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五城目焼 白釉 掛流し 蓋つき壺
[2019/03/31]

先週末、東京は各地で花見で盛り上がっています。土曜日は夜、雨でしたが、日曜日は晴れて花見日和。西荻にある善福寺公園は花見客でいっぱいでした。 写真は秋田県の八郎潟近くにある五城目焼の蓋付き壺。一昨年、私は秋田に旅行に行ったのですが、この窯の周辺をドライブしたことを思い出しました。 秋田旅行では秋田の他、横手、角館などを廻ったのですが、特に角館は桜の名所として有名。しかし、今週、秋田県の天気は雪模様、桜の開花は4月17日だそうです。 この作品を見ていると、秋田の早春の雪解けの景色が思い浮かびます。先日まで五城目焼など知らなかったのですが、たまたま縁があって入手することができました。 日本には骨董屋の知らない窯がまだたくさんある事を再認識しました。旅に行き、そこで作られた古民芸に触れ、その地方で作られた日本酒や郷土料理を楽しむ。 日本は地方によって異なる文化を持っているので面白いですね。

蓋込みの高さ 約15cm/胴径 約14cm

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クメール 灰陶 壺
[2019/03/24]

21日、東京で桜の開花宣言があり、30日には満開になるようです。すっかり春ですね。桜の枝でも活けようかと思って壺を探していた時、偶然にクメールの壺(11世紀頃)を見つけました。本作はアンコール・ワットの前時代に作られた作品です。 この壺が作られたのは日本では平安時代末期、貴族のがこの世を謳歌していた時代です。このような陶器が作られて以降、クメール王朝は最盛期を迎え、それは日本では武士の登場と重なっています。 12世紀になり、アンコールワット時代になると、クメールでは黒釉陶の製作が盛んになります。日本もクメールも貴族から武士へ政権が移行することによって文化や風俗も変わりました。 両国とも新しい仏教が盛んになり、社会に変動が起こりました。 本作は常滑焼の壺に似ていますが、文化や風俗が違うので作品の雰囲気が異なっています。右の写真はカンボジアの桜。常滑壺と本作の雰囲気は違いますが、桜は同じように見える。
ところで、来週、日本では次の時代の元号が発表されます。はたして新時代はどうなるのでしょうか。「明日の事を言えば鬼が笑う」かもしれません。というよりも、みなさま、来週は平成時代最後の花見を楽しんでくださいね。

高さ 約30.5cm/胴径 約28.5cm

御売約、ありがとうございました

木彫 芭蕉像
[2019/03/17]

今までは「春たちて まだ九日の 野山かな」でしたが、ようやく「咲乱す 桃の中より 初桜」の季節がやって来ました。来週には「両の手に 桃とさくらや 草の餅」となり、「花の雲 鐘は上野か 浅草か」となるでしょう。
若い時は、「花見にと さす船遅し 柳原」でしたが、歳を取ると、「さまざまの 事おもひ出す 櫻かな」となります。人ごみの花見に行よりも「鐘つかぬ 里は何をか 春の暮」の方が心も落ち着きます。これらの句は松尾芭蕉のものですが、俳句は歳と共に味わいが変わってくるから面白いと思います。若い時は体験が少ないので、「さまざまの 事おもひ出す 櫻かな」などの句は味わえなかった。人間も骨董も歳を経て味わいが出るのでしょうか。
写真は「木彫 芭蕉像」です。「山形地方の芭蕉を慕う俳人が持っていたのかも」と、最上川下りを楽しんだことを思い出しながら想像しています。昔、私は「奥の細道」が大好きで何度も読み返しましたが、最近はまったく芭蕉のことなど忘れていました。この芭蕉像と出会って、久しぶりに芭蕉の句を読んでみると、やっぱり芭蕉は良い。そこで一句、「ゆく春や 老いた桜木 芭蕉像」。お粗末でした。

高さ 約11.5cm/横幅 約10.5cm

御売約、ありがとうございました

小鹿田焼 スリップ飴釉・緑釉 徳利
[2019/03/10]

3月になって暖かい日や冷たい雨が交互にやって来て、体調が気候に左右される日が続きます。それでも日に日に春が近づいてきて、あと少しで桜の季節になるでしょう。写真は小鹿田焼の徳利。縦長の形からすると大正時代に製作されたものだと考えられます。竹久夢二の絵も縦長ですからね。この時期、お酒の容器は陶器からガラスに変わります。ガラスの一升瓶が登場するのも、この時代なので、本品も縦長のガラス瓶をまねて作られたのかもしれません。日本の近代化は1900年頃から始まり、ガラス瓶も工場で大量生産されるようになりました。そのために地方の陶磁器瓶を生産する窯は経営が難しくなっていきますが、地方の窯では細々と瓶や徳利を作っていたようです。時代は変わって平成時代も最後の年となりました。日本人は骨董品の良さを認識するようになり、ガラスの一升瓶に骨董的な付加価値は付けませんが、本品のような手作りの一升瓶には付加価値が付けます。やっぱり、味気ない大量生産の品物よりも、スリップ技法を巧みに使用できる職人技の方が魅力的です。本品が、一升瓶の歴史を語る時代の証言者のような感じもします。面白いですね。

高さ 約28.5cm/胴径 約13cm

御売約、ありがとうございました

第56回 アンコール講座C「茶道と茶道具」が終了しました。
[2019/03/03]

4回目のアンコール講座は「茶道と茶陶」の予定でしたが、今回、久しぶりに参加してくださった受講生の方が「黄瀬戸」について、自分なりに研究された論文を持ってこられたので、「茶道と茶陶」というよりも、「日本の古陶磁器の特質と茶道の展開」につての講座となりました。講座の中では、「日本の陶磁器は中国や朝鮮よりも技術的に遅れている」と考えている人が多いがそれは間違いだ、という話をしました。安土桃山時代に製作された黄瀬戸や志野焼は世界的に見ても、技術的にもしっかりと作られたユニークな陶器です。証拠は、この時期のような黄瀬戸や志野焼の作品を後世の人は再現できなかった点にあります。織部焼や瀬戸焼などはある程度、再現できますが、前者を製作するのは不可能に近い。当時、最高の技術を持った陶工が作ったから、あのような素晴らしい作品ができたのです。品格や繊細さの点で判断すると、唐津焼など黄瀬戸に及びもしません。、また、講座では茶会記などのデータをスパコンなどに入れると、どのように黄瀬戸の食器が茶会で使用されていたか判明するでしょう、という未来の話をしました。3Dプリンターを使うと、桃山時代の黄瀬戸を再現できるかもしれません。それが遠い将来でないことは、日本人の技術の速度を見れば理解できるはずです。来月の講座は、「陶磁器の模様 シンボルと吉祥文」。お楽しみに。

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