blog   2017年3月

浜田庄司 染付 蓋物
[2017/03/26]

先週、1月にアップした「浜田庄司 染付 蓋物」を、常連客のお客さまに買っていただきました。これは浜田庄司が日本民芸館が創設された1936年頃に製作した作品です。浜田自身、独自の作風をまだ確立していない時期の物で、一見すると浜田庄司の作品とはわかりません。浜田自身、作品にサインを入れなかったのですが、それが民芸運動の趣旨に沿っていたことは確かでしょう。柳宗悦が始めた民芸運動にはさまざまな意見が寄せられています。「庶民と共にあるのが民芸である」という柳宗悦の理念は忘れ去られ、民芸運動にたずさわった作家の作品は今日、ブランド化しています。作品の内容よりも箱書きが重宝される。これでは茶道の世界とあまり変わりません。 もちろん、民芸運動の作家の作品には風格があり、私自身も好きなのですが……。幸い、仙遊洞のお客様は目利きの方が多いので助かっています。 写真は、お客様が浜田の作品にほたるイカを盛りつけた様子を写したもの。メールで送っていただきました。ほたるイカ、本当に美味しそうです。 浜田の作品を日常で使うと楽しいでしょうね。これが骨董道楽の極み。やめられません。

蓋込みの高さ 約12cm/口径 約14cm

御売約、ありがとうございました

色絵 美人花尽くし文 七寸皿
[2017/03/19]

今年は春が早いようで、来週には各地で桜の開花が予想されています。大学入試もほぼ終わり、受験生や新入社員も春の陽気が心地よく感じているでしょう。来週末には花見客も街に繰り出し、日本の春が本格的に始まりそうです。仙遊洞では一足早い春を伊万里の皿を使ってお届けします。
写真の色絵は明治時代に作られた色絵美人文七寸皿。明治に入って庶民は政治家の権力争いとは別に、新しい時代の息吹を楽しんでいたはずです。 美人と桜の花が春めいた華やかな雰囲気を醸し出しています。 このような絵柄は桃山時代の「醍醐寺花見図」、焼物では元禄時代(17世紀末)に伊万里焼に描かれていますが、その頃の花見は山桜が対象、ソメイヨシノが鑑賞されるようになったのは明治時代以降。ですから、本品に絵が描かれた桜は山桜です。 江戸時代の浮世絵などを見ると、花見の宴会に伊万里焼の食器が使用されいることがわかります。本品のような皿も外での花見、宴会に使用されたのかもしれません。桜の季節、皆さん、飲み過ぎには注意してくださいね(これは、私のことか……)。


口径 約21.7cm/高さ 約3.5cm

御売約、ありがとうございました

渡辺小華 水墨 花図
[2017/03/12]

3月に入って寒さも一段落したようです。入試のシーズンも終わり、学生も春の訪れを感じていることでしょう。今月の第1土曜日、骨董講座で「江戸時代後期の文化と古美術」を行いました。その時、壁に掛けたのが、渡辺小華の「花づくし図」。長い間、コレクション箱に入れて、この軸の存在を忘れていたのですが、久しぶりに引っ張り出して見ると、「さすが渡辺小華、品格があるな〜」と感心します。本品は正確には明治時代初期に描かれた作品ですが、幕末から明治維新にかけての動乱を感じさせない静寂な世界の絵となっています。花づくしの軸はたくさん存在するのですが、模倣風の作品が多く、美しい作品は少ない。やっぱり花に対する観察眼、愛情がないと描けないのでしょうか。
ところで、この作品は蘭画、中国画、大和絵、水墨画、文人画をミックスしたような作品になっています。見ていると、明治時代、西洋文明と出会って格闘する日本人の精神状態を垣間見ることができます。小華の履歴を見ると、大変な時代に生きているのですが、社会状況が混乱していても、気品を保っているのが賢人の技。すがすがしい気分にさせてくれる作品と出会えるのが骨董の面白さです。この作品が色づく頃には春も来ていますね。

本紙サイズ 縦横 約143cm×49cm
軸サイズ 縦横 約222cm×62.5cm

御売約、ありがとうございました

第36回・骨董講座が終了しました   
[2017/03/05]

今回の骨董講座には、数回前から参加していただいたメンバーがメインとなっています。30代、40代、50代の男性ですが、2人は骨董の初心者。1人は歴史に興味があり、もう1人は最近、骨董に目覚めたとか。骨董の世界は楽しいので、この骨董講座が骨董趣味への入り口になってもらえればと考えています。数回前からの参加だと歴史中心の話なので、個別のジャンルのお話ができません。6月、7月はリクエスト講座をしますので、受講生の興味のあるジャンルを取り上げようと思っています。
今回は江戸時代後期の話。範囲が広いので、概要の説明と雑談のようになりましたが、いかがだったでしょうか。江戸時代後期は「マニファクチャーが発展した時代」、「蘭学が展開した時代」、「国学が発生した時代」です。この時期に日本社会に中間層の形成されました。それが幕末から明治時代に機能して、日本は産業革命に成功します。日本人の和の精神、好奇心の強さ、手先の器用さが培われたのが江戸後期です。そのような現象は、南画、文人画、浮世絵、蘭画など、江戸時代後期の絵画の展開を見れば理解できると思います。テレビ番組の江戸時代観に浸食されて、時代の面白さが伝わっていないような気がしますが、骨董講座を通して、その面白さを理解してもらうと好いですね。
ところで、最近、骨董講座の後、受講生の人と飲みに行くことが多いのですが、飲みながら骨董の話をするのも楽しい。飲みたい人の参加もお待ちしております。
次回は明治時代の文化と古美術品の話。日本の文化と古美術シリーズの最終回です。お楽しみに!

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