blog   2017年9月

土佐派 養老孝子伝説図
[2017/09/24]

大きな台風も去り、季節は初秋らしくなりました。天気も良く散歩にもちょうどよい気候です。休日などは西荻散策でもいかがでしょうか。
9月18日(月)、甲子園球場で広島カープが2年連続セリーグ優勝を果たしました。 カープが弱かった時代を知っているファンにとってうれしい限りです。 万歳。しかし昨年、カープは日本シリーズで日本ハムに敗れ、悔しい思いをしています。今年はそれをなんとか突破して日本一に輝いて欲しい。
写真は土佐派の「養老の滝図」です。土佐派は南北朝時代に興り、大和絵の画風を世襲しながら江戸時代に和風様式の絵を完成させた一派です。 「養老の滝」は岐阜県にある名水百選にも選ばれた奈良時代から有名な由緒ある滝。年配の人にとっては居酒屋「養老の滝」でお馴染みかもしれません。 この作品を「通信販売」欄にアップしたのは、今年、カープがこの滝を登って龍になってほしいという個人的願望からです。 李朝では結婚には「牡丹や蝶」、学習には「文房具図」など、家族の一員の願望が叶うように部屋の中に絵を飾ります。 私もこの軸に、カーがの日本一になること、「鯉の滝登り」になることを願ってブログにも取り上げてみました。 カープファンでなくても、この軸を床の間に飾ると願いが叶うかもしれませんよ。さて、今年はカープが日本一になれるかどうか、見ものですね。

本紙サイズ 縦横 約92.5cm×37cm
軸サイズ 縦横 約190cm×53cm


御売約、ありがとうございました

伊万里焼 紙摺り印判 矢羽文 湯呑5客
[2017/09/17]

最近、イギリスやフランスで江戸時代後期の浮世絵展が開催されて人気を博しています。今や歌麿、北斎、広重、国貞は世界的なアーティストの仲間入りをしました。 18世紀、江戸は世界的にみても有数な出版都市でした。それを支えたのが三都に住む識字率の高い日本人で、彼らは浮世絵の入った黄表紙を楽しんでいました。 手先の器用な日本人は版木に繊細な線を彫り、それを重ねて浮世絵や黄表紙本を完成させます。 そのような技術は明治時代に入ると窯業にも応用され、センスの良い小紋柄の紙刷り印判作品を生み出しました。
写真は明治時代初期、有田で作られた「紙刷り印判・矢羽文湯呑」。シンプルなデザインの湯呑は並べているだけで爽快です。 少しづつ印版にズレがあるところが御愛嬌。手作り感が出ています。今年の夏は雨が多く、晴れた空を見ることができませんでした。 そろそろ月見の季節、秋には青空を見たいものです。

口径 約7cm/高さ 約6.6cm

御売約、ありがとうございました


京焼 花草文 水注
[2017/09/10]

今年の夏は雨の日が続いた天候不順な夏でした。ここ数日間は快晴ですが、空気には初秋の感じが漂っています。
雨の日に、10月から再開する骨董講座の原稿を書いていました。今年の骨董講座の主題は「古美術と社会学」。 大正時代、1970年代と現代を絡めて古美術界の話をしたいと考えています。 その中に「ネットオークションが始まって、ネットの多くの偽物が出品されている」という記事を書きました。 最初から模倣を目的として作られたコピー商品、偽物、模倣品、工芸品、土産品で、それを古い時代のものに見せて出品しています。 それは明治時代に京都で作られた「本歌取り」のような商品とは明らかに異なっている。 写真の水注には「仁清造」という銘が入っていますが、このような商品は最初から「本歌取り」だと誰でもわかっている商品です。 伊万里焼にも「大明年製」や「成化年製」があるのと同じ。同じ模倣品でも「本歌取り」と、最初から騙そうとして作られた偽物は明らかに存在理由が違います。 偽物は本物よりも本物らしく作られていますが、この草花が美しく絵付けされた水注には明治時代、西洋と東洋が出会ってできたオリジナリティがある。
本物らしい偽物をコレクションして悦に入るよりも、このような作品と向き合う方が健全な感じがしますが……、骨董の世界には偽物もあるから楽しい部分もあることは確かです。 複雑ですね。
ちなみに今年の夏は、夏らしくない夏でした。

高さ 約16.5cm/横幅 約20cm

御売約、ありがとうございました

小林和作 信州風景画 リトグラフ
[2017/09/03]

最近、「団塊の世代」のヒッピーだったおばちゃんがやっている飲み屋に行って、1970年代前後のヒッピー「部族」について話を聞いています。 「部族」は山尾三省、ななお さかき、長沢哲夫などの詩人が作ったヒッピー・コミューンです。 彼らは長野県富士見市、鹿児島県諏訪之瀬島、東京都国分寺に拠点を持ち活動していました。 晩年の山尾は奄美大島、さかきは長野県下伊那郡大鹿村で生活していました。 ななお さかき について書いてある「WEB МAGAZINE この星」の記事中の写真を見ているうちに、小林和作のリトグラフ「信州風景画」があったことを思い出し、「通信販売」欄にアップしました。 ただ信州という地名が一致しているだけで、ななお さかきと小林和作に脈絡はありません。 ただ、2人の共通点は都会に住むことなく、風景を求めて各地を転々としていたということです。 小林和作は生前、「天地豊麗」という言葉を好んで用いていたという話ですが、ヒッピー詩人たちも天地は豊麗に見えていたのではないでしょうか。

ピクチャーサイズ 縦横 約34cm×47cm
額サイズ 縦横 約52cm×64cm

御売約、ありがとうございました

「WEB МAGAZINE この惑星」の”ななお さかき”特集はこちらから


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