blog   2015年4月

菖蒲図 五島耕畝 (昭和時代初期 20世紀前半) 
[2015/04/26]

先週は雨模様でしたが、今週は一転して好天に恵まれ、東京の気温は25度。散歩をしていると汗が出て、夏日に近い感じがしました。来週はゴールデンウイーク、日本全国、行楽日和になりそうです。

写真は、五島耕畝の「あやめ図」。
あやめは5月の花ですが、古美術の世界では季節に先駆けて床の間に軸を飾ります。子供の日までは「鯉のぼり」、その後は「菖蒲図」でしょうか。 毎年、根津美術館ではこの時期、尾形光琳の「燕子屏風」が展示されます。
これまで私は各地の菖蒲園やあやめ園に出かけて、花を楽しんでいるのですが、いまだに燕子、杜若、菖蒲、あやめの区別がつきません。毎年、この時期になると植物図鑑を引っ張り出して調べるのが恒例行事となっています。

さて、ここに3枚の写真がありますが、どれがあやめ、菖蒲、かきつばたでしょう。

正解は、右から菖蒲、あやめ、かきつばたです。

御売約、ありがとうございました

鯉のぼり図(石川有隣) 
[2015/04/19]

桜の季節も終わり、春になったと思ったら、毎日、雨。散歩にも出かけることができません。何だか春らしくない陽気です。 来月は五月なので、天気が快復し、安定するのを期待しましょう。
今月、ホームページには桜の軸を2本、アップさせましたが、今週は鯉のぼりの軸です。 床の間が消えても、季節によって軸を変える楽しみはなくなりません。季節によって服装や食器を変えるのも古美術の楽しみです。

写真は「鯉のぼり図」。 作者の石川有隣(1870年〜1952年)は尾張藩家老の家に生まれ、画家になった経歴を持つ日本画家です。 武士の家に生まれ、育った感じが絵に表れています。このような感じは職業画家には出せないでしょう。 ところで、私は広島市出身なのでカープファン。昔からカープは鯉のぼりの季節までは強いのだけど……」と言われ続けてきましたが、今年のカープは……。 いやいや、シーズンは始まったばかりです。店の壁にかかっている「鯉のぼり図」を見ながら、心の中で野球のことを考えています。 もし、今年、カープが優勝したら、この軸の効果があったと考えよう(でも、作者は名古屋出身だから、ドラゴンズか?)。

広島・マツダスタジアム

御売約、ありがとうございました

考古学的資料・文化財の大切さ 
[2015/04/12]

今日、テレビでニュースを見ていたら、イスラム国がパレルモ遺跡を破壊している映像が流れており、虚しい気分に襲われました。バーミヤン遺跡爆破以来の衝撃でした。宗教を信じるのは自由ですが、文化財に罪はない……。東アジアでも古代から、「焚書坑儒」など文物の取り締まりが行われてきました。日本人も明治維新後、廃仏毀釈を行って多くの文化財を破壊したので傍観者ではありません。

先日、「ホテルオークラ東京」本館の建て替え、取り壊しに反対する文化人の記事が出ていました。建築物として評価の高い建物をなぜ保存できないのか?

ホテルオークラ・オーキッドルーム

「良い建物を作っても、残すよりも壊す方を選択する日本人の感性は信じがたい」と嘆いていた故丹下健三氏の言葉を思い出しました。 西洋では歴史的な建物を大切に保存してブランド力を維持しています。 自然災害の多い日本では、それも難しいのかな。新旧、どちらも好きな日本人の感性は複雑です。

写真は漢時代の緑釉壺。長い間、土中にあったので、現在まで生き延びてきました。それが目の前にある。「良かったな、壊されなくて」と、つい声をかけてしまいました。今週は文化財保護に関して考えさせられる一週間でした。

高さ 約31cm/横幅 約24cm

御売約、ありがとうございました

第17回・骨董講座が終了しました  
[2015/04/04]

今回の骨董講座のお題は「古美術の社会学」。1月にNHKで放送された「ネクストワールド」に触発されて考えた題材です。 近年、絵画の複製技術、3Dプリンターの開発など、美術品のオリジナルの意味を覆すような技術が出現しています。 哲学者・黒崎雅夫先生は「オリジナルと複製はアウラ(オーラ、空気感)の問題」と位置付けていますが、人間の知覚では複製の真贋を見分けることができなくなる日がくるかもしれません。 そのような時代は「権力によるマザーコンピュウターによる監視」、「平均寿命100歳」、「ビックデータによる行動の確立」、「遠隔操作のよる戦争」など、現在では考えられない世界が広がっているでしょう。
講座は未来予想を考慮しながら話を進めました。骨董講座というよりも社会分析的傾向の強い講座でしたが「社会学の視点で古美術を見ると新鮮」という声もありました。 ホームページに掲載した文章は講座の一部で、実際の講座とは異なります。 3時間、話をした講座内容が再現できないのは残念ですが、ライブ感(体験)を楽しめるのが人間の楽しみかもしれません。
次回は心理学者の下川先生を呼んで、「心理学的・古美術カウンセリング」を行います。カウンセリングが骨董病の治療に役立つかもしれません。興味のある方は是非ご参加ください。お待ちしております。

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