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李朝 刷毛目 鉢
[2020/03/29]

先週、小池東京都知事がコロナウィルス感染対策の為、週末の外出自粛要請を出したので、仙遊洞も土・日と2日間休業としました。英米の状況を見ると、営業よりも対策した方が賢明だと判断したわけです。その代わり、時間が取れたので通信販売の出品数を2倍に増やしました。世間でも在宅でのテレワークが行われていますが、店舗を開けなくても営業できるのが現代社会の利点かもしれません。写真は李朝刷毛目鉢。20年前、この手の鉢は値段が高く、商品数も少なかったので「欲しいな」と思いつつ、指をくわえて見ていたことを思い出します。それがこの値段!朝鮮半島の状況が変わると、このようなことが起きるのですね。この鉢の見込みを覗くと刷毛目の渦巻の中に金繕いされた2本の細い傷が浮かんでいるように見えます。頼りなさげな2本の線が社会にの渦に翻弄されている。それを現在の人や国のように感じてしまうのが、現在の私の心理状態です。「刷毛目の渦に翻弄される2本の線は若い恋人たち」といえばロマンチックですが、経済を取るか安全を取るかで迷っているというのが現在の日本人でしょう。「この鉢を買うか、買わないか」で迷うくらいだと、まだ呑気ですね。

口径 約18cm/高さ 約8cm〜8.4cm

御売約、ありがとうございました


源内焼 黄釉 唐草籠目文5寸皿
[2020/03/22]

先週、ヨーロッパでは新型コロナウィルスが大流行を始め、中国以上に犠牲者が出る事態に陥りました。このような状況になるとは誰も想像もしていなかったはずです。今週はヨーロッパのことを想い、応援の意味を込めて源内焼の作品を紹介します。源内焼18世紀後半、高松藩で平賀源内が開いた御用窯です。高松藩は譜代大名だったので金があり、このようなハイカラな焼き物を生産しました。この作品は西洋のユリのデザインを使用しています。西洋人にとってユリは、厄を払ってくれる剣を表わすデザイン。日本では、それが菖蒲となります。このデザインは当時、解禁されていた洋書から採用されたもの。本当に日本、鎖国していたのですかね?この作品が作られたのは、ちょうどフランス革命の時代。日本でも天明の大飢饉など世界的に社会状況は不安定な時代でした。 それでもフランス人や日本人はそのような状況を乗り越えた。ですから、今回もこの困難な状況を乗り越えられると信じています。ちなみに普通、源内焼は三彩が多いのですが、この作品は単彩。明らかに金(ゴールド)を意識しています。珍しい作品です。時代の証言者となるような作品に出会えるのですから骨董は面白いですね。永遠の力を持つ黄金の剣(ユリ)で厄払いして欲しいものです。

(右)13世紀にフィレンツェで鋳造されたフィオリーノ金貨
口径 約15.5cm/高さ 約2.4cm

御売約、ありがとうございました


平清水焼 染付 たこ唐草 長皿
[2020/03/15]

3月に入って、新型肺炎の感染者が増加しています。特にイタリアは感染者が急激増加し、緊急事態に発展しています。11日には甲子園球場で行われる予定だった選抜高校野球大会が中止。選手はさぞや悔しい思いを感じていることでしょう。写真の染付写真は平清水焼のたこ唐草文長皿。江戸時代、たこ唐草文は永遠の繁栄をもたらしてくれる模様としてデザインされました。このような作品のほとんどは有田地方で生産された伊万里焼ですが、たまにこのような国焼きのたこ唐草作品に出会うことがあります。珍しいので、この作品は切込焼と思っている人が多いのですが、切込焼の長皿には角に窪みがありません。微妙な部分ですが、その辺りが鑑定の鍵となります。永遠の繁栄のたこ唐草文と幸運の象徴である松竹梅。どちらも縁起が良い模様です。暗い話題が多い昨今、このような長皿に料理を盛って食べる時も晴れるでしょう。山形県の焼物です。東北の春が早く来ると良いですね。

口径 約20cm×11.7cm/高さ 約3.5cm


第66回 「室町時代の文化と古美術」が終了しました。
[2020/03/08]

今回の骨董講座は、2016年に行った「室町時代の文化と古美術」のアンコールでした。アンコールと言っても、昔、どのような講座を行ったのか記憶にないので、新しい内容になっています。かつては室町時代は不明な点が多く、人気がありませんでした。しかし、最近は先端技術による遺跡の発見などで、歴史通の間で人気があります。
ところで、世間では新型肺炎が流行していますが、仙遊洞のお客様たちはどこ吹く風。お客様間で熱気ある骨董話で盛り上がっていました。今回も大勢の方にお集まりいただき、感謝しております。講座の後は、またまた飲み会。新型肺炎のことを忘れることのできる楽しい1日でした。次回は、安土桃山時代の古美術の話。お楽しみに。

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