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浦富焼 染付 山水文 7合徳利
[2019/01/27]

骨董屋を初めて25年経ちますが、その間、見たことの無いような品物に出合うことがあります。写真の染付徳利もその一つ、珍品です。磁器の産地に興味のない人であれば、「これは瀬戸焼の徳利」で済むのですが、民芸好き、国焼好きとしては産地を確定することに情熱を注いでしまいます。何となくこの徳利は兵庫周辺で作られたところまでは推測できるのですが、それから先が難問。それで、あちらこちらの資料を引っ張り出してきて本品と見比べました。本品を浦富焼として掲載する資料はなかったのですが、絵の描き方から浦富焼と鑑定しました。裏に書いてある帆船の描き方が独特でしょう。浦富焼は鳥取県の焼物。北前船が日本海を航行していたので、絵付け師も生き生きとした帆船も描けたのかもしれません。その辺も産地を推測する材料となります。このように骨董屋は産地を確定しますが、日本にはまだまだ産地が不明な焼き物がたくさんあります。だから、それを探索するのが面白い。国焼の世界は広いですね。

高さ 約26cm/胴径 約11cm

御売約、ありがとうございました

須恵器 手付コップ 
[2019/01/20]

今年は例年よりも雨が少なく、寒くて乾燥した日が続いています。乾燥した天候のせいでインフルエンザが爆発的に流行、私の周りにも数人がインフルエンザ患者がいます。テレビ番組で言っていたのは、朝、起きたらすぐに歯を磨くと余計な菌の繁殖が防げるのでインフルエンザ予防に効果があるとのことです。是非、皆様、実践してみてください。
写真の須恵器は6世紀の取っ手付きコップ。5世紀頃、鉄器や須恵器の技術を持った南朝鮮の人々が高句麗からの圧迫を逃れて、日本列島に大量に移住してきました。その時、渡来人は、このようなコップを携帯して来たようです。これで渡来人たちは熱い馬乳や羊乳を飲んでいました。それまで日本には馬はいなかったので、馬を見た倭人は驚いたことでしょう。市場に出ている手付きコップは新羅のモノが多いのですが、本品は和製なので新羅製よりも優しい感じがします。本品を見ると日本に外来文化が根付いていった感じがわかります。ちなみに日本酒の材料である麹が日本で使用されるようになったのも5世紀。渡来系民族の人たちはお酒が好きだったのですね。やっぱり、冬は熱燗ですか。

口径 約9〜10cm/高さ 約9cm/横幅 約13.5cm

御売約、ありがとうございました

第54回 アンコール講座A「日本の陶磁器・古民芸」が終了しました。
[2019/01/12]

第2回目のアンコール講座は「日本の陶磁器・古民芸」でした。これは5年前に行った講座ですが、今回、参加された方は初めての内容。昔の内容に新しい視点を加えて日本の陶磁器の歴史をお話しました。講座の内容についてはホームページの「骨董講座」に概要をアップいていますが、記述していない話は@縄文人は現在の日本人同様、衛生的な生活を送っていた。A「刺身は料理ではない」という人がいるが、活〆の技術や衛生状態が良くないと食することはできない立派な料理である。それを盛る器が耐水性のある伊万里焼など。B江戸時代中期、田沼時代に日本の陶磁器は多様性を獲得、地域によって特色のある陶磁器を作った、などです。仙遊洞の骨董講座は陶磁器の概念を教えるものではなく、どれが他の文化やジャンルとどのように関わってきたか解説する講座です。独断と偏見の講座ですが、意外と長く続いています。次回の講座は「伊万里焼」。新たな視点、文化論を加えて、伊万里焼についてお話したいと思います。お楽しみに。

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京焼、九谷焼、民平焼、大樋焼 猪口4客
[2019/01/06]

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
今年は平成最後の年で、5月からは新しい元号に変わります。仙遊洞の平成時代は骨董修行から開店、営業とまさに骨董三昧の時代でした。店を初めて20年、振り返るとあっという間に時間がたった感じがします。これもお客様があってのこと、ほんとうにこれまでありがとうございました。ところで、みなさまの平成時代はいかがだったでしょうか。 写真は4種類の盃。というか、日本酒の酒器です。これを見るだけでも日本にはさまざまな陶磁器があり多様性がある事がわかります。最近、欧米では純血主義が主流となり、民族至上主義のような風潮がありますが、日本は移民法を改正し、これから外国人を受け入れる時代となりそうです。行き過ぎた移民政策は排他主義を生みますが、緩やかな混在は多様性をもたらし、日本の文化にも良い影響を与えてくれるでしょう。日本人と移民が仲良く安全に暮らす日が来ることを願ったものが次の時代の元号となるのではないか。次の時代が日本列島に暮らす人たちにとって楽しい時代になると良いですね。その時は、このような盃で祝いたいものです。

御売約、ありがとうございました

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