瓜盃
[2022/04/10]

先月、奈良、京都に旅行に行きました。目的は神社めぐり。8年ぶりに関西へ旅行したのですが、最近、神道関係の資料が整理できたせいか、神社のことが以前よりも理解できるようになりました。そこで感じたのが京都の上賀茂神社はゼウスのような神、下賀茂神社はポセイドンのような神を祀っているということです。この2つの神社は直接、ギリシャ神話とは関係ありませんが、記紀神話に西洋の神話の影響があることは多くの研究者の指摘するところです。
2つの神社をまわった後、奈良の春日大社に行きました。ここは鹿島、香取神宮から神様を奈良に遷した神社です。加茂神社に祀られている神様の元をたどれば武甕槌命、経津主命でしょう。古代人にとって雷と海は主要な神様だったはずです。
写真の徳利は染付あやめ文。関東であやめ、菖蒲と言えば佐原、潮来の水郷。武甕槌命(稲妻)と経津主命(海)を象徴する神域。これらの事を踏まえながら日本酒を飲むのも楽しいでしょう。日本文化、奥深いですね。

徳利 高さ 約15.5cm/胴径 約6cm
盃 口径 約5.8cm/高さ 約3cm

商品の購入をご希望の方はこちらから


伊万里焼 色絵 鷺・アヤメ文
[2022/04/03]

伊万里焼には季節の風景を描いた作品が多数、存在します。特に志田窯の作品は稲作に関係が深いので、各季節が表現されています。しかし、色絵になると松竹梅文や幾何学文、伝記文などが多く、季節を感じさせてくれる作品が少ないと言えるでしょう。写真の作品は志田窯ではありませんが、鷺とアヤメが描かれており季節感を感じさせてくれます。この皿の絵柄は季節でいうと5月。関東地方では水郷の町・佐原のアヤメ、菖蒲、カキツバタが有名です。ここ数年、コロナ禍のせいでアヤメ祭りも規模が縮小されていましたが、今年は例年通り開催されそうです。佐原に行き、女船頭さんの漕ぐサッパ舟で水路をめぐるのはとても楽しい。良き日本の風景を堪能することができます。まだ佐原の「あやめ祭り」を見てない方は是非、今年、出かけてみてください。写真の皿に描かれた世界に出会えると思いますよ。

口径 約36.5cm/高さ 約5cm

御売約、ありがとうございました

上へ戻る