blog   2016年6月

李朝 馬の目 盒子 
[2016/06/26]

6月23日、イギリスでEUから離脱するかどうかの国民投票が行われ、結果は「EUからの離脱」が決定した。 この結果は世界に衝撃を与え、各国の株価も下落、為替の混乱が起こった。 イギリスがEUから離脱した理由は、ドイツ・フランスによる主導体制への不満、難民受け入れの是非などがあげられる。 若者は残留に投票したが、年配の人々は離脱に投票した。これはイギリス人の自国文化への誇りが投票行動に反映したと考えられる。 大人は、他国の文化よりも、自国の文化を愛しているのである。 EU内にとどまっている国に文化が独自の文化がないわけではないが、経済を優先すれば、外国の安価な文化が流入し、独自の文化が消えていくことは明白だ。 幸い日本人は、昔から和風化するという技術を持っているので、外国文化が流入しても、すぐに、それを変質させて独自のものにする。 オリジナルに固執することなく、コピーする技術も、たまには必要なのだ。

写真は、李朝の盒子。この盒子には渦巻き模様がついている。 渦巻き模様のオリジナルは、古代にさかのぼり、世界中で魔除けのデザインとして使用された。 中国では、永遠を象徴しているが、農耕をしていた日本では、渦巻き模様は台風の目、雨乞いの雲を表すデザインとして使用された。 瀬戸焼の石皿に「馬の目」が使用されているのは有名な話である。この時期、日本では梅雨で、各地で雨の被害が出ている。 日本は災害、イギリスは国民投票と、社会の変動が激しいが、日本の梅雨が明けるころには、イギリスも落ち着くのだろうか?  いやいや、私は、台風の季節の到来ととも、これからますます混乱が拡大していくような気がする。 不安定さではなく、幸福が永遠に続くことを、渦巻き模様に祈願して、今週のブログを終えよう!

蓋迄の高さ 約8.5cm/横幅 約12.5cm

御売約、ありがとうございました

赤切子 デキャンタ・セット
[2016/06/19]

先週は、金魚について書いたのですが、今週も「赤」にまつわる話です。 私事で恐縮ですが、広島出身の私は、大のカープファン。しかし、カープは1991年に優勝以来、実に25年間、優勝から遠ざかっています。 あの時、私は西武球場の最終戦に足を運んだのですが、結果は敗戦。 以来、私にはカープ敗戦の呪いにかかったようで、それから10試合、試合を見に行ったのですが、1試合も勝利していません。なので、カープ・ファンの友人は、「お前が試合を見に行くとカープが負けるので、見に行くな」と苦言を呈します。 私は、私自身の未勝利の呪い以外に、「あれは、前田(2人)という名前とカープの優勝は縁がないからだ」と、別のカープが優勝できない理由をでっちあげています。 今年、前田はドジャースに移籍しましたが、もし、カープが今年、優勝したら、「前田の呪い」は真実のものとなります。私の呪いも解けるでしょう。 何であれ、カープに優勝してほしいので、いろいろ理由をこじつけているわけです。

それで写真の赤切子のデキャンタ。私は最近、カープが調子(鈴木が3試合連続、決勝ホームランを打って、交流戦6連勝)が良いので、何を見てもカープに見える病気にかかっています。ですから、このデキャンタを見ても、カープに見える。 これも呪いのせいでしょうか? 骨董好きには「骨董病」という病があります。それは昔、なくなりましたが、長年のカープ病。今年は、その呪いを解いて、赤い骨董品を見ても、カープが気にならないようにしたいものです。 自分の好きな球団は別にして、地味な骨董品にも、良いものはたくさんあるのと同じで、たまには優勝しないカープの応援もしてあげてください。よろしく、お願いします。

デキャンタ 蓋迄の高さ 約25.3cm/胴径 約9.5cm
ショットグラス 高さ 約6.5cm/口径 約3.9cm

御売約、ありがとうございました

湘雲筆 金魚之赤 
[2016/06/12]

6月に入り、どうやら梅雨の時期になったようです。雨の日もあれば、真夏日もあって、何かが変な梅雨です。 昔の梅雨は、このように暑かったかな? テレビでは連日、東京都知事の政治資金の使い方について疑惑報道がされています。 舛添都知事は、政治団体のお金で大量の美術品をネットで購入していました。その中には、私の友人の作品もあったので、驚きながら、笑ってしまいました。 都知事は、なかなか趣味が良い。3月に現代美術家の村上隆が自分のコレクションの展覧会を横浜美術館で開催しましたが、舛添都知事のコレクションを東京都美術館でやれば、話題となり、お客さんが大勢来ることは間違いないでしょう。 こうなると、ほとんどパロディです。

写真は湘雲筆の「金魚之赤」。この作家は無名ですが、水草の間を泳ぐ、かわいらしい金魚が軽快なタッチで描かれています。 金魚は、フナが突然変異したもので、3世紀頃、中国で発見されました。 日本では室町時代、大阪・堺に伝わり江戸中期になると、武士の副業として養殖が盛んになりました。いかつい武士も金魚の養殖で生計を立てていたのですね。 これを見ていて、紀伊国屋文佐衛門がガラス張りの金魚の部屋を作った話を思い出しました。 そのような場所で。「お代官様……」、「おぬしも悪よの〜」などの会話が交わされていたのでしょうか。 現在は、都知事が政治資金を使って、ネットで美術品を購入している。時代が変われば、政治資金の流用の仕方も変わるのですね。田沼時代の川柳を一句。 「役人の子は にぎにぎを よく覚え」 、で最後に私の川柳、「政治資金 ネットで使えば 怖くない」。お粗末でした。

御売約、ありがとうございました

第29回・骨董講座が終了しました   
[2016/06/04]

今回は受講生の方のリクエストにお答えして、第2回に行った「伊万里焼」の講座を改定してお話ししました。 あれから2年が経っているので、話の内容も随分とバラエティに富んだものになりました。 「最近、伊万里焼が売れない」と骨董さんのぼやきを聞きますが、それは骨董さん自身が伊万里焼の面白さに気づいてないからではないでしょうか。 売れる売れないを基準にしたり、値段の高低で伊万里焼の価値を判断するのは経済的な話で、文化とは別の話です。 伊万里焼の文化面をもう少し、見直しても良いのではないでしょうか。 受講生の皆様、お疲れ様でした。来月はリクエストの「漆器」です。楽しみにしてください。

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