このページは2015年12月5日(土)に行われた骨董講座を再現したものです。 |
第23回 「古代・中世と古美術シリーズ -3- 古墳時代の美術」
(1) 古墳時代とは |
古墳時代は奈良県・桜井市にある箸墓古墳の築造から始まり、飛鳥にある欽明天皇陵で終焉した時代です。古墳時代を区分すると箸墓古墳が造られた250年頃から「日本書紀」に登場する日本武尊が活躍する320年頃までが初期、彼の子孫が河内政権を樹立する400年頃までが前期、雄略天皇が河内から大和に遷都して日本全国に大王家の勢力を浸透させる470年前後が中期、雄略天皇の死後、大王家の権威が失墜して継体天皇(507年~)が大王家を継ぐまでが後期、欽明朝で古墳時代は終わります。欽明朝(539年~571年)はどちらかというと飛鳥政権に近いので、古墳時代とは区別した方が良いでしょう。 |
(2) 古墳時代の展開
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369年、百済王から倭王に七支刀(国宝、石上神社蔵)が贈られます。この刀は応神天皇の誕生を記念して造られた記念品です。戦前、皇国史観を喧伝していた軍隊は三韓征伐を行った、赤ん坊の応神天皇の肖像を大量配布しました。弁韓王家(武内宿禰)と倭・百済王家(神功皇后)が結びついて生まれたのが応神天皇です。彼は百済、弁韓、九州王家の血筋を引く王子でした。 |
(3) 古墳時代と中国・朝鮮半島
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古墳時代、形象埴輪や須恵器が製作されるようになった時期、日本人の造形感覚は豊かになります。しかし、発掘される数が限られているので、骨董屋に流通する良品は少ないのが現状です。壺や生活雑器は流通していますが祭器は少ない。これは文化財保護法で発掘品が保護されていることと関係します。 |
(4) 古墳時代と現代
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古墳時代は日本人が大陸や朝鮮半島の人々と混血した時代です。この時代に現代日本人の原型が誕生しました。近代史観では日本人は純潔と唱えられていますが、科学が発達した現在、純粋な日本人など存在しないことが判明しています。同様に純粋な中国人、韓国人も存在しません。世界中の人が実はユダヤ人のような存在だった。国や民族は使用言語、文化で成立する。
【1】 さきたま古墳群(埼玉県行田市) 稲荷山古墳から象嵌入りの鉄剣が出土。 近年、河内や堺市の古墳群を世界遺産に登録しようとする動きがあります。これらは大切な遺跡ですが天皇家との関係で詳細が明らかになっていません。宮内庁がうるさいので発掘できない。個人的には政教分離をして、日本史の正確な実態を公表した方が今後の日本文化が発展する。日本人も古墳時代の面白さを再認識する時期だと思います。 (終わり) |