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越中瀬戸焼 鴨徳利一対(昭和時代初期)
[2018/04/29]

先週、マキノ雅弘監督、片岡千恵蔵主演の「鴛鴦歌合戦」を観ました。この映画は昭和14年(1939年)公開の娯楽オペレッタ映画です。 映画の中で歌われる歌は、ジャズやミュージカルというよりも、どとらかというと演歌や浪花節調。 これが当時の最先端のミュージックだと考えると不思議な感じがしますが、今でも挿入歌が楽しい曲に聞こえるのは私が日本人の音楽的感性を持っているからでしょう。 物語は骨董と恋にまつわる話。映画の中で骨董品が重要な役割を果たしています。主要人物の2人は骨董屋に騙されている。 物語はハッピーエンドで終わりますが、この映画のいいたいことは古美術商をしている私には痛いほど理解できます。
写真は越中瀬戸焼の鴨徳利。夫婦2人が仲良くつがいになっている様子を表した特注の徳利。 昭和10年製作の作品ですが、「鴛鴦歌合戦」を見て、思い出したように通信販売にアップしました。 「鴛鴦歌合戦」は、TSUTAYAなどのレンタルビデオ屋で借りることができるので、骨董ファンの方は1度見てください。 骨董とのつき合い方が身につまされるかもしれませんよ。それにしても、この映画に出演している志村喬、歌が上手ですね。

横幅 約19cm/高さ 約9cm/奥行 約9cm

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龍門司焼 三彩 からから
[2018/04/22]

古美術品を扱っていると時々、過去の時間が前後するような、古い物が新しく、新しい物が古く感じられるというような不思議な感覚に襲われることがあります。 写真でアップした龍門司焼三彩からからを見た時もそのような印象を受けました。 下の小壺は9世紀の唐三彩のもの。 この2つには1000年の差があるというのに製作の技法がまったく同じ。違う箇所を上げろと言われれば、使っている土の違いくらいです。 日本で唐三彩が古美術品として認識されるようになったのは大正時代、このからからを作った陶工は唐三彩のことなど知らなかったはずです。 中国では明時代に三彩が流行し、清から日本に伝わり、日本でも三彩が製作されるようになります。人は消えても、技法は長きにわたって伝承される。 三彩の技法が1000年間に渡って持続していたというわけです。唐の三彩、宋の造形が江戸時代の日本で再現された。 輪廻転生というか、作品から時間と物の関係を垣間見ることができます。 このような不思議な感覚は古美術品とつき合っているから味わうことができる。歴史は本当に面白いですね。

高さ 約13.5cm/胴径 約10cm/横幅 約13cm

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モーリス・マルティン 油絵 15F 「牧草地」
[2018/04/15]

桜の花も散って、枝に緑が芽吹いています。これからは時候の良い季節、散歩するのも気持ちが良いですね。 写真はフランス人画家モーリス・マルティンの「牧草地」。爽やかな初夏の夕暮れを描いた油絵です。 私はこれまで南フランスやロンドンで5月を過ごしたことがありますが、かの地の5月も日本同様、爽やかな季節です。 花の咲いた小川の側を歩くと心地よい気分にひたることができます。武蔵野市の水路脇にはたくさんい植物が生えていて、それを見ながら散歩するのは楽しい。 ところで、今年の4月初旬は初夏のような日もあり、いつもよりも5月が早く来たような感じがします。 「そういえば、まだ4月初旬なんだ」と、カレンダーを見て驚いてしまう。この調子だと今年の夏は暑くなりそうですが、存分に心地よい春を楽しみたいものです。

ピクチャーサイズ 縦横 約52cm×63cm
額サイズ 縦横 約72cm×84cm

御売約、ありがとうございました

第47回・骨董講座「古美術と社会学F 古美術と現代美術」が終了しました。 
[2018/04/08]

今回の骨董講座は、古美術と現代美術の話。骨董業界で「古美術」という言葉が使用されるようになったのは1980年代。 現代美術という言葉が使用されるようになった時期と同じです。それまで古美術は「骨董」、現代美術は「前衛美術」と呼ばれていました。 「古美術」を使用するようになったのは意外と最近ですね。講座では、優秀な画家などが新しい美を発見して、新しいジャンルの美術が一般に認識されるという話をしました。 ピカソやモジリアニがアフリカ美術を、岡本太郎が「縄文の美」を世に知らしめたのは有名な話です。 普通は過去の美術ジャンルがあって、それを画家が再構成すると考えられがちですが、事実は逆。それほど有能な画家は美術的センスを持っているのです。 近年、日本でもアフリカ美術に興味を持つ人が増えました。これもピカソや岡本がその良さを広報したからでしょう。美術史における画家の役目も大切なことがわかります。

次回は「下川教授との古美術を巡る対談(5)」、下川先生のとの対談も5年目、5回目となります。 今回の講座は「人間に自我は本当にあるのか」、古美術は個性にそって収集していると考えがちですが、本当にそうなのか。疑問を下川教授に聞いてみましょう。お楽しみに。

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土師器
[2018/04/01]

先週は暖かい日が続き、東京では桜が満開となりました。各地の公園は花見客でいっぱい。春の甲子園大会やプロ野球も開幕して、春本番となった感じがします。 写真は今から1700年前に作られた少し大きめの土師器。日本列島に稲作が定着して、村社会の基礎がつくられた時代の物です。 この時代、日本に耐水性の強い須恵器は輸入されておらず、和風の土師器が陶器の主流でした。 日本史を俯瞰すると稲作が始まった時代は、季節でいうと春のような時代。 それで土師器は春の花を活けると映えるのでしょうか。菜の花などを活けるとぴったり。独特の丸みに美しい曲線。春を造形したような作品です。

高さ 約33.5cm/胴径 約27.5cm

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