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河野扶 油絵 M10号 「カンヌ」
[2023/03/19]

3月14日、東京で桜の開花宣言が出されました。これは例年よりも10日早く、最速タイだということです。この調子だと来週には満開になりそうです。写真は河野扶(たすく)の「カンヌ」。カンヌと言えば5月の映画祭が有名ですが、コートダジュールは2月のニースのカーニバルで春の訪れを迎えます。本作を見ると温暖な気候のカンヌが明るく描かれ、コーとダジュールの雰囲気を味わうことができます。ヴァカンスの時期に描かれた作品と考えられますが、カンヌの街並みの特徴が良く描かれています。ちなみに本作を描いた河野扶(1913〜2002年 宮崎県生まれ)は代々、藩医を務めた宮崎県の家に生まれ、京都第三高等学校の時、須田国太郎の指導を受け、東京大学理学部数学科卒業した異色の画家。定時制校の数学教師をしながら生涯、絵を描き続けました。本作は河野がフランスに滞在していた1971年の作品。SNSもITもなかったあの頃はまだ日本ものんびりとした時代でした。 本作を見ているとヴァーチャルではない空間があることを感じることができます。やっぱりアートは作品の中に空気がある作品が良いですね。

ピクチャーサイズ 縦横 32.5cm×52.5cm
額サイズ 縦横 48.5cm×68.5cm

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伊万里焼 楕円形 花見文 洋皿
[2023/03/12]

3月に入り、日々、温かくなっています。数日前、気温が20度でしたが、これは4月中旬の温かさ。ニュースの予想では東京の桜の開花は3月19日、来週には桜の花も咲き始めそうです。今年は都内の公園で花見がオーケーなので、久々に日本の春の風物が戻ってきそう。先週末のWBCの日本チームの活躍も含めて、卵不足などの問題はあるにせよ、何だか日本に明かるさが戻ってくような予感がします。写真は伊万里焼染付の花見文皿。形が楕円なのは西洋の洋皿を真似して製作したからです。このような楕円皿は西洋でローストチキンやローストビーフなどを盛る皿として利用されました。幕末、長崎には多くの外国人が訪れたので貿易商などが有田の窯にこのような作品を注文した、あるいは肉食の禁止されていた日本でも「薬食い」と称して日本人も肉食をしていたようなので、もしかすると洋食をするために日本人が注文した可能性もあります。 西洋にも中国にも楕円皿があるのですが、日本の花見を描いた風俗図は数ある楕円皿の中でも珍しい部類に入る作品、珍品です。このような作品を製作すること自体、日本人の花見に対する気持ちを知ることができます。結局、日本人は200年前と変わっていないのですね。開放的な気分で迎えることのできそうな今年の花見、楽しみだな〜。

口径 約29.9cm×25p/高さ 約3.4cm

御売約、ありがとうございました

ヴェネツィア ムラーノガラス 古代ローマ様式 紫 手付き瓶
[2023/03/05]

先日、テレビを見ていると干ばつの影響を受け、ヴェネツィアの運河の水が少なくなり、ゴンドラが運航できないというニュースが流れていました。干ばつも地球温暖化が原因だと考えられていますが、海に水没する地域がある一方、干ばつの地域があるというもの奇妙です。私が初めてヴェネツィアに行ったのは今から40年前、大学の時。訪ねた時期がちょうどカーニバルの時期と重なっていたので、仮装した人々が街を練り歩いていたことを思い出します。あの頃は日本の経済も好調で明るい未来を思い描けた時代でした。去年、ロシアがウクライナに侵攻しましたが、その影響はヴェネツィアのあるムラーノ島のガラス工房の存亡にかかわる危機を招いたようです。原因はロシアからの天然ガスの供給が止まり、光熱費が5倍になったことでした。日本の光熱費はまだ倍にはなっていませんが、イタリアを含めてヨーロッパは燃料代の高騰に苦しんでいるようです。もう一つの問題はコロナ禍による観光客の激減。本当に大変ですね。 写真の作品は古代ローマ様式を模倣して作った手付き瓶です。ちょうど私がヴェネツィアを訪ねた時代に作られたものでしょう。最初から模倣品を作るつもりで製作しているせいか、偽物を作ろうとする嫌みがありません。もしこれが本物だったら、相当、高価な値段がつけられるはずです。そこは模倣品の良さで、古代ローマの雰囲気を気楽に感じることができる価格となっています。いろいろな問題が起こりますが、長い歴史を持つヴェネツィア。今回の問題も乗り越えて美しい作品を世に送り出してほしいですね。

高さ 約11.4cm/胴径 約8.3cm

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