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瑠璃釉 陽刻 唐草文 花瓶
[2019/12/29]

あと数日で、2019年も終わります。今年の最後のブログには年末っぽいものと考えたのですが、年末には似つかわしくない写真の花瓶を登場させます。この花瓶は19世紀頃、オスマントルコで作られた瑠璃釉の花瓶です。発掘品なのかバラバラになっていた破片をくっつけて形にした物です。この花瓶が作られた19世紀はヨーロッパが中東を再発見した時代。ナポレオンのエジプト遠征に始まり、西洋列強は中東に進出を始めます。最近、石油やパレスチナ問題をめぐって中東は騒がしいのですが、それでも当時の中東は石油も発見させておらず、ヨーロッパの人たちはドラクロアの絵画に見られるようなオリエンタリズムに憧れを抱いていました。砂漠のオアシスで駱駝が水を飲んでいるのが、中東のイメージでしょうか。この花瓶を見ていると石油発見以前、近代化が始まる前の、のんきで平和な中東を想像することができます。私の年末は中東の夢で終わりそうです。今年最後にこの花瓶に出会って、想像力を中東まで飛ばすことが出来ました。それが古美術とのつき合いの楽しさです。 今年一年間、仙遊洞を御愛顧いただき、ありがとうございました。皆様、良い年をお迎えください。

高さ 約34cm/胴径 約16.5cm

御売約、ありがとうございました

漆器 独楽型 椀 5客
[2019/12/22]

今年も残すところ10日となりました。新しい天皇が即位した令和元年は、みなさまにとってどのような年だったでしょうか。これからクリスマス、お正月にかけて、ハレの季節がやって来ます。今年、問題があった人も、この時期に気分転換をして明日に向かえるはず。ですので、楽しく過ごしましょう。 写真は独楽の型をした珍しいお椀。佐渡や山梨では、お正月の門付芸能である春駒が伝承されてるとか。廻る独楽が年が巡るのを象徴し、駒と独楽を掛け合わせるところに日本人のセンスを感じます。そこが浅いので吸い物椀というよりも煮物椀ですね。来年はねずみ年ですが、縁起物の模様の煮物椀を使用して、お正月を楽しんでください。古美術品を使うと、普段と違ったお正月が楽しめるでしょう。

口径 約12.5cm/蓋までの高さ 約8cm

御売約、ありがとうございました

藍柿右衛門 松竹梅紋 蕎麦猪口 5客
[2019/12/15]

今年も残すところ2週間となりました。これからクリスマス、年の瀬、お正月と晴れやかな日々が続きます。みなさんにとって令和元年はどのような年だったでしょうか。写真の染付は藍柿右衛門の向付です。バブル経済、華やかたっだ頃、このような商品は20万円位で取引されていました。それが現在では4割程度が相場となっています。株価も1990年の4割程度なので株価と伊万里焼の値段が比例していることがわかります。最近、日本経済はデフレ気味。世界を見回しても商品価格が安い国となりつつあります。マクドナルドのビックマックの値段を比較すれば、どのような状況か分析できるでしょう。古美術愛好家が商品の購入を控えるというよりも、デフレ傾向が消費者の購買意欲を削いでいるのだと思います。これだけ景気が良くても、みんなが「景気は悪い」と言っている。不思議です。日本人は物よりも雰囲気に影響される民族。松竹梅文は縁起物。お正月くらい晴れやかな気分で過ごしたいですね。

高さ 約6.5cm/口径 約9.5cm

御売約、ありがとうございました

第63回 「現代美術と古美術」が終了しました。
[2019/12/08]

今回の骨董講座は、2015年3月に行った「現代美術と古美術 岡本太郎、李禹煥、荒川修作」のアンコールでした。近年、海外では現代美術品の値段が高騰しています。日本でも一部の作家の作品は高値で売れ、日本人も投資対象として注目するようになりましたが、それでもまだ底が浅い。日本には良質の古美術品が安価で存在するので、マネーゲームに巻き込まれなくても美感は満足できるのでしょうね。今回の講座、復活させて、自分で面白いと感じてしまいました。古美術同様、現代美術も面白いですよね。次回は、お正月にちなんで、「神道・道教美術」のお話をします。お楽しみに。

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丹波焼 壺
[2019/12/01]

11月末になって、やっと晩秋の感じがしてきました。今年の秋はいつもよりも温かい、秋らしくない秋でしたね。いつもなら11月は、紅葉などの枝物を飾ることのできる六古窯が活躍する季節です。ところが、今年は六古窯の壺が活躍期が短く、あれ、もう冬という感じです。ですから、本作のような良品も売れ足が鈍ります。やっぱり古美術品は季節が関係する商品ですね。長年、古美術商をしていると、売れなくても苦にならない商品があります。本品もそのような商品の一つです。古美術商の経験で本品のような壺にはなかなか会えないことを知っているので飽きがこないのでしょう。良い作品というのは仲の良い友人のような感じがします。来年の秋には枝物を活けてあげたいけど、いつか転勤しちゃうのかな〜。

高さ 約29cm/胴径 約26cm

御売約、ありがとうございました

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