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切込焼 そば猪口 2点
[2024/05/19]

古美術商になって30年が経ちます。この間、社会は大きく変化しました。一番の変化はITやSNSが普及したこと。それらの技術の発展によって取得できる情報量が増え、古美術業界も様々な面で変わったように感じます。その一つが、これまで伊万里焼として流通していた磁器作品が国焼として認識されるようになったこと。地元の陶磁器研究家の方たちが情報をアップし、それに触れることによって私自身、地方窯の研究をさせていただきました。写真の2点は切込焼のそば猪口。2点ともこれまで伊万里焼として流通していた作品です。参考写真との比較や解説を読んでいただくと、そば猪口が切込焼だとわかると思います。古美術ファンの中には美しければ産地などどこでも良いと言われる方がいらっしゃいますが、商いをする身としてはより正確な情報をお客様に届けしようと考えています。時々、間違った情報も発信してしまい、愛好家の方からご指導を受けますが、それも精進の一環です。今週から窯別のそば猪口、向付などの作品を数点ずつ出品します。新しい情報などありましたらご教示ください。

あやめ文の口径 約7.5cm〜8cm/高さ 約6.3cm
格子文の口径 約7cm〜7.2cm/高さ 約6cm

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ロイヤルドルトン 酒場(パブ)風景 八寸皿
[2024/05/12]

散歩が心地よい季節になりました。賑やかだったゴールデンウィークも終わり、日本は祭りの後のような状況です。今回のゴールデンウィークは円安の影響で海外旅行が割高になって大騒ぎ。それに対処するために日銀の円買い介入。為替の変動に翻弄された休日となりました。写真はロイヤルドルトンの居酒屋風景を写した皿。1900年前後に作られた作品です。一見、ただの居酒屋に見えますが、背景に帆船が描かれています。米金融歴史家ジョン・スティール・ゴードン氏はお金をむやみに使うウォール街の米国人を「酒に酔った船員(Drunken Sailors)」と表現しています。18、19世紀、英ロンドンのテムズ川船着き場付近の飲み屋では、長い航海からの帰還を祝って船員たちが宴会を繰り広げました。本品はその時の風景を描いたものです。当時の英国船員たちはインドや中国での遠隔地貿易で大金を手にしました。その頃、アメリカは中国、インド、日本は足元にも及ばない発展途上国。200年たって、それが逆転したようです。今も昔も人々は一攫千金を狙って行動していた。アンティークの作品にそれが描かれているのが面白いですね。

口径 約26.3cm/高さ 約3.5cm

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切込焼染丸文長皿と高浜焼色絵貝文徳利
[2024/05/05]

ゴールデンウィークも後半、日本各地の観光地は大勢の人で賑わっています。コロナ騒動が収まって1年、日本人も旅行やイベントなどを気兼ねなく楽しむことができるようになったようです。
写真は切込焼染丸文長皿と高浜焼色絵貝文徳利。2つとも5月を感じさせてくれる作品です。その昔、まだ子供が小学生だった頃、ゴールデンウィークに藤を見に「あしかがフラワーパーク」、三浦半島には潮干狩りに行きました。あの頃はインバウンドの観光客も少なく、ゴールデンウィークでも人込みは少なかったような気がします。ちなみに、あしかがフラワーパークの隣には伊万里焼や鍋島焼の名品を展示している栗田美術館があり、足利市の観光名所になっています。栗田美術館を訪れた当時、まだインターネットは整備途中でした。その頃は古美術市場に出品されている磁器作品を見るとすべて伊万里焼だと信じていましたが、今ではネット情報を利用することもでき、磁器作品が日本各地で作られたことが理解できるようになりました。昔であれば、写真の切込焼や高浜焼の作品も伊万里焼だと信じていたでしょう。近年、AIが出現、様々な社会変革をもたらしています。これからもテクノロジーが発展すれば、より正確に国焼作品の産地の分別もできるようになると思います。それを人ではなくAIが作品の真贋を鑑定する時代が来るかもしれませんね。日々、変化する世界に対応しながら古美術品と接することを楽しんでいます。

切込焼染丸文長皿の口径 約20.5cm×12cm/高さ 約3.7cm
高浜焼色絵貝文徳利の高さ 約26cm/胴径 約15.5cm

御売約、ありがとうございました


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