blog

松代焼 藁灰釉 徳利
[2018/07/15]

「平成30年7月豪雨」から1週間が経ちました。広島県や岡山県では甚大な被害が出たようです。被災した方にお悔やみ申し上げます。
私の母は現在、広島県竹原市の田舎に1人で住んでいます。 7月7日前後に毎日、電話で雨の状況をやり取りしていたのですが、特に恐ろしかったのは7月7日の未明だったようです。 雨が止んで外に出ると裏山が崩れ、家の近くの道路が陥没していたそうです。 近くを走る国道2号線でも土砂崩れが起こり、いつも走っている長距離トラックがまったくは走っていない。 災害が起こると平穏な日々のありがたさが逆にわかると行っていました。 数日前、電話をすると「知人から被災見舞いでアイスクリームが宅急便で届いた」と嬉しそうに話していました。 買い物にも自由に行けない状態で、アイスクリームのお中元。いつもの夏以上に感動したそうです。 写真は松代焼の灰釉徳利。雪のような肌合いをしている美しい徳利です。この徳利が作られた明治時代、かき氷もアイスクリームもありません。 当時の人々は、暑い夏、このような徳利を見て涼を感じていたのではないでしょうか。雪国の空気を感じさせてくれる雰囲気があります。 このような美しい民芸のある国は良いですね。

高さ 約27.5cm/胴径 約17.5cm

御売約、ありがとうございました

第50回・骨董講座「古美術と社会学I 古美術と宗教社会学」が終了しました。 
[2018/07/07]

2018年度の最後の骨董講座、「古美術と宗教社会学」が終了しました一神教を信仰する他の地域と違って、多神教的な日本人のて宗教は曖昧です。 古代のアニミズムから神道、儒教、仏教、キリスト教など、古代から近代まで日本人がどのように関わってきたか、七夕や巡礼を例にとり、古美術を交えながらお話しました。 ところで、今年のテーマは「古美術と社会学」。一見、無謀な講座になるのではないかと考えましたが、受講者の方にはめちゃくちゃな話の方が面白かったそうです。 SNSが発達し、情報取得が容易になっても体験を中心としたライブ感のある話はまったく違うのですね。骨董講座は8月、9月はお休み。 10月から再開しますが、来年は「古美術と美術の歴史」を主題にしたいと考えています。来年度も、よろしくお願いいたします。

骨董講座の内容はこちらからこちらから

骨董講座に興味のある方はこちらから


レオノール・フィニ リトグラフ 「三女性図」
[2018/07/01]

先週、東京国立近代美術館に「滝口修造と彼が見つめた作家たち」を観に行きました。滝口修造(1903年〜1979年)は日本にシュールリアリズムを紹介し、後世の日本人芸術家たちに多大な影響を与えた美術評輪家です。 久しぶりに滝口の作品を見た時、家にフィニ(1907年〜1997年)のリトグラフがあったことを思い出して通信販売欄にアップしようと考えました。 本作をアップしている最中、テレビをつけるとサッカーのワールド・カップでフランス対アルゼンチンの試合をやっています。 それを見て、フィニがアルゼンチン生まれであることを思い出しました。それにしてもアルゼンチンのメッシの腕の刺青が気にかかる。 彼の刺青はどこか滝口のデカルコマニーの作品に似ているような……、 偶然とはいえ見えない糸で何かがつながっているような感じがします。
ところでフィニの作品の主題は混交(ハイブリッド)や変身(メタモルフォーズ)です。 メッシは腕に刺青を施して、普通の人が見ることのできない世界を見ようとしているのでしょうか。 優れた芸術家やアスリートはお呪いをして異次元の世界に入るようです。 アルゼンチン、フランス、シュールレアリズム、滝口、フィニ、メッシなど、本作をアップしながら様々な要素がごちゃ混ぜになった夜でした。

本紙サイズ 縦横 37.5cm×43cm
額サイズ 縦横 61.5cm×70.5cm

商品の購入をご希望の方はこちらから


鍛冶町焼 こね鉢
[2018/06/26]

仕入れに行った時、すぐに鑑定できない商品に出合うことがあります。このこね鉢を見た時も、「これは東北の焼物だけど、堤焼かな。 でも藁灰釉が灰色がかっているから違うな。仙台地方の焼物のようん見えるけれど、どこだろう?」と様々な疑問がわきました。 古美術商の体験からいうと私は「わからない焼物があればとりあえず買う」をモットーにしているので、友人からこの鉢を譲ってもらい家に帰ってから、この鉢がどこで製作されたかを調べ始めました。 最初は堤焼、それから上野目焼かと考えましたが、いろいろ調べるうちに以前、このような釉薬が掛かった徳利を扱ったことを思い出し、「これは花巻の鍛冶町焼だ」という結論に達しました。しかし、明治時代の鍛冶町焼とは違う、どこかしら武士の世を感じさせる時代の雰囲気があります。 調べて見ると鍛冶町焼は天保時代に開かれた窯だとわかり、やっと納得できました。古美術商はこのような感じで商品を鑑定するのですが、そこには過去に扱った商品の体験が関わっています。 花巻といえば宮沢賢治や万鉄五郎を生んだ土地、そこで作られた焼物だと思うと一層、親しみがわきます。民芸の面白さは風土と共にあるのですね。

口径 約33.2cm/高さ 約16cm

御売約、ありがとうございました

伊万里焼 染付金彩 ナスビ飯茶碗 5客
[2018/06/17]

最近は1年中、ハウス栽培の野菜がスーパーや八百屋で買うことができるので、店頭の野菜から季節感を感じることはできません。 昔はキュウリ、スイカ、ブドウなどが八百屋に並ぶと、夏を感じたものです。 江戸時代の人は、ナスと「物事を成す」の成すをひっかけて、ナスビを縁起物と考えました。 諺の「一富士、二鷹、三茄子」にあるように、初夢でこの夢を見ようと努力していたようです。 伊万里焼の染付にも「一富士、二鷹、三茄子」文があり、この諺が庶民に浸透していたことがわかります。
写真は可愛いナスが染付と金彩で描かれた伊万里焼の飯茶碗。ナスの柄が団扇のようにも見えて、夏らしさを感じさせてくれます。 現代から見ると江戸時代の茶碗は小ぶりで物足りないのですが、当時の米は今でいう給料の役目を果たしており、貴重品だったので大切にしていたのでしょう。
ところで私の実家は広島で農家を営んでいます。そこで栽培されたナスビやキュウリは東京で買う物とは全く味が違います。 味に深みがあって、本当に美味しい。お盆に帰省するたびに祖父母が作った野菜を食べて、季節感を感じています。
何事も便利になっている世の中ですが、自然の恵みだけは人が手をかけないと獲得できない。 昔の陶工が精魂込めて作った伊万里焼の味わいも季節の野菜のようなものかもしれません。

全体高さ 約8.5cm/口径 約10.8cm

商品の購入をご希望の方はこちらから


小倉焼 青釉 徳利
[2018/06/09]

この徳利に出合った時、産地も作者もわからなかったのですが、どこか魅了されて購入しました。 どこに惹かれて購入したか、自分でもよくわからなったのですが、手元に置いていても一向に飽きません。 長い時間、これを作った陶芸家はなかなかのものだと感心していた次第です。作品と接していると徐々に産地に近づいていくことがあります。 私はこの徳利を見て信州近辺で作られた焼物だと推測していたのですが、ある日、図録を見ていて、これが小倉焼ではないかと思うようになりました。 小倉焼は明治27年頃、山梨県北巨摩郡多摩村小倉(こごえ)に、晩年の奥田信斎が開いた窯です。 以前から常連客の方に信斎の作品を探してほしいと頼まれていたのですが、実際に信斎の作品に接したことが無かったので、この徳利も信斎が作った物かどうか自信が持てませんでした。 ところが、「信斎は信楽出身の陶工だよ」という友人の一言を聞いて、信斎が信楽出身であることを思い出しました。 この徳利、信楽のような土を使用しています。それで、これが信斎の作品だということを確信しました。 この結論はあくまで推測の域を出ませんが、それが間違っていたとしてもこの作品は素晴らしい。私は鈞窯の焼物が好きなので厚手の青釉が掛かった作品に魅了されます。 それにしても、これだけの青釉を厚手に掛けることができる。信斎ならではの技術でしょう。

高さ 約29.5cm/胴径 約23cm

御売約、ありがとうございました

第49回・骨董講座「古美術と社会学H アンティークの町西荻の変容」が終了しました。 
[2018/06/02]

今回の骨董講座は「アンティークの町西荻の変容」でした。私が西荻に来た1980年代後半頃から西荻はアンティークの町として認識されるようになります。 1990年代、アンティーク界に昭和レトロブームが来ると西荻には昭和のレトロ商品を扱う雑貨屋さんがたくさん登場、2000年代には新感覚骨董というジャンルが西荻発信で全国的にブームを巻き起こしました。 最近、西荻では骨董屋さんも減り、雑貨屋、カフェ・ギャラリーが増えていますが、町が変容しても美術に関わる文化は健在。美術大学出身者が関係しているのが町の特徴でしょうか。 美術好きな人が集まる西荻をこれからも見続けて行きたいと思っています。

骨董講座の内容はこちらからこちらから

骨董講座に興味のある方はこちらから


上へ戻る