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備前焼 げんこつ徳利
[2021/04/11]

今週は、現代美術の彫刻と古美術品の類似です。写真は備前焼の徳利ですが、ぐにょぐにょに歪んでいます。このような造形は桃山時代の伊賀焼作品に起源を求めることができるでしょう。歪みに美を見出す民族は、世界的に見ても珍しい。西洋ではバロックが「歪んだ真珠」を意味し、歪みに美を見出そうとしますが、日本の歪んだ作品ほどひどくは歪んでいない。この徳利を絵にすると、ムンクの「叫び」に似ている気がします。西洋の思想では、正常な世界は幾何学的で秩序立ち、歪んだ世界は不安定を意味する。 まさか、日本酒を飲んだ時に徳利がこのように歪んで見える…、ではないですよね。川端康成に「眠れる美女」というエロティックな小説がありますが、その内容を造形にしたようにも見える。男性が女性の身体を触るのが、彫刻の始まり? と、いうことは、ムンクの「叫び」は女性的な世界の到来を意味しているのかもしれません。幾何学的な近代が終わった後、到来した世界は歪みが主流となる世界なのかもしれません。

高さ 約12cm/胴径 約6.5cm

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薩摩焼 龍門司窯 鉄釉薬 船徳利
[2021/04/04]

3月末の桜の季節も、花見をできないまま4月に入りました。4月1日に新入社員の姿を見て、そうか、今は4月だと感じた次第です。今週は久々の古美術品と現代美術の共通点についてのブログです。お題は、薩摩焼の鉄釉の船徳利と山口長男の絵画作品。似ている部分は、土味感です。私が大学生の頃、山口先生は多摩美油絵科の特別講師でした。構内ですれ違った時、「これが有名な山口先生か」と緊張したことを憶えています。山口先生が亡くなる1年前のことです。
写真の徳利を見た時、鉄や石、木などの素材を使う、もの派の作風を思い出しました。総じて、もの派の作品は地味で物質的。その先駆になったのが、山口先生の作品だったような気がします。と、すれば、もの派の美意識を遡れば、鉄釉の徳利や漆器だったのかもしれません。さらに時代をさかのぼれば古墳土器にたどり着くでしょう。鹿児島の語源は「鉄の島」、薩摩焼の語源は「砂鉄の湾」。この徳利、鹿児島や薩摩を体現しているような作品です。久しぶりに古美術と現代美術を比べて楽しい時間を過ごしています。

高さ 約23.5cm/胴径 約16.5cm

御売約、ありがとうございました

型吹きガラス 乳白 徳利
[2021/03/28]

すっかり春めいてきました。近所の公園に行くと桜は満開ですが花見客の姿はありません。しかし、人出は多いので気を付けなければ第四波が来ることは確実です。皆さん、緊急事態宣言が解除されたからと言って、気を緩めないでください。数年前、京都の公家が「乳春」という書を通信販売に出品したことがあります。その作品はすでに手元にないのですが、写真のガラス徳利を見た時、「乳春」のことを思い出しました。「乳春」は「暖気帰揚柳 春聴乱乳鶯」の中にある2文字ですが、学の浅い私は、今でも「乳春」の感覚をつかむことができません。 むしろ、桜の色が乳春に近い感じがする。この徳利を出品しながら「来年は花見がしたい。この徳利で日本酒が飲みたい」と強く思いました。私の中では「春聴乱乳酒」かもしれません。来年は花見ができると良いですね。

高さ 約17cm/胴径 約7.5cm

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油絵 沼のある風景 8号
[2021/03/21]

先週の17日(水)、第一生命が「将来なりたい職業の2020年度ランキング」を発表しました。それによると、男子の小中学生、女子の中高生の1位が「会社員」だったそうです。ユーチューバー、サッカー選手、IТエンジニア、パティシエは相変わらず上位にランクされていますが、まさか、会社員が1位になるとは。1989年以来のことだそうです。理由は、子供たちが家で働く両親の姿を見て親近感を感じた事。親子の絆が深まったのは、リモートワークのお陰ですね。
写真は昭和時代前期の農村風景の油絵。場所は不明ですが、当時の日本ではありふれた風景だと思います。空にドローンなど飛んでいません。
1960年、日本には農業従事者1400万人いました(現在、200万人)。植木等が「サラリーマンは気楽な稼業ときたものだ」と言っていた時代でも、1400万人が農業をしていた。1945年には就業人口の半分が農家でした。この時代、農家では家族は仲睦まじく一つ屋根の下で暮らしていたのでしょう。この作品を見ていると、自然と共にゆったりと流れている時間を感じることができます。我々には感じることはできても、今の若者には理解できないかもしれません。時代が変わると、価値観も大きく変わるようです。

額サイズ 縦横 約47cm×59.5cm

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パプアニューギニア 木彫 神像
[2021/03/14]

あと1週間で緊急事態宣言が解除されそうです。飲食業や観光業に従事している人たちとっては嬉しいニュースですが、これで感染者数が増えることは間違いないでしょう。人は密集するのが好きなので、それが自然です。
写真の木彫はパプアニューギニアの神像。おちんちんが彫ってあるので、子供を授けてくれる豊穣の神様だと思います。日本でいうと、大黒様ですね。 この彫刻が個人的に気に入っていて、通信販売欄に何度もアップしようと思ったのですが、数回、止めてしまいました。それはこの作品を観ていると、おおらかさに癒されるからです。 若者にとって、男女の営みは自然な行為なので、夜な夜な繁華街に出ていくのは普通。逆に「子供を増やそう」と言いながら、「接触は控えて」はないでしょう。そのせいか、2020年度の出生率は86万人と過去最低になってしまいました。春が来たのに、相手を探せない不憫さ。お酒を飲むことを優先する私と違って、若者にとって木の芽立ちの外出禁止は厳しい状況です。早くコロナ禍が終わり、出生率が回復すると良いですね。

高さ 約51.5cm/横幅 約14.5cm

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上野焼 灰釉・緑釉 小服茶碗
[2021/03/07]

この作品を購入した時、「これは布志名焼のぼてぼて茶碗か、上野焼の小服茶碗か」と迷いました。それは布志名焼の茶碗にも、本作に似た釉薬を使う作品があったからです。この茶碗がどちらで作られたかは、未だに判断がつきかねるところですが、明治時代には各地でこのような形の茶碗が作られていたようです。この手の茶碗は主に「五郎八茶碗」と呼ばれていますが、松江地方だけは「ぼてぼて茶碗」と呼びます。ぼてぼて茶は、泡立てたお茶の中に、おこわ、煮豆、きざんだ高野豆腐や漬物などの具を少しずつ入れる郷土料理。箸を使わず、茶碗の底をトントンたたいて片寄せた具をお茶と共に流し込むのがコツです。思い返せば、2度、私は松江地方に行っているのですが、ぼてぼて茶を食べませんでした。今、思うと残念な気がします。かといって、ぼてぼて茶だけを出雲まで食べに行く気もないし……。ネットで「ぼてぼて茶」を検索すると、東京にある島根県のアンテナショップで購入することがわかりました。それにおこわ、煮豆、きざんだ高野豆腐や漬物などがあれば。興味のある方は、本作でぼてぼて茶、試してみてはいかがでしょう。

口径 約9.5cm/高さ 約7.3cm

御売約、ありがとうございました

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