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鍛冶町焼 こね鉢
[2018/06/26]

仕入れに行った時、すぐに鑑定できない商品に出合うことがあります。このこね鉢を見た時も、「これは東北の焼物だけど、堤焼かな。 でも藁灰釉が灰色がかっているから違うな。仙台地方の焼物のようん見えるけれど、どこだろう?」と様々な疑問がわきました。 古美術商の体験からいうと私は「わからない焼物があればとりあえず買う」をモットーにしているので、友人からこの鉢を譲ってもらい家に帰ってから、この鉢がどこで製作されたかを調べ始めました。 最初は堤焼、それから上野目焼かと考えましたが、いろいろ調べるうちに以前、このような釉薬が掛かった徳利を扱ったことを思い出し、「これは花巻の鍛冶町焼だ」という結論に達しました。しかし、明治時代の鍛冶町焼とは違う、どこかしら武士の世を感じさせる時代の雰囲気があります。 調べて見ると鍛冶町焼は天保時代に開かれた窯だとわかり、やっと納得できました。古美術商はこのような感じで商品を鑑定するのですが、そこには過去に扱った商品の体験が関わっています。 花巻といえば宮沢賢治や万鉄五郎を生んだ土地、そこで作られた焼物だと思うと一層、親しみがわきます。民芸の面白さは風土と共にあるのですね。

口径 約33.2cm/高さ 約16cm

御売約、ありがとうございました

伊万里焼 染付金彩 ナスビ飯茶碗 5客
[2018/06/17]

最近は1年中、ハウス栽培の野菜がスーパーや八百屋で買うことができるので、店頭の野菜から季節感を感じることはできません。 昔はキュウリ、スイカ、ブドウなどが八百屋に並ぶと、夏を感じたものです。 江戸時代の人は、ナスと「物事を成す」の成すをひっかけて、ナスビを縁起物と考えました。 諺の「一富士、二鷹、三茄子」にあるように、初夢でこの夢を見ようと努力していたようです。 伊万里焼の染付にも「一富士、二鷹、三茄子」文があり、この諺が庶民に浸透していたことがわかります。
写真は可愛いナスが染付と金彩で描かれた伊万里焼の飯茶碗。ナスの柄が団扇のようにも見えて、夏らしさを感じさせてくれます。 現代から見ると江戸時代の茶碗は小ぶりで物足りないのですが、当時の米は今でいう給料の役目を果たしており、貴重品だったので大切にしていたのでしょう。
ところで私の実家は広島で農家を営んでいます。そこで栽培されたナスビやキュウリは東京で買う物とは全く味が違います。 味に深みがあって、本当に美味しい。お盆に帰省するたびに祖父母が作った野菜を食べて、季節感を感じています。
何事も便利になっている世の中ですが、自然の恵みだけは人が手をかけないと獲得できない。 昔の陶工が精魂込めて作った伊万里焼の味わいも季節の野菜のようなものかもしれません。

全体高さ 約8.5cm/口径 約10.8cm

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小倉焼 青釉 徳利
[2018/06/09]

この徳利に出合った時、産地も作者もわからなかったのですが、どこか魅了されて購入しました。 どこに惹かれて購入したか、自分でもよくわからなったのですが、手元に置いていても一向に飽きません。 長い時間、これを作った陶芸家はなかなかのものだと感心していた次第です。作品と接していると徐々に産地に近づいていくことがあります。 私はこの徳利を見て信州近辺で作られた焼物だと推測していたのですが、ある日、図録を見ていて、これが小倉焼ではないかと思うようになりました。 小倉焼は明治27年頃、山梨県北巨摩郡多摩村小倉(こごえ)に、晩年の奥田信斎が開いた窯です。 以前から常連客の方に信斎の作品を探してほしいと頼まれていたのですが、実際に信斎の作品に接したことが無かったので、この徳利も信斎が作った物かどうか自信が持てませんでした。 ところが、「信斎は信楽出身の陶工だよ」という友人の一言を聞いて、信斎が信楽出身であることを思い出しました。 この徳利、信楽のような土を使用しています。それで、これが信斎の作品だということを確信しました。 この結論はあくまで推測の域を出ませんが、それが間違っていたとしてもこの作品は素晴らしい。私は鈞窯の焼物が好きなので厚手の青釉が掛かった作品に魅了されます。 それにしても、これだけの青釉を厚手に掛けることができる。信斎ならではの技術でしょう。

高さ 約29.5cm/胴径 約23cm

御売約、ありがとうございました

第49回・骨董講座「古美術と社会学H アンティークの町西荻の変容」が終了しました。 
[2018/06/02]

今回の骨董講座は「アンティークの町西荻の変容」でした。私が西荻に来た1980年代後半頃から西荻はアンティークの町として認識されるようになります。 1990年代、アンティーク界に昭和レトロブームが来ると西荻には昭和のレトロ商品を扱う雑貨屋さんがたくさん登場、2000年代には新感覚骨董というジャンルが西荻発信で全国的にブームを巻き起こしました。 最近、西荻では骨董屋さんも減り、雑貨屋、カフェ・ギャラリーが増えていますが、町が変容しても美術に関わる文化は健在。美術大学出身者が関係しているのが町の特徴でしょうか。 美術好きな人が集まる西荻をこれからも見続けて行きたいと思っています。

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