このページは2017年6月3日(土)に行われた骨董講座を再現したものです。 |
第39回 古代・中世の日本文化と古美術の総括
(1) 縄文、弥生時代の古美術 |
2年前から古代から明治時代まで文化と古美術について話をしてきました。今回はシリーズが終了したので、総括として日本史からではなく骨董品や古美術品の面から文化の話をしたいと思います。話は私の骨董屋としての体験が中心になります。よろしく。 |
(2) 古墳時代から奈良、平安時代の仏教美術
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古墳時代は3世紀、邪馬台国で卑弥呼の塚(箸墓古墳)が造られた時から始まります。それ以降、前方後円墳は纏向、柳本、佐紀盾並、馬見、古市、百舌古墳群などが近畿地方に、地方では吉備や日向に作られます。この時代の古美術品には、土師器、埴輪、玉、ガラス珠などがあります。先ほども話しましたが、埴輪はオリジナルの%で価格が決まります。ネット・オークションを見ると、今できの勾玉が多数、出品されています。勾玉の真贋はプロでも難しいので、覚悟をして購入してください。 |
(3) 鎌倉時代の仏教美術と六古窯
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鎌倉時代の古美術品には仏像、写経、銅鏡、経筒などの他、六古窯の陶器が加わります。仏像は平安時代の商品数と比べると、鎌倉仏は倍増する。江戸時代の仏師の作った仏像を100とすると、室町時代の仏像は25、鎌倉時代の仏像は6、平安時代の仏像は1くらいの割合で市場に流通しています。その他、仏像の残欠なども、この割合で出回っています。価格はこの逆で、平安時代の仏像は100万、鎌倉時代の仏像は75万、室町時代の仏像は50万、江戸時代の仏像は25万となります。鎌倉時代の銅製の掛仏などは数が残っているので30万も出せば、良品が入手できるでしょう。 |
(4) 室町時代の古美術
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室町時代になると古美術品のジャンルが多様化します。鎌倉時代までは旧仏教の古美術品が中心となりますが、室町時代になると禅宗に関連する古美術品、茶道の関係の陶磁器、根来塗などの漆器などが登場し、安土桃山時代になると、それが一気に開花します。宗教界に目を向けると、禅宗では流行が臨済宗から曹洞宗、浄土真宗から一向宗へ人気が移行し、神道と融合して仏像の様式も多様化します。江戸時代に流行った大黒天の彫像が作られ始めたのも室町時代です。 |
(5) 古代・中世の古美術への関心
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日本人が古美術収集に関心を持つようになったのは20世紀に入ってからです。大正時代、「大戦景気」によって豊かになった日本人は、財閥人を中心に古美術品を収集するようになります。それらの古美術品は江戸時代の大名家が手放した物でした。その頃、財界人が収集した古美術品は大名が所持していた茶道具と墨跡と名画、いずれも茶道関係の物です。しかし、太平洋戦争で財閥は解体されると、個人での古美術品収集は難しくなり、それらの古美術品は財閥系の博物館、美術館で管理されます。 |