このページは2015年7月4日(土)に行われた骨董講座を再現したものです。 |
第20回 「古美術品の社会学U 古美術、メディア、サブ・カルチャー」
(1) 近頃の若者は…… |
現代美術評論家の椹木野依さんが、この春、「後美術」という評論集を出しました。その本の中で彼は、「後美術」という美術や音楽などの既成のジャンルの破壊、交流から生み出される新しい芸術理論を語っています。ジョン・レノンとオノ・ヨーコのコンセプトが新しい芸術の地平を開くと……。ですが、これは禁じ手の論法。私は昔、李禹煥先生から「小説家の中上健二が美術評論をやりたがっているが、専門ではない領域には踏み込まない方が好いと忠告した」という話を聞きました。中上の現代美術評論を聞きたい気もしますが、それをしないからこそ中上は小説家として信用される。古美術商を長年やっていると、他の領域、人のことには口をはさまない方が好いことを実感します。 |
(2) ラジオ、映画の時代(昭和時代前期)
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エジソンの発明したキネトスコープをフランス人のリュミエール兄弟が改良、スクリーンに投影するシネマトグラフを発明したのが1894年、日清戦争の時代です。
昭和時代初期 大衆文化(サラリーマン文化)の出現と財界人による古美術収集
戦後の婦人の地位向上は、美術的にも女性の解放を意味しました。結婚前の娘さんが教養のために茶道、華道を習うようになった。これには善し悪しがあり、良い面は封建的な茶道、華道が解放され、女性も和風文化に触れることができるようになった。悪い面は茶道、華道だけが和風文化だと勘違いして、封建的な部分を女性たちが維持するようになった、です。 |
(3) テレビ、雑誌の時代
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昭和30年代、大衆的なアメリカ文化に触れた青年たちが封建体制を嫌う、反社会的な「太陽族」を形成します。J・ディーンの映画やE・プレスリーのロックが流行し、この時期、日本のサブ・カルチャー文化が始まりました。私の母親はプレスリーを聴きながら、茶道を習っていたそうです。 |
(4) インターネットの時代
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インターネットは20世紀に登場した映像、雑誌、音源をミックスしたメディアです。
各項の問題点を挙げるとすれば
これは、2015年時点での話。将来、テクノロジーの発達に伴って、古美術品の価値観がい大きく変わることは確実です。そのきっかけは、 |